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学長からのメッセージメイルマガジン「EPISTOLA」

No.52「第3回南山大学「人間の尊厳賞」表彰式」

2024年7月17日

6月8日に、大学キャンパス内のフラッテンホールで、第3回南山大学「人間の尊厳賞」表彰式が開催されました。今回の受賞者は、分身ロボット発明家吉藤オリィ氏です。吉藤氏は「孤独」状態の解決をライフワークとされています。小さい時は病弱で、3年間不登校の経験もあってご自身も深刻な孤独さを感じていたからこそ、この問題意識をお持ちです。

吉藤氏が開発された分身ロボット「OriHime」(おりひめ)は、職場や学校、野外行事などに遠隔から出席し、臨場感を持って他者とのコミュニケーションを図ることを可能にしました。このロボットは重度の身体障がい者や外出しづらい人々など、さまざまな困難を抱えた方が利用でき、また、寝たきりになりうるすべての人にとっても希望の光になりえます。「孤独」という誰もが直面しうる社会問題に対して、自らの努力でより良くしていこうとする姿勢や科学技術によって解決の糸口を見出す吉藤氏のアプローチは、「人間の尊厳」への理解をさらに多くの人々に広げ、「人間の尊厳」という理念の具現化を推進する事績であるといえます。

南山大学「人間の尊厳賞」は、大学創立75周年記念事業の一環として2021年度に創設されました。その意義は、まず大学として、建学の理念に立ち返り、果たすべき使命を再確認することにあります。また、毎年、人間の尊厳のために格別な貢献をしている個人や組織を受賞者として大学にお招きし、ご講演いただくことによって、大学の関係者をはじめ、広く社会においても、「人間の尊厳」を意味するものがより具体化され、その実現のために一人ひとりができる独自の貢献について考える機会になれば、本学の建学の理念の実現に向けた大きな一歩になると期待できます。特に人間の尊厳が大きく踏みにじられている出来事が少なくない現在において、この賞は格別な意義を持っていると思います。

第1回受賞者の青木陽子氏は、視覚障がいを持つ方々に教育を通して国際舞台で活躍ができる機会を与えた功績が讃えられました。第2回受賞者の社会活動家湯浅誠氏は、「子ども食堂」支援など、貧困や格差への取り組みが注目されました。吉藤オリィ氏は、孤独の問題を解決する努力が称賛され、今回の受賞となりました。このように、南山大学「人間の尊厳賞」を通して、人間の尊厳の様々な側面がさらに広く認識され、私たち一人ひとりが独自の貢献について考える機会となれば、と思っています。

第3回受賞者 吉藤 オリィ氏

南山大学長 ロバート・キサラ

発行人:南山大学長
発行 :南山大学学長室 (nanzan-mm-admin@ic.nanzan-u.ac.jp