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Talk Session vol.2

かけがえのない日々を
南山キャンパスで共有する

Beautiful Campus,Nanzan Mind
知が行き交う 学び舎の丘

副学長
学務担当

岡田 悦典

OKADA Yoshinori

学生部長
理工学部ソフトウェア工学科

吉田 敦

YOSHIDA Atsushi

南山大学にはスポーツ強豪校としてのイメージはないかもしれないが、学生たちの約4割が学生団体(文化会系含む)に所属して熱い日々を送っている。トークセッションvol.2は「課外活動」をテーマに、学務担当 副学長の岡田悦典氏と、学生部長である吉田敦氏を迎えてお届けする。

聞き手

コピーライター 村田真美
(株式会社mana)91B154

キャンパス設計に息づく
‘レーモンドイズム’

岡田副学長より、自己紹介を兼ねて南山大学での歩みをお聞かせいただけますか。

岡田氏

2003年に法学部の教員として着任し、現在に至ります。学生の課外活動との関わりでいくと、上南戦50回大会という節目の2009年に学生部次長で課外活動担当を担当し、2016年からの学生部長を経て2023年より現職です。副学長として教育、課外活動を含めて広く管掌する立場となりました。

素朴な疑問なのですが、副学長「学務担当」の領域は?

岡田氏

大学教育全般と学生生活に関わること、あとは入試です。

学生のオンもオフも、つまり「1年365日」なイメージですね。

岡田氏

そうです、学生にとって「学生生活」に休みはありませんからね。ですから、現場を担う学生部長や教務部長との連携が欠かせません。吉田先生はとても頼りになる存在です。

では学生部長として実務を担われている吉田先生の「南山ヒストリー」をお聞かせいただけますか。

吉田氏

私の着任は2009年、瀬戸キャンパスに理工学部(当時は情報理工学部)が開設された年です。2010年より岡田先生の後を継いで学生部次長、2022年に学生部長となり現在3年目です。

吉田学生部長
岡田副学長

本日は「大学におけるスポーツ」を中心に、文化会系を含めた課外活動をテーマにセッションを進めていきたいと思います。学生の課外活動における「Beautiful Campus」という視点で、南山大学のキャンパスにあるグラウンドや体育館、プールなどスポーツ関連施設の魅力はどんなところにあると思われますか?

岡田氏

南山大学のキャンパス全体を設計したアントニン・レーモンドは、もちろん、スポーツ関連施設の設計にも力を入れていました。体育館は、傾斜した控え柱がダイナミックで美しいフォルムを形成していて、外観も独特の美しさがありますが、実は細部にかなり工夫がこらされていて、たとえば、2階の観客席にあがる階段の裏側も空間として活用できるように、その空間の中まで陽射しが届く採光の配慮がされています。こういった細かな部分に、キャンパスで活動をする学生に対するレーモンドの温かい視線を感じることができます。そうした設計思想は、1980年代のスポーツ関連施設の拡張を経て、現在にも‘イズム’として継承されています。例えば、グラウンドを人工芝にすることでアメフトの選手たちが「プレー中に転んでも以前より怪我をしにくくなった」と喜んでくれたように、改修時も使う人の利便性を考慮した視点を大切にしています。学生たちが生き生きと活動している風景は、まさに「Beautiful Campus」ですよね。スポーツに限らず、授業が終わったら集まる場所があって、そこで人間関係を含めたさまざまなことを学ぶ。部活やサークル活動も含めて「学生生活」ですから。

また、伝統ある野外宗教劇『受難』を観ると、まるでパッへスクエアはこのための舞台として設計されたんじゃないかと思えてきます。

確かに!学生時代に観た宗教劇の光景、N棟の屋上からパッと天使が現れたと思ったら、地上に十字架を背負ったイエスが現れたりと、ダイナミックな空間の使い方に驚いた記憶があります。

2019年に人工芝に整備されたグラウンド
体育館
第1クラブハウス

伝統を積み重ねる
スポーツの祭典「上南戦」

南山で「スポーツ」について語るには、上智大学との交流戦である「上南戦」の話題は欠かせません。

吉田氏

毎年7月に開催される上南戦は、今年で65回目を迎えました。多いときは1000人規模で学生が移動します。今年は南山が会場でしたので、ホームでの開催でした。

岡田氏

今年は残念ながら僅差で上智に優勝を譲りましたが、ここ20年でみると南山が連勝しているときもあります。「期間中に体育会所属のほとんどの部活が対戦する」という大学対抗の交流戦の取り組みは、おそらく全国で上南戦くらいだと思います。

一時期、上南戦で南山が優勝したら学長をプールに投げ込む、という伝統(?)がありましたよね?

