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学長からのメッセージメイルマガジン「EPISTOLA」

No.51「2024年日本建築学会賞の受賞」

2024年6月19日

今年の4月に、「南山大学におけるモダニズム建築群の保存再生と大学キャンパスの成⾧デザインへの取り組み」が日本建築学会賞(業績)を受賞した、という発表がありました。今回は二回目の受賞となりました。60年前に、「山里キャンパス」への移転に伴い、アントニン・レーモンドが「自然を基本として」というコンセプトで設計した新キャンパスのモダニズム建築が注目され、日本建築学会賞(作品)を受賞しました。今回、2015年のQ棟・リアンの着工から始まり、レーモンド・リノベーション・プロジェクト、2023年のライネルス中央図書館計画を経て、⾧期間にわたりレーモンド建築の再生保存を取り入れながらキャンパスを継続的に成⾧させている取り組みが高く評価されました。

https://www.nanzanu.ac.jp/Menu/news/2024/award/

「山里キャンパス」への移転と新キャンパスの設計・建築について、『HOMINISDIGNITATI 1932-2007 南山学園創立75周年記念誌』に詳しい記述が見られます。それによると、レーモンドはその当時の理事⾧ゲルハルト・シュライバー神父の知人であり、その関係で新キャンパスの設計を任せられました。南山学園の理事会が機能的、経済的、堅牢、質素、維持費用の軽減、将来の修理の簡便さ、自然保護という7項目の方針を決め、レーモンド事務所はその方針に従って設計しました。レーモンド自身が新キャンパス建築予定地を視察するために名古屋へ来て、「敷地を南北に貫く尾根の細い道、敷地の背骨のような道、東西南北に素晴らしい眺望を持つので、この尾根を敷地計画の基本とすることを決めた」と伝えられています。レーモンドが設計した新キャンパスの特徴、また「レーモンド・リノベーション・プロジェクト」を通してそれがどのように生かされているかは、ライネルス中央図書館エントランスラウンジのレーモンド展示コーナーで紹介しています。

前回の日本建築学会賞の受賞理由は、「高価な仕上げ材の美しさや特異な構造体の奇抜さに頼ることなく、与えられた自然との調和と機能的な校舎群との結びつきのなかから、これまでに見られなかった大学校舎群の新しい空間的秩序を建築したことは高く評価されなければならない」というものでした。今回の受賞理由には、「単なる保存活動を超えた業績になっており、大学のブランド価値を高める目標を達成した改修は、教職員と学生からも好意的に受け入れられている。大学キャンパスに対する愛情が強く感じられる業績と言えよう」という表現が見られます。今年度は「山里キャンパス」への移転60周年であり、現在様々なイベントを検討している最中です。これを機会に多くの人がキャンパスを訪れ、キャンパスの特徴である質素な美しさを味わっていただければ、と思っています。

2024年日本建築学会賞贈呈式の様子

南山大学長 ロバート・キサラ

発行人:南山大学長
発行 :南山大学学長室 (nanzan-mm-admin@ic.nanzan-u.ac.jp