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学長からのメッセージメイルマガジン「EPISTOLA」

No.32「聖園の巣箱から『肥前国風土記』へ」

2019年11月20日

秋の始まりを感じる頃、聖園祭へ出かけました。藤沢市にある南山学園聖園女学院高等学校・中学校の学校祭です。小田急江ノ島線・藤沢本町駅から徒歩で約10分。生徒たちが聖園坂と呼ぶ坂道を、息を切らして登り、学校祭受付へ到着しました。南山大学キャンパスも、私が通うコースは坂道です。「登下校」という言い回しを体感できて、高台にある学校に親しみを感じました。

学校祭受付では、生徒さんが校長室のある棟へ案内してくれました。企画展から戻られる校長先生を待つあいだに、気になっていた質問を事務の方にしてみました。「テレビ番組でも取り上げられることになった、校内の樹木に生息するシジュウカラを観察することができますか。」すると、担当の教諭も呼んでくださることになりました。

こうして、聖園祭訪問の記念に、シジュウカラの巣箱を背景に、前南山大学長で現聖園女学院高等学校・中学校校長ミカエル・カルマノ先生と一緒に写真を撮ることができました。シジュウカラの生態観察に関わっていらっしゃる池田教諭に撮っていただきました。生徒とともに野鳥の子育てを観察しながら、生命の大切さを考える契機にしているそうです。校内にはよく手入れされた花壇もあるようですが、今回の訪問では「巣箱」に注目してみました。巣箱は校内に20個ほど設置してあるそうです。しかし、どの巣箱にも野鳥が住みつくわけではないそうです。私が訪問した時、シジュウカラは巣立った後で、巣箱は空でした。

ところで、鳥といえば、私の「鳥巣(とりす)」も珍しい名前です。一説によれば、昔、鳥を飼育していた場所、地名に由来するようです。もう随分前になりますが、私の兄姉と集う機会があって、家のルーツはどこだろうという話題になった時、亡くなった両親から姉たちが聞いていた古い地名が、現在の佐賀県唐津市近辺の町村名でした。私は、数年前にこの話題を思い出し、便利になったネット検索で関係する町村名を調べてみました。すると、唐津市内には「鳥巣」という地名が今も残っていることが分かりました。さらに、この地名の歴史を探っていくと、『肥前国風土記』に、この地名に言及する記述があるのを見つけました。「へぇ~すごい」とひとり感動しました。そういえば、佐賀県には「鳥栖(とす)」市がありますが、唐津市内の地名の方は「巣」の文字を使っています。そこで数年前の夏、ルーツ探しの旅と称して現地に向かい、現在は閉校になっている様子ですが、私と同名の「鳥巣分校」という小学校を見つけることができました。

さて、聖園祭では、カルマノ校長に校内の諸企画・展示会場をご案内いただきました。感謝するとともに、さらなる学園内連携の推進を期待しています。

シジュウカラの巣箱を背景に、カルマノ校長と

南山大学長 鳥巣 義文

発行人:南山大学長
発行 :南山大学学長室 (nanzan-mm-admin@ic.nanzan-u.ac.jp