
南山大学の「ここ」を未来に届ける
『南山大学をはなす』
職員座談会 vol.2後編
財務課 笠井 栞さん
入試広報・高大連携課 中野 宏紀さん
キャリア支援課 池 由起子さん
情報センター事務室 岡 涼太さん
職員座談会 vol.2後編
コンフォートゾーンを出る勇気を
Beautiful Campus & Nanzan Mindへの想い

ここからは「あなたにとってのBeautiful Campus」、「あなたはどんなところにNanzan Mindを感じますか?」についてお尋ねしていきたいと思います。池さん、お願いします。
池
緑豊かな南山のキャンパスは、私が思い描く「大学キャンパスのイメージ」という感じで大好きです。私にとっては職場ですけど、春の桜、梅雨の紫陽花、初夏のグリーンエリア、秋は紅葉、とキャンパスから四季を感じられるのが嬉しいです。キャリア支援課へは、さまざまな企業の新卒採用担当者が全国から来訪されるのですが、皆さん「緑豊かでいいキャンパスですね」と言ってくれます。オープンキャンパスで保護者の方と話していても、キャンパスの話題で盛り上がったりするので、どこか特定の場所というよりは、キャンパス全体が私のお気に入りです。
春のメインストリート
左:Q棟(キャリア支援課 2F)
Nanzan Mindについては、とても抽象的な表現になってしまうのですが、教職員も学生も、皆さん優しいなって思います。教育モットーである「人間の尊厳のために」がここまで根付いている大学はあまりないんじゃないかと思います。前職は民間企業でしたので、いわゆる経営理念はどの企業も掲げていますけど、現場まで浸透しているイメージがなかったので、そこは正直驚きました。「人間の尊厳のために」が皆の心にフィットしているし、それを体現するような優しい人たちばかりなので、そういうところに私はNanzan Mindを感じます。私が入職したのは、ロシアのウクライナ侵攻が始まり国際情勢への懸念が高まっていた2022年だったこともあり、創設から変わらず「人間の尊厳」を掲げている南山はすごいな、と思いました。
中野さんはいかがですか。
中野
私のお気に入りの場所は、「総合受付から見る、正門の風景」です。
キャンパス内から正門を見る、ということですね。
中野
そうです。入学式や卒業式、入試の運営やオープンキャンパス開催時に、門から入ってくる、もしくは出ていく学生や高校生の顔を見るのが好きなんです。新しい世界へ飛び込む一抹の不安をのぞかせた顔や、たくさんの思い出を携えて旅立つ充実した笑顔、彼らの人生の節目に立ち会う瞬間がいいんです。普段、仕事中にあまりキャンパスを歩くこともありませんので、余計に印象深くなるのかもしれません。受験生は、入ってくるときは不安そうに参考書を見ながら門をくぐってくるけど、入試が終わった帰り道は、ちょっと晴れ晴れした顔に見える。その入り口と出口にあたる門が、大学っぽいなと思うんです。
オープンキャンパス
Nanzan Mindについては、池さんと被ってしまいますが、「人間の尊厳のために」という教育モットーに凝縮されていると思っていて、それが教職員だけでなく、学生にも根付いていることに、南山らしさを感じています。学生まで根付いていると感じた具体的なエピソードがあるのですが、入試広報・高大連携課では、学生を入試広報スタッフとして雇用しており、進学相談会等の広報活動にご協力いただいています。ある進学相談会で学生の入試広報スタッフが保護者の方から「南山はどんな大学ですか」と質問があった際に、入試広報スタッフの学生が、大学案内誌の教育モットーのページを開き、自身の言葉で「人間の尊厳のために」を語っていました。これには感動しました。
学生入試広報スタッフ
すごいですね。山岸副学長に聞いたエピソードですが、南山同窓会で、70代80代の卒業生の方々が「学生時代に聞いたときはよくわからなかったけど、その後の長い人生を生き抜くなかで、究極の決断を迫られたときの軸は、『人間の尊厳』だった」と聞いたときも心が震えましたが、学生時代にその価値を理解している今の学生が、これからの日本を支えてくれと思うと心強いです。続いて笠井さんお願いします。
