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学長からのメッセージメイルマガジン「EPISTOLA」

No.50「サービス・ラーニング」

2024年5月15日

今年度の「学長方針」に、「大学での学びを地域に還元するサービス・ラーニングの授業科目への導入を検討する。」という課題を盛り込みました。「サービス・ラーニング」という言葉は、アメリカで初めて用いられたようです。すでに1961年に、ケネディ大統領は「平和部隊」(Peace Corps)を設立し、多くの若い人が海外のボランティア活動を通して学校で学んだことを深めようとしました。1969年に、平和部隊の職員は大学教員や学生とともにジョージア州アトランタで会議を開催し、教育に対する新しい教育的アプローチとして「サービス・ラーニング」を定義しました。サービス・ラーニングがアメリカ各地で実践されるようになったのは、1990年に「国家及びコミュニティ・サービス法(National and Community Service Act)」が制定されてからです。この法律に基づいて連邦政府は「国家及びコミュニティ・サービスのための協会(Corporation for National and Community Service)」を組織し、サービス・ラーニングが全国で展開されるようになりました。組織化されたのはアメリカですが、サービス・ラーニングのような概念は、例えばブラジルの教育者パウロ・フレイレ(Paulo Freire)やインドのガンジーの思想にも見られます。

2年前の「国際カトリック大学連盟」(International Federation of Catholic Universities, IFCU)の総会でサービス・ラーニングに関する分科会が開催され、そこでサービス・ラーニングが国際的に展開されていることを確認しました。日本国内でも、筑波大学、立教大学、国際基督教大学などでサービス・ラーニングを促進するために組織が設置されています。例えば筑波大学のホームページでは、「サービス・ラーニングは、教室で学ばれた学問的な知識・技能を、地域社会の諸課題を解決するために組織された社会的活動に生かすことを通して、市民的責任や社会的役割を感じ取ってもらうことを目的とした教育方法」と定義されています。(筑波大学ウェブサイト

サービス・ラーニングは実施する前の準備として省察(リフレクション)と現場の研究・分析から始まり、実施後、経験したこと、学んだことに関するプレゼンテーションやさらなる省察(リフレクション)を含みます。南山の3Ds(Dignity, Diversity, Dialogue:人間の尊厳、多様性、対話)に相応しい教育方法として、本学での実施・拡大を期待しています。

南山大学長 ロバート・キサラ

発行人:南山大学長
発行 :南山大学学長室 (nanzan-mm-admin@ic.nanzan-u.ac.jp