南山の先生

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法学部・法律学科/法務研究科

岡田 悦典

職名 教授
専攻分野 刑事訴訟法
主要著書・論文 『被疑者弁護権の研究』(日本評論社、2001年)
将来的研究分野 刑事手続の基本構造、証拠法、裁判と科学、社会における司法の役割
担当の授業科目 「刑事訴訟法」

刑事裁判の仕組みとは?

皆さんは、刑事裁判の仕組みについて考えたことがありますか。刑事裁判と一言で言えても、その仕組みを説明するには、いろいろな問題を考えなければなりません。いくつかご紹介しましょう。

一つは、刑事裁判で登場する人達、例えば裁判官や、弁護人、検察官は、なぜ裁判において必要とされているのでしょうか。また、被告人や証人、被害者はどのように関わることができるのでしょうか。それ以外の人は関わることができないのでしょうか。例えば、現在、日本でも裁判員制度の導入されましたが、市民も刑事裁判に参加する制度を多くの諸外国が持っています。しかし、それぞれに特徴があり、裁判官と市民が一緒になって判断する参審制度や市民が判断する陪審制度があります。さらにはそれぞれの制度にも、メンバーの構成数などいろいろとバリュエーションがあります。刑事裁判と言っても、いろいろな在り方が考えられます。

日本の裁判についてだけ考えてみても、いろいろな疑問を見出すことができるでしょう。例えば、証人はなぜ宣誓するのでしょうか。あるいは、検察官と弁護人は、なぜ主張を戦わせているのでしょうか。両者にはどのような役割があるのでしょうか。このような裁判の仕組みは、長い歴史の上に成立し、また培われてきたものなのです。刑事裁判の仕組みを考えるとき、そこにはいろいろな歴史や法理論があり、その深い洞察があってはじめて手続の重要さや刑事訴訟法が理解できます。

また、刑事裁判では、事実を認定するという重要な任務が事実認定者には課されています。その事実を認定するためには証拠が必要です。それでは、その証拠はいかなる法によってどのように取り扱われるのでしょうか。また、法はどのように具体的に適用されるのでしょうか。事実認定と法適用の違いはどのように現れるのでしょうか。このように考えると、刑法と刑事訴訟法の相違についても、考えるようになるかもしれません。

刑事裁判と少年審判の違いはどこにあるのでしょうか。あるいは、刑事裁判と民事裁判の違いはどこにあるのでしょうか。刑事裁判を扱う「司法」の役割とは? いろいろと考えるときりがありませんが、刑事裁判を考えることは司法制度や法を広く勉強するきっかけにもなるはずです。

私達は、ニュースやドラマで、よく刑事裁判について見聞きしています。ある人は、それを漠然と眺めているだけなのかもしれません。しかし、私達の司法制度がより身近な存在として要求されている今日、刑事裁判についてますます考える機会が増えることと思われます。そしてそこには長い歴史と様々に議論すべき法があります。