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学長からのメッセージメイルマガジン「EPISTOLA」

No.63「Habemus Papam」

2025年6月18日

新しい教皇が誕生しました。133名の枢機卿がコンクラーベで、シカゴ出身、アウグスティヌス会修道者のロバート・プレボスト枢機卿を教皇として選出しました。アメリカ出身、アウグスティヌス会員として、いずれも初めての教皇です。イエズス会員であったフランシスコ教皇に続いて2名連続の修道者教皇ですが、フランシスコ教皇の前の修道者教皇は1831年に選出されたベネディクト会員グレゴリウス16世で、カトリック教会の歴史上、修道者教皇は比較的稀なことです。

選出された新しい教皇が最初に決めなければならないことは、教皇としてどんな名前で呼ばれたいか、ということです。プレボスト枢機卿は「レオ」を選びました。先代のレオ13世は1891年に発行された回勅「レールム・ノヴァルム」の著者です。「レールム・ノヴァルム」はラテン語で「新しい事柄について」という意味で、産業革命のもとで社会問題となった労働者の権利を主張する文書です。この文書はカトリック教会の教えにおける新たな発展、すなわちキリスト教的価値観に基づいて、さまざまな社会問題に対する教会の考えを積極的に提示する社会教説の第一歩でした。選出後の最初の演説でレオ14世は、人工知能の発展が労働者にとって新たな挑戦であり、教会の社会教説の新たな課題になっている、と自らの教皇名の由来を説明しました。

プレボスト師は司祭叙階後、宣教師としてペルーに派遣され、17年間ペルーで活躍しました。また、アウグスティヌス会内のリーダーとして管区長、そして修道会全体の総長を歴任しました。彼は牧師としても行政官としても豊富な経験があり、その両方のスキルは教皇としての職務において重要な役割を果たすでしょう。

新しい教皇は私が学んだシカゴの神学大学院の卒業生で、神学校での滞在期間は私と1年間重なっていました。また、私が神言会のローマ本部に滞在した期間中、彼はアウグスティヌス会の総長としてローマに居住していました。実際に彼に会ったはっきりとした憶えはありませんが、何となく親近感を強く持っています。この不安定な時代に、教皇としての彼の奉仕がカトリック教会だけでなく全世界に豊かな祝福をもたらすことを祈ります。

南山大学長 ロバート・キサラ

発行人:南山大学長
発行 :南山大学学長室 (nanzan-mm-admin@ic.nanzan-u.ac.jp