電子情報工学科
学ぶ内容
電子情報工学科では、数学、物理学、情報科学の基礎の上に、電子通信デバイスや情報通信システムの設計・管理・運用のための技術と方法論を修め、安全で利便性の高い電子通信デバイスや情報通信システムの開発を実践できる人材を育成します。まず1年次において、数学・物理学・プログラミングといった理工学の基礎をしっかりと固めます。そして2年次から3年次にかけて、電子工学と情報工学を基礎として、最先端の電子デバイスの動作原理からクラウドのような大規模情報システムの運用技術までを、幅広くかつ系統立てて学びます。4年次の卒業研究では、多様なデバイスやシステムの設計、管理、運用の技術を適切に評価し、それらを改善した上で、新たな技術を創造する力を養います。
学科の特色
本学科では、最先端のICT分野を支える電子情報工学を、基礎理論から実践まで幅広くバランスよく学ぶことができます。1年次から3年次にかけては、数理的理解力やプログラミング的思考力重視のカリキュラムにより、時代の変化に対応できる技術者としての基礎を固めることができます。そして3年次から4年次にかけては、きめ細やかな研究指導のもと、自身のアイディアを最先端の研究に生かす経験を通して技術創造能力を身につけることができます。
想定される進路
情報通信サービス分野の企業はもちろんのこと、自動車や工作機械などの機械製造業においても、電子部品同士がネットワークを介して通信する製品の開発が主流となってきています。そこでは、通信ネットワークシステムを単に構築できるだけでなく、サイバーセキュリティの確保やシステムの安定性も重視して運用管理できる人材が必要とされています。電子情報工学科では、高度情報化社会で求められる機能・性能を有した情報通信システムを実現するのに必要な知識・技術を修得できます。卒業後は、安全で柔軟性や拡張性をもつ情報通信システムの開発・運用・保守、データ分析に基づく頑健な情報通信システムの運用・保守、センサが統合された機械システムの運用・保守など、ICTに関わる多様な分野での活躍が期待されます。
海外実習
学科長
理工学部/電子情報工学科長 横山哲郎 教授(専攻分野:コンピュータサイエンス)
横山哲郎 教授
長期研究「革新的なコンピュータシステムの基礎づくり」
現代のコンピュータ技術は日々進化しており、将来の計算機システムの在り方を見据えた研究が重要になっています。超伝導や光、電子の回転を利用したコンピュータシステムやゆっくりと動作をさせることでエネルギー損失を最小化する回路技術などが発展してきています。これらの革新的なコンピュータテクノロジーを効果的に利用するには従来とは全く異なる新しいアイデアに基づいた適切な手順とルールが不可欠であり、また、それらを記述するための新しいことばや表現方法の開発も求められます。私たちはこうした次世代コンピュータの基礎を築く研究に取り組んでいます。
短期研究「情報を決して消さない新しいプログラミング」
コンピュータは大量のエネルギーを消費し、動作時に熱を発生します。例えば、近年、AIの学習や推論に膨大な計算リソースが必要となり、その電力消費が深刻な課題となっています。リバーシブルコンピューティングは、情報を消さずに処理する技術で、エネルギー消費を大幅に減らせる可能性もあります。また、量子コンピュータや高速な並列シミュレーションの基礎技術としても応用されており、未来の重要な技術です。情報を消さない計算では、データを保存する領域がすぐに埋まってしまうように思えますが、適切な手順とルールを工夫することで効率的な処理を可能にすることを研究しています。新しいプログラミングには、従来の枠を超えた革新的な発想が不可欠とされています。