
南山大学の「ここ」を未来に届ける
『南山大学をはなす』
職員座談会 vol.1前編
施設課 江頭 洋甫さん(上段左)
学生課 門野 莉菜さん(下段左)
国際センター事務室 伊藤 友衣子さん(上段右)
教学企画課 三竹 薫平さん(下段右)
職員座談会 vol.1前編
「南山大学の未来のタネ、ここにあり」
『YAMAZATO60+』最初の座談会メンバーは、4つの課室よりお集まりいただいた職員の皆さんです。南山大学運営の屋台骨を支える方々の‘現場の声’に迫ります。
聞き手
コピーライター 村田真美
(株式会社mana)91B154
取材日
2025年5月1日
キャンパスの日常を支えるプロフェッショナル
南山大学は2046年に100周年を迎えます。20年ほど先の話ですが、その頃も現役として活躍する世代に今日はお集まりいただきました。皆さんと「未来へつなぐ」というテーマで話ができたらと思っています。まずは自己紹介を、三竹さんからお願いします。
三竹
教学企画課の三竹です。2015年3月に南山の人類文化学科を卒業し、別の学校法人を経て今の職場に2021年に入職しました。読書と海外旅行が好きで、先日もウズベキスタンを旅してきたところです。学生時代にインドに行ったことがきっかけで、以降さまざまな国を訪ね歩いています。現在の仕事は、この4月に新設された教学企画課で、本学の教学マネジメントに関する業務を一手に担っています。

「教学マネジメント」や三竹さんのお仕事について、もう少し解説いただけますか?
三竹
「学生にとって、学びをより魅力的なものにする」ための設計をする部署なので、私たちの目線は、今日・明日の授業というよりは、来年・再来年という長期視点でプランニングをしています。
なるほど、まさに「未来へつなぐ」部署なんですね。
三竹
そういう志で業務にあたっています。まさに「教学マネジメント」を「企画」する部署です。
では、施設課の江頭さんお願いします。
江頭
私は大学院卒業後にメーカーへ就職し、開発職を務めたのちに、南山へ転職。現在は財務施設部の施設課で施設保全に関する業務を担当しています。定期的に行う消防点検等を法令に則って業者さんと連携して進めたり、不定期で起きる機器の故障や水・ガス・電気周りの異常検知への対応など、毎日キャンパス内を駆け回っています。

「快適なキャンパスを維持する」という大切な業務を担われているんですね。まさに縁の下の力持ちです。続いて門野さんお願いします。
門野
私も三竹さん同様に南山卒業生で、アジア学科出身です。新卒でメーカーへ就職し、人事関連の仕事をしてきたのですが、2022年4月に南山へ転職し4年目となります。現在は学生課の課外支援係で、部活動など課外活動全般の学生サポートをしています。施設課の江頭さんとは、仕事で連携することも多いです。

学生課の門野さんは、日常的に学生との接点が多そうですね。
門野
はい、毎日のように学生からのさまざまな相談や依頼が舞い込んできます。時には私たちの予想を超えるようなアイデアが持ち込まれたりして、学生たちの新しい発想に驚かされます。学生課によく顔を出す学生たちから手作りのバッジやシールをプレゼントされることもあって、私のネームプレートはちょっとずつ賑やかになっています。
素敵なエピソードですね。続いて伊藤さんお願いします。
伊藤
私は2019年4月に入職し、教務課での4年半を経て国際センター事務室に異動して1年半ほど経ったところです。
最初の配属先が教務課ということですが、教務課ではどのような仕事をしていたのですか?
伊藤
学生に必要書類の提出を促したり、履修に困っている学生の相談に乗ったり、あと私は教職関連業務を担当していたので、教員免許取得をめざす学生の教育実習の手続きのサポートをしたりしていました。
現在の国際センターでのお仕事内容は?
伊藤
留学に関しては、「南山の学生が留学する際の担当」と、「海外からの留学生の受け入れ担当」と業務が大きく2つに分かれるのですが、私は短期の留学生受け入れの業務を担っています。留学生別科所属の学生たちの学生生活に関わること全般のサポート、という感じです。

どの課室の方々も、南山大学を支えてくれる頼もしい存在だと改めて思いました。南山の先生方が日々仕事に集中できるのは、職員の皆さんのお支えあってのことですよね。
YAMAZATO60プロジェクト、見てました?

