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学長からのメッセージメイルマガジン「EPISTOLA」

No.17「花火つながり」

2018年8月22日

7月から8月にかけて、名古屋では35度を超え、ほぼ体温と同じくらいの気温の日々が続きました。全国的にも暑い日が続いていますが、西日本を襲った豪雨で被災された皆さんはいかがお過ごしでしょうか。心よりお見舞い申し上げますとともに、一日も早い復旧を心よりお祈り申し上げます。

さて、「南山チャレンジプロジェクト」という学生課の発案で昨年始まった企画に、今年も多くの学生が多彩なアイデアをもって応募していますが、そうしたアイデアの中から継続的な活動が育っています。もともと学生が自分で温めていた夢や、思いを同じくする仲間同士で既に少しずつ始めていた活動もある様子ですが、私には、この企画が学内の教職員と学生の共生・協働のための仕組み作りに貢献しているように感じられます。

例えば、先月、学内で「南山ゆかたフェス」が開催されました。実は昨年、初チャレンジということで、南山ゆかたフェス実行委員会の学生たちは皆で集まって企画内容について一から話し合っていた様子でした。着付けのできる人を募集したり、日本文化の紹介やお茶会の同時開催の可能性を検討したり。今年は、昨年に引き続きプロによるゆかたの着付け指導やお茶会のほか、新しくヘアアレンジの手配、パッヘスクエアでの七夕の短冊飾り、水風船のヨーヨー釣りなどのゲーム、かき氷やラムネなどの販売、そしてアカペラサークルによるaikoの『花火』の演奏もあり、盛りだくさんなイベントになっていました。確か、昨年は、「名古屋みなと祭」の花火大会とリンクさせたようですが、このような外部企画との日程調整は難しいものです。私は、ヨーヨー釣りをしながら、アカペラサークルの『花火』を聴くことができた今年の企画はとてもよかったと感じています。

ところで、『花火』は懐かしい曲だったので、思い立って、3年ぶりに aiko Liveに出かけました。

夏の星座にぶらさがって上から花火を見下ろして
たしかに好きなんです もどれないんです
夏の星座にぶらさがって上から花火を見下ろして
最後の残り火に手をふった

(参照:「花火」作詞・作曲AIKO、『桜の木の下』ポニーキャニオン、2000年(CD))

ポップ・ミュージックの「サビ」とは、曲の聴かせどころを指すようです。上に引いた歌詞はaikoさんがメジャーデビューしてから3番目にリリースした『花火』のサビの部分といわれています。夏の花火大会で見上げる大きな打ち上げ花火を、河原などにいて見上げたりするのが普通ですが、夏の星座にぶら下がって上から花火を見下ろすという発想は、なかなか面白く、作者の奇抜な空間認識を示しています。しかし一方で、残り火に手を振る作者の切ない心情も描かれており、そうなると、作者がぶら下がった星座は、もしかすると、空の星ではなく地上の恋人なのでは、という思いもわいてきます。初期の作品ですが、aikoさんらしい、相手を想う複雑な心情が表現された曲だと感じます。

ところで、ライブ当日は台風が接近していて、鉄道や地下鉄が早めに運休になる状況でした。ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、aiko Liveといえば、aikoさんのトークと、それに加えたステージとフロアーの掛け合いが醍醐味の一つになっています。しかし、当日のaikoさんは、台風の影響で帰路の交通事情を心配している遠方からのファンのために、時間ぴったりに開演し、アンコールまで途中で休憩をとることなく演奏し続けていました。また、途中のトークも普段よりも短めで、ファンへの気遣いが良く伝わってきました。今年でデビュー20周年を迎えるとのことでした。ライブ会場に集うファンやバンドメンバーのみならず、会場警備員の人たちへの気遣いも忘れていない、プロのアーティストの姿勢を大いに学ばせてもらったライブでした。

南山大学長 鳥巣 義文

発行人:南山大学長
発行 :南山大学学長室 (nanzan-mm-admin@ic.nanzan-u.ac.jp