学長からのメッセージメイルマガジン「EPISTOLA」
No.70「2026年の新年」
2026年1月21日
2年前、新年早々に私たちを震撼させたのは、自然災害である能登半島地震でした。今年は、新年早々に、人災、すなわちアメリカによるベネズエラ侵攻と、ベネズエラ大統領夫妻の拘束と国外への強制的な移送という事態に直面しました。アメリカ政府の行動は、教皇レオ14世をはじめとする世界の指導者からほぼ全面的に批判されました。教皇は声明を発表し、「愛するベネズエラ国民の幸福は、他のあらゆる考慮事項に優先しなければならない」と述べ、ベネズエラの主権は保障されなければならないと訴えました。
カトリック教会は毎年1月1日を「世界平和の日」として祝っており、教皇はこの祝典に合わせて公式声明を発表しています。今年の世界平和の日に向けてレオ14世教皇が発表した声明は、かなり前から準備されていたため、世界平和に対するこの最新の脅威に直接言及しているわけではありませんが、今日の私たちの状況において特に重要と思われるいくつかの点を指摘しています。
まず、世界平和実現の難しさに対しては、私たち一人ひとりに役割があると教皇は主張します。「平和は遠く離れた不可能なことだと考えずに、平和を受け入れ、認めてください。平和は、目的である以前に、存在であり、歩みです。嵐に脅かされた小さな炎のように内外で反対を受けても、平和をあかしした人々の名前と歴史を忘れることなく、平和を保ってください。平和は、わたしたちの選択を導き、決定づける原理です。」
今日の不安な状況下では安全保障のために軍備増強が広く要求されていますが、それは間違った解決策であると教皇は考えています。「他国からの危険を口実にして、軍事費の増大が繰り返し要求され、この要求に従う決定が多くの国でなされているのは、偶然ではありません。実際、力による抑止力、とくに核抑止は、法と正義と信頼を基盤とせずに、恐怖と武力の支配を基盤とする諸国民の関係の非合理性を体現しています。」
また、対話の難しさを認めながら、その必要性が強調されています。「『真に平和を愛する人は、平和の敵をも愛する』のです。聖アウグスティヌスはこのように述べて、橋を破壊し、執拗に非難するのではなく、耳を傾け、可能なかぎり他者の主張に向き合う道を選ぶようにと勧めました。」
最後に、この状況の中でこそ希望を保つ重要性が伝えられています。「正義と人間の尊厳は、かつてないほどに、強者間の力の不均衡にさらされています。不安定と紛争の時代に生きるわたしたちは、どうすれば悪から解放されるでしょうか。希望を生き生きと保つ、あらゆる精神的・文化的・政治的な取り組みを促し、支える必要があります。」
今年こそ皆さまにとって平和と希望に満ちた一年になるように祈りつつ、新年の挨拶を送ります。
南山大学長 ロバート・キサラ
発行人:南山大学長
発行 :南山大学学長室 (nanzan-mm-admin@ic.nanzan-u.ac.jp)