皆さんのお仕事背景がわかったところで、本題に入っていきましょうか。
2024年秋ごろから「YAMAZATO60プロジェクト」がスタートしましたが、皆さんはこのプロジェクトをどのように眺めていましたか?
伊藤
南山のWebページにこのプロジェクトがアップされたときは、「あ!こんなプロジェクトが始まるんだ」とちょっとワクワクしました。
門野
「動画コンテスト」に投稿するために学生たちがキャンパス内で撮影をしているのをチラチラと眺めていました。また、学生部長の吉田先生が登場したインタビューの際は、上南戦の旗や、体育会公式キャラクター「ライナンくん」の着ぐるみのレンタルに関わったりしていたので、面白そうな企画だなと思っていました。

江頭
特設サイトやキャンパスのあちこちに貼られているポスターを目にしていたので、学部長インタビューが更新されるたびに読んでいました。フォトコンテストも興味深く見ていました。
三竹
私たち教学企画課は、副学長はじめ学部長の先生方と普段から連携して業務を進めていますので、インタビュー記事がアップされる度にチェックしていました!というか課室で大盛り上がりでした。インタビューでは各先生のライフヒストリーや教育にかける想いなどが語られていたので、私たちが知っている先生方の別の顔が垣間見れるというか、「業務上でのあの発言は、実は先生のこういう想いがベースになっていたのか」と新しい発見があったりして、楽しく読ませてもらいました。

学部長インタビューがツボだった、とのことですが、他に印象に残っていることはありますか?
三竹
普段あまり外に見えてこない部分をさらけ出す、というか「見える化」してくれたことで、私たちは仕事がやりやすくなった気がします。私はこれまで、仕事相手は友達ではないからあまり踏み込み過ぎてもいけないし、逆に自分のプライベートなことをペラペラとしゃべる必要はないんじゃないか、と思うタイプだったのですが、インタビュー記事を通して「公開情報」となることで、話すきっかけになったりするので、結束を強くするというか、コミュニケーションがとりやすくなったな、と思いました。
江頭
私はレーモンド建築ツアーなどのコンテンツを見ていたら、自分がまだ知らないところが紹介されていたりして、興味をそそられました。

さすが施設課の江頭さん。アンテナが立っていますね!施設課の方々はキャンパス内の施設の裏側まで知っているから、より面白いんじゃないですか。
江頭
業務につながるヒントもありますよね。今はもう使っていないけど、以前はキャンパスの各棟へ暖かい空気を送り届けるための配管が、メインストリートの下に埋め込まれている、という話を聞いたことがあります。60数年前、「山里キャンパス」ができる前の設計段階でそれが計画されていたなんてすごいですよね。
門野
フォトコンテストを見ていたら、学生目線というか、彼らはこんなこと考えているんだな、こういうところがお気に入りなんだね、と伝わってきて興味深かったです。

普段は向き合って‘対話’をすることが多いけど、学生視点に立つことで同じ方向を見られる、という感覚ですね。門野さんのその優しい気持ちが学生たちに伝わっているからこその、‘お揃いのバッジやシールのプレゼント’なんだな、と改めて思いました。
門野
また同じ課の係長と私は同じアジア学科出身で、学生時代から森山先生にお世話になっていたこともあり、森山先生のインタビュー記事を一緒に読んで盛り上がりました!
伊藤
学部長のインタビュー記事から、先生方の学生への想いがすごく伝わってきたので、「こういうことを学んで欲しい、こんな経験をして欲しい」というメッセージは、これから南山への入学を検討している高校生にも響くんじゃなかなと思いました。