笠井
私にとってのBeautiful Campusはグリーンエリアです。私のいる財務課は同窓会館の2階にあって、グリーンエリアを一望できます。外部から銀行や証券会社の方が来訪されることが多くて、最初に「素敵なキャンパスですね」という話になるんですよ。グリーンエリアでごはんを食べていたり、時には一体何をしてるのかな?という姿も見られたりして、学生が自然体で過ごしている姿が見られるのも大好きです。また同窓会館から正門へと抜ける道が、森の中の繁みの小径のようになっていて、そこは青い花が咲いていたり、セミがすぐ近くで鳴いていたりと自然を満喫できるスポット。ここもお気に入りです。
グリーンエリアから同窓会館へ続く道
Nanzan Mindは私も皆さん同様です。入職して2、3年目の頃に学園理事長の市瀬先生と話す機会があったのですが、先生が「いつも職員の方に助けられて感謝しています」とお声がけくださったんです。教員の先生方とも楽しく話が弾みますし、皆さん他者を尊重するという姿勢が伝わってくるので、学園風土として「人間の尊厳のために」が息づいているのだと感じます。
岡さんはいかがですか。
岡
私にとって特別な場所は、S棟です。社会人として初めて配属された場所なので特に思い入れがあります。S棟は「山里キャンパス」でも比較的新しい建物ですが、キャンパス全体でデザインが統一されているので、外見だけでは新旧の区別がつかないくらいこの地に馴染んでいます。また、設計面でも元の地形を生かした、丘に沿うような構造になっていて、教室も斜面をうまく利用するような形で配置されています。レーモンド建築の特徴である「自然を基本として」の精神が感じられる点も魅力です。
S棟
Nanzan Mindは、ちょっと言語化が難しいんですが、職員目線で話しますね。事務職員の業務には、オープンキャンパスや入試運営など、課室を超えて取り組む行事がいくつかあります。こうした場面では、普段異なる業務に携わる職員同士が「はじめまして」という感じでチームを組むことも多いのですが、不思議と「この人ちょっと苦手かも」と感じたことがありません。垣根なく意見を交わし、困ったことがあったらすぐに共有して、スムーズに物事を進められるんです。行事が終わった後には、来年度に向けた改善意見も活発に交わされます。やはり、皆さんの心に「大学が好き」、「南山の良さをアピールしたい」という想いがあるからこそ、こうした協働が自然に実現できるのかな、と感じます。
学長が掲げる3Ds(Dignity人間の尊厳の推進、Diversity多様性の重視、Dialogue、対話の場づくりとその実践)が文化的に根付いているということでしょうね。
『YAMAZATO60++』に向けての企画アイデア募集!
YAMAZATO60プロジェクトへの企画アイデアラッシュをしたいと思います。実現可能性はさておき、自由にアイデアを出してください。
中野
職員、学生、教員を交えて話す座談会はどうですか?テーマ設定が難しいかもしれませんが。垣根を超えた対話、興味あります。
池
職員の方たちに自由に発言してもらうなら、大人数で集まるよりは、学生を交えた少人数にすると発言しやすいのでは、と思いました。まさに中野さんが言うような垣根を超えた座談会企画。私はここに卒業生も入ってもらえると話題が広がっていくのでは、と思いました。私はキャリア支援課なので、学生に卒業生ともっと交流してもらいたい、という思いがあります。インタビュー企画でもイベントでもいいので、そういう機会も増やしたいです。冒頭に話したように、就活でネガティブな気持ちになる南山生をひとりでも減らしたいし、南山を大好きになって社会へ旅立っていって欲しい。卒業生と話していても楽しそうに働いている方が多いので、在学生にはもっと自信をつけてもらって、南山愛が溢れる状態で社会人になって欲しいと思います。キャリア支援課のイベントでは規模が小さくなってしまうので、大学生と卒業生の交流会をYAMAZATO60プロジェクトで規模を大きくして開催して欲しいです。