岡田氏

今はもうやっていないので、それに代わるモチベーションとして、上南戦ではMVP賞が立ち上げられたと思います。それに加えて、私は例えば、4年間出場した選手で特に活躍した選手とか、上南戦の発展に貢献した人にも何か賞みたいなものを創設したらいいと思っているんです。賞の名前はもう考えてあって、「オレンジのバラ賞」。オレンジのバラには「絆」という花言葉があるんですよ。

吉田氏

受賞者を選ぶには評価が難しいですね…

岡田氏

MVPでなくても、通称「オレンジのバラ賞」ということで。

吉田先生の所属されている理工学部で、スポーツ競技をデータサイエンスで支える、みたいな取り組みをされるのはいかがですか?ご迷惑な提案かもしれませんが…

吉田氏

機材の準備などデータを取れるような支援から必要となりますから、実現可能性はさておき、そういった取り組みに「オレンジのバラ賞」を授与するというアイデアはいいかもしれませんね。

岡田氏

上南戦を通して「無形の価値」が今日に繋がっていると思うんです。マスコットキャラクターの「ライナンくん」も学生からの発案で生まれたし、「ゆかたフェス」も南山チャレンジプロジェクトへの応募を経て学生団体が結成されました。卒業生の方々が家族で観戦に来てくれたり、と縦の繋がりも生まれていく。

吉田氏

課外活動も時代とともに変化しています。新しいスポーツをやりたい、と学生団体が立ち上がったり、最近では社会貢献活動につながるような、目的意識を持った活動をする団体も誕生しています。3年生から入るサークルのような形での「就活サークル」もあります。

変化する学生のニーズに合わせて、学生部長としてフォローしていることなどはありますか。

吉田氏

課外活動ですので基本的には学生の自主性に任せていますが、安全面を担保するような環境整備は、大学側で予算を確保しながら計画的に進める必要がありますので、岡田副学長はとても頼りになる存在です。

「オレンジのバラ賞」の創設を構想する岡田副学長
第65回大会 上南戦結団式

学生の主体性の根底にある
「南山マインド」

ここでは「Nanzan Mind」をキーワードにお話を伺っていきます。地域社会との関わり、という点ではいかがですか?

岡田氏

学園内の小・中学校、高校へスポーツ団体や文化会系の団体がボランティアで教えにいっている、という報告を耳にします。

そういった活動は、大学から指示を出したりするのでしょうか?

吉田氏

いいえ、学生たちが自主的に自分たちの練習の合間をぬってボランティアで活動をしています。大学側が用意したものではなく、学生たちはSNSも駆使しながら縦、横さまざまな繋がりの中で情報収集をしたり学んでいくので、変化していく学生のニーズも汲み取りながら、必要なサポートをしていくのが私たちの役割だと思っています。「Nanzan Mind」という意味では、学生たちは‘協力的で優しい’と思います。

例えばどんなところですか?

吉田氏

大学の広報関係の依頼を快く引き受けてくれたり、協力してくれたりと、思いやりを感じるところです。

岡田氏

課外活動では、仲間のことを気にかけたり、学生生活の中でかなりの時間を費やすわけですから、授業で得る知識とはまた別の学びがあると思います。自分たちで考えて作り上げていく課外活動を行いやすい枠組みというか、機運を醸成していくのが私たちの役割ですよね。

南山中学校女子部へ行き、授業を行うSDGs普及啓発団体CLOVER

女子部中学2年生の総合的な学習の時間のプログラム「SDGsでソーシャルチェンジ」において、学生がSDGsや社会課題に関する講義をした上で、生徒のグループ活動(調べ学習・発表資料制作)のサポートを行いました。

大学生活を南山の
キャンパスで送る意義とは

大学におけるスポーツの役割や、今後のビジョンについてお聞かせください。

岡田氏

クラブに所属して競技力を習得していく楽しさもあると思いますが、何かに打ち込んだ経験は将来のキャリアに活きてくると思いますし、大学における課外活動はやはりなくてはならない場だと確信しています。スポーツとは勝つことがすべてではないし、スポーツを通して自分との向き合い方を知る経験だとも思いますから。

吉田氏

私はスポーツ以外の課外活動も支援したい、という思いがありますので、有志団体が増えていくといいなと思っています。時代とともに淘汰はありますが、新しい団体が出てきやすい環境づくりは必要です。課外活動の裾野を広げるための枠組みを考えていきたいです。何かとSNSに頼りがちですが、SNSは意外と新たな出会いには繋がりにくい。自分が興味を持った分野はどんどん情報が増えていきますが、ちょっと違うアプローチで学生たちの交流を増やしていく工夫は必要かな、と模索をしています。

「偶然の出会い」による人間関係の広がりを期待できるのがキャンパスかもしれないですね。

南山ゆかたフェス集合写真(最前列右から1人目岡田副学長、3人目吉田学生部長)
野外宗教劇「受難」
第75回 大学祭(法学部法律学科2年 石川繭子さんの表紙作品)

学生に寄り添い親身になって温かく見守るお二人の眼差しが印象的でした。「現場での課題感」と「大学運営側の仕組みづくり」の両輪で南山の学生生活が守られている、と安心感を得られたトークセッションでした。

上南戦大会ニュース

Profile

副学長(学務担当)

岡田 悦典 教授

岡田 悦典

専攻分野

刑事訴訟法

主要著書・論文

  • 『被疑者弁護権の研究』(日本評論社、2001年)

将来的研究分野

刑事手続の基本構造、証拠法、裁判と科学、社会における司法の役割

担当の授業科目

「刑事訴訟法」

南山の先生(教員紹介)

Profile

学生部長(理工学部ソフトウェア工学科)

吉田 敦 教授

吉田 敦

専攻分野

ソフトウェア工学

主要著書・論文

  • 「前処理指令に対する制約のない前処理前コードの構文解析手法」,情報処理学会論文誌,Vol.56,No.2,pp.593-610,Feb.2014

将来的研究分野

プログラム解析

担当の授業科目

情報倫理,ICTリテラシー,アルゴリズム研究

南山の先生(教員紹介)

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