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学長からのメッセージメイルマガジン「EPISTOLA」

No.39「第2回南山大学「人間の尊厳賞」」

2023年6月21日

去る5月27日に、第2回南山大学「人間の尊厳賞」表彰式・記念講演会が本学フラッテンホールで行われました。昨年の第1回と同様、これから毎年、人間の尊厳のために格別な貢献をしている個人または団体・組織を受賞者として選定し、大学のキャンパスにお招きしたうえで、講演をしていただきます。こうすることで、大学の関係者をはじめ、広く社会においても、「人間の尊厳」を意味するものがより具体化され、その実現のために一人ひとりができる自分独自の貢献を考える機会になればと期待しています。

今回の受賞者は湯浅誠さん(社会活動家。東京大学特任教授。認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ理事長)でした。湯浅さんは、これまで、社会の中に様々な形で存在する格差・貧困の問題を、その時々に取り得るアプローチを駆使して、解決しようとしてこられました。問題を生み出した政治や政策を厳しく批判するだけでなく、実際に弱者に寄り添い、ホームレスの人たちの自立を促す活動や、こども食堂の取り組みを通じ貧困家庭の子どもたちを支援する活動を続けています。すべての人には生きる意味と価値があることを懸命に示そうとする湯浅さんの活動は、本学の目指す「人間の尊厳のために」という理念の実現に資するものであるといえます。

記念講演会で、湯浅さんは「個人の尊厳、社会の尊厳」というテーマでお話をされました。話の初めに、「自分には自負していることがある。それは、私はホームレスから総理大臣まで付き合ってきたんですが、基本的に誰でもフラットに関わってきた。ホームレスの人に対する接し方と総理大臣に対する接し方、基本的には変えてこなかった、という自負があります。」とおっしゃいました。人間誰でも平等に持っている尊厳を認めている湯浅さんは、講演会の内容として、自分が思い浮かぶ7人について話してくれました。その中のお一人は、50年以上料理人として働いたものの、78歳で仕事を失い、ホームレスとなりました。その方は、厚生年金に加入していることも知らず、受給申請した時には過去5年分しかもらえませんでした。ようやく年金をもらうようになってからすぐに癌に罹ったことが判明し、亡くなりました。

湯浅さんが思い浮かぶ7人、一人ひとりについて伺いながら、その人の尊厳とかかわる様々な要素に気が付きました。最後に、講演会の締めくくりとして、湯浅さんは「社会が変わらないと、個人の尊厳を守れない」とおっしゃいました。「社会の尊厳を作る、ということが、私たちが個人の尊厳を守り、自分自身の尊厳が守られる。」

表彰式・記念講演会の映像は南山大学の公式YouTubeチャンネルで見られます。

第2回受賞者 湯浅 誠氏

南山大学長 ロバート・キサラ

発行人:南山大学長
発行 :南山大学学長室 (nanzan-mm-admin@ic.nanzan-u.ac.jp