Beautiful Campus&Nanzan Mindへの想い

皆さんそれぞれの言葉で語っていただきありがとうございました。ではここからはYAMAZATO60でのインタビュー記事のテーマで出てきた「あなたにとってのBeautiful Campus」(お気に入りの場所、思い出の場所、キャンパスの魅力など)、「あなたはどんなところにNanzan Mindを感じますか?」(教職員、学生、卒業生、教育・研究のあり方など)についてお尋ねしていきたいと思います。江頭さんからお願いします。
江頭
私は仕事柄、施設をはじめキャンパス内のありとあらゆる場所に関わるので、なかなかひとつに絞るのは難しいのですが、、、「Beautiful Campus」として挙げるなら「メインストリートの景観」です。先ほども少し触れましたが、メインストリートには地下に配管類や電線も埋め込まれていて、建設当初から電柱がないと聞いています。この美しい光景が60数年前の構想時から思い描かれていた、ということにレーモンド建築の凄みを感じます。

「Nanzan Mind」は、学生や先生、我々職員も、皆が「他者目線で考えて、より良くするために」という気持ちでそれぞれの仕事をしているところかなと思います。私の場合ですと、不具合が起きそうな箇所を事前に補修したり、いい状態を維持できるための策を講じたり、より良くする工夫をする目線を持つ、と言ったところでしょうか。「お互いの得意な分野で補完し合う」感覚がNanzan Mindなのかな、と私は思いました。
他者を思いやる心、「人間の尊厳」に通じる言葉が自然と出てきましたね。
「人間の尊厳のために」という南山の教育モットーが根付いている感覚ですね。自発的に湧いてくるイメージです。
では続いて門野さん、あなたにとっての「Beautiful Campus」は?
門野
私にとって思い入れのある大切な風景は、G棟とG30を結ぶ渡り廊下から見る景色です。上南戦や大学祭等のイベント開催時には、ここにホワイトボードや電話を持ち込んで「本部」が設置されます。ここでは、実行委員の学生たちが、メインストリートを行き交う人々を観察しながら、何か不測の事態が起きたら駆けつける、という役割を担っています。私も業務上、イベント中は本部に顔を出すことが多いのですが、その場所からメインストリートを俯瞰して眺めていると、焦って道を駆けている子もいれば、のんびり立ち話をしている子もいて、唐揚げを食べてる子もいる。人々が思い思いの表情で行き交う風景は、私にとって最高に「綺麗な景色」だと思います。

人が織りなす風景、ですね。情景が目に浮かびました。「Nanzan Mind」についてはどうですか?
門野
学生に対して思うのは、彼らは常に「本気」だということ。本当の気持ち、自分の気持ち、素直な気持ちを出して、何事にも一生懸命、真剣に取り組むのが南山生のイメージです。ここの職員になって一番驚いたことは、私が思っていた以上に、学生たちはよく仲間どうしでぶつかりケンカをするし、でも次の瞬間には嬉し泣きしていたりして…感情が‘忙しい’こと。自分の感情を素直に出すには、相手が自分の気持ちを受け入れてくれるという安心感がないとできません。南山は全国、世界中から人が集まっているのでバックボーンもさまざまです。学生時代という多感な時期に、個性をぶつけ合いながら磨いて助け合って、先ほど江頭さんが言っていたように、得意とか苦手を補完し合いながら折り合えるポイントにたどり着く。彼らの「本気」に対して、私も「本気」でないと置いていかれてしまう、と感じます。この「本当の気持ち」を大切にして、互いを受け止め合いながら対話し何事にも一生懸命向き合う精神が根付いているところがNanzan Mindかな、と。

