文字サイズ
  • SNS公式アカウント
  • YouTube
  • Facebook
  • X
  • Instagram

学長からのメッセージメイルマガジン「EPISTOLA」

No.20「お茶と気づき」

2018年11月21日

本学の大学祭は、毎年11月初めに3日間開催されます。そして、その最終日が卒業生のホームカミングデーと重なります。今年「bouquet(ブーケ)」というメインテーマのもとで繰り広げられた第69回大学祭の最終日は、あいにくの雨天となりましたが、来場された多くの方々に在学生と同窓会のさまざまな企画を楽しんでいただけたことと思います。

ところで、本学キャンパスの木々の茂みの中に茶室がありますが、大学祭の間にお茶会が催されていました。また教室棟のロビーでもお茶会が催されていました。今年こそお茶席におじゃましたいと思いつつも、実現できませんでした。このように思ったのは、去る9月に本学キャンパスで第13回東アジア茶文化シンポジウム・文化と平和を考えるパネル討論会が開催された折に、裏千家の千玄室大宗匠とお話しする機会があり、茶道の精神と世界平和の願いとの強い結びつきを感じさせていただいたからです。ちなみに、私自身は学生時代に半年ほどお茶のお稽古をする機会があったのですが、その後、和室のない生活や海外留学などが続いたこともあり、長い間まったく茶道に触れることがありませんでした。シンポジウム会場ロビーで久しぶりに一服いただき、昔、お稽古中に正座した足がしびれてしまい、うまく立ち上がれなかったことなどを懐かしく思い出しました。

そのような中、「日日是好日」(※1)というタイトルの映画が上映されているのを知り、さっそく鑑賞しました。EPISTOLA読者の中にもご覧になった方々がおられることでしょう。森下典子さんのエッセイ「日日是好日―『お茶』が教えてくれた15のしあわせ―」を、大森立嗣監督が黒木華さん、樹木希林さんらのキャストで映画化した作品です。映画鑑賞後に、原作エッセイの方も読んでみたくなりました。読後、「成長を待つこと」と見出しの付けられた章を締めくくる森下さんの次の言葉が心に残りました。

気づくこと。一生涯、自分の成長に気づき続けること。
「学び」とは、そうやって、自分を育てることなのだ。(※2

本学内にある茶室(方寸庵・也有の席)

お茶のお稽古をする学生時代の鳥巣学長

茶道と大学の学術研究との違いはあれども、何かを学ぶためには、いろいろなことに気づくことが必要であり、学んで成長する間も、自分の成長過程や時どきの自分の立ち位置などに気づいていくことが欠かせない。昨年に続いて、今年の学長方針にも記した「自覚、成長、円熟」という言葉につながると感じています。

※1 森下典子 原作、大森立嗣 監督・脚本『日日是好日』、ヨアケ、ハーベストフィルム、2018年

※2 森下典子「日日是好日―『お茶』が教えてくれた15のしあわせ―」(新潮社、2008年)230頁

南山大学長 鳥巣 義文

発行人:南山大学長
発行 :南山大学学長室 (nanzan-mm-admin@ic.nanzan-u.ac.jp