イベントの様子を記事としてアーカイブに残していけば、後々まで活用できそうですね。活躍する卒業生に一方的にしゃべってもらう講演というよりは、現役学生とのトークセッションとかオープンな質疑の場にするといいかもしれませんね。
池
キャリアを築くうえでは、偶然の出会いも大事だと思うので、ぜひ。
岡
現役生と卒業生の対話という案が出ましたが、さらに踏み込んで、親子2代で南山生という方々に登場いただくとかはどうでしょう。過去と現在の南山生の対話、そこに親としての視点も含まれると複眼的な話が展開しそう。「今の南山が羨ましい」とか、「そこは変わらないね」みたいなフランクな話が聞いてみたいです。

笠井
キャンパス内の謎解き企画はどうですか?学生が出題して、参加者にキャンパス内を回ってもらうツアーです。先日アップされた学生座談会の記事を読んだときに、学生の皆さんの柔軟な発想がすごく面白かったんですよ。なぜ私からはこういうアイデアが出ないのかな、と考えたときに気がついたんです。アイデアが浮かんでも、いやいやこういう課題にぶち当たるからちょっと無理かも、とか、予算かかり過ぎるんじゃない?と自己否定(笑)。そういう壁をとっぱらって考えると、ファミリー向けイベントで、学生がヒーローになる戦隊もののヒーローショーとかもやってみたいと思いました。

地域との連携という視点で、キャンパス周辺のゴミ拾いイベントとか、町内会の盆踊り会場としてグリーンエリアを開放するとか、こんなアイデアはいかがでしょうか。
中野
地域とのコミュニケーションはすごくいいと思います。幼い頃から南山大学を認知してもらう取り組みは、地域から愛される大学になるためにも重要なポイントだと思います。そして将来ここに通いたい!と思ってもらえたら最高ですよね。

地域に根付く取り組みとして、防災イベントも良さそうですね。
岡
小学生向けに「夏休みの自由研究のネタ探しを大学でやってみよう」企画とか。
池
学部単位でやっていたりするので、それをYAMAZATO60+で取り上げてくれたら全学的な取り組みになっていいかも。
中野
南山学園内の単位校との交流を増やす取り組みはどうでしょう。YAMAZATO60+の一環でコミュニケーションとれないですかね?
偏差値だけではない大学の価値や、4年間を過ごす空間としてのキャンパスのことも丁寧に発信していけるといいですね。
笠井
キャンパスで学ぶ良さも伝えていきたいです。
大学創立100周年、20年後に想いを馳せる

では続いて、2046年に迎える南山大学創立100周年、約20年後に向けた話を。20年後は皆さんアラフィフ世代になりますが、この先、南山がどんな大学であることを期待しますか?
笠井
「人間の尊厳のために」の継承はもちろんのこと、統一感のあるこのキャンパスはぜひ残していきたいと思います。18歳人口が減るなかで、選ばれる大学として残るために何をしていくべきか。
南山大学自体が、コンフォートゾーンを出なきゃいけない、ということかもしれません。
中野
卒業生にとっても在学生にとっても、南山をめざす受験生にとっても誇れる大学であって欲しいと切に願います。偏差値一辺倒で大学の価値を測るのではなく、南山の価値をロゴスで、言葉でしっかりと魅力を伝えていく。私はいま入試広報という場で戦っているので、100周年に向けたロードマップをしっかりと描いてそこに向かって走っていけるよう、考えていきます。
池
20年後の卒業生も、胸を張って「南山で良かった!」と誇りに思える大学であって欲しいです。楽しく充実した大学生活を送って欲しい。その母校愛の醸成が、対外的なアピールにもつながっていくと思うから。そのための環境は、教職員一同でしっかり用意しますので。
岡
「人間の尊厳のために」という言葉が、学生や教職員の間にしっかりと根付いている点は、南山大学ならではの強みであり、誇りに思います。そのうえで、教育モットーに共感してくれる、より多くの志望者を獲得できる大学であることを期待します。その実現には、全国的な知名度の向上が不可欠ですが、受験生に「人間の尊厳のために」と伝えても、すぐにはピンとこないだろうと思います。ですから、まずは教職員が南山大学の良さをしっかりと言語化して伝えていくという地道な活動が大切だと思います。
『YAMAZATO60+』プロジェクトの認知が少しずつ広がってきているようです。20年後を担う若手職員の方々の話を聞いて、頼もしく思いました。