ありがとうございます。続いて三竹さんお願いします。まずは「Beautiful Campus」から。
三竹
私の中には、「職員として見るキャンパス」と、「学生の時に見ていたキャンパス」の2種類があるのですが、それがいい意味で重ならず、それぞれ違う景色が見えている感覚があります。職員としての日常は、基本はデスクワークですからキャンパスを歩き回ることはそれほどありません。だから「ビューティフルな場所」となると、やはり昔を思い出します。そこで思ったのは「教室」です。卒業して10年ほど経ちますが、私が思い出すのは、自身が教室に座って見ていた景色や、先生の授業風景、隣に友達がいる、など断片的な映像です。私が入学した年にR棟ができたので、ピカピカのR棟と、歴史を感じるG棟との対比も浮かんできたりします。

ちなみに職員として見る現在の風景は?
三竹
在学中はS棟もQ棟もなかったので、そこには私の学生時代の思い出はありません。だから仕事の風景となるんです。Q棟にはあの仕事をしに行ったな、S棟にはあの先生に会いにいったな、そういった記憶がついてきます。
「Nanzan Mind」については、教職員も学生も、品位の備わった人が多いように感じます。学生時代の友人たちもそうです。大学にはさまざまなバックグラウンドの人たち、育った環境も違えば、培ってきた経験も違う人たちが集まってくる。価値観の違う人たちが集うのだから、揉め事や衝突も多くなるのは当然なのですが、先ほどの門野さんのお話のように、最終的にはお互いを尊重して、超えてはいけない一線、大事な部分は共有されている、という感覚です。そこにズレはない、と感じています。
皆さんの南山愛が伝わってきました。それにしても4名のうち3名が、別の場所を経たのちに南山の職員になっています。なぜ転職先が南山だったのか聞いてもいいですか?
三竹
私は就職活動で大学卒業後の進路を考えた時、周りの友人たちは明確な志望先があったのに、自身はこれといった将来像が浮かばなかったんです。じゃあどうしたらいいんだろう、と思った時に「将来この道に進みたい、こんな風に頑張ってみたい」と思っている人を「応援できる仕事」に就けばいいんじゃないかと思ったんです。それで学校法人を志しました。新卒で入った職場での数年を経て、一番働きたい場所はやはり母校である南山大学だ、と思い立ち転職をした、という流れで今ここにいます。

江頭
私も新卒のタイミングで大学職員という道があることは知っていたのですが、大学院を出て推薦をもらって、という流れでメーカーに就職しました。環境には恵まれていたのですが、チャレンジしたい気持ちが芽生えて転職活動をし、南山に縁をいただき入職しました。
門野
私は小さい頃「将来なりたい職業」が3つありまして、、、1つは、病院で「〇〇さーん」と呼ぶ人。
看護師さんか医療事務の方ですね。
門野
はい、それは学生時代に眼科でアルバイトをして叶いました。2つめは、親族みな同じメーカーに勤めていましたので、私もそこをめざして就職したのが前の職場です。そして3つめ、学校が好きだから学校で働きたい。この希望を叶えるために、転職活動をして母校に戻ってきました。
皆さんにそれぞれの歴史がありましたね。ありがとうございます。では伊藤さん、「Beautiful Campus」と「Nanzan Mind」についてお聞かせください。
伊藤
私にとっての「Beautiful Campus」は、「R棟の2階」、今の職場である国際センター事務室の所在地です。ここには留学生がたくさんいて、「ステラ」や「ワールドプラザ」、「ジャパンプラザ」など日本の学生も留学生も利用できる施設があって、日常的に学生同士が国際交流をする光景が広がっています。すごく魅力的な場所だと思います。


「Nanzan Mind」については、職員のみなさんが情熱を持って仕事に誇りを持っているところでしょうか。先ほどの門野さんのように真摯な熱い思いで学生に向き合う方もいれば、三竹さんは教育のこと、先生のことをすごく考えて向き合っている、施設課の江頭さんの施設への思い入れもすごい。それぞれの仕事に励む姿勢に触れて、職員一人ひとりがそれぞれの関わりを大切にしているんだな、と感じました。
利他の精神と人間愛に溢れる、皆さんの熱い思いを伝えていただきました。盛り上がってきたところで、前編はここまで。続きは後編でお楽しみください。
後編に続く