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学長からのメッセージメイルマガジン「EPISTOLA」

No.45「馬小屋」

2023年12月20日

今年も、今月からキャンパスのメインストリートにイエスの誕生を描写する馬小屋が飾られています。この馬小屋は、聖書に含まれているルカによる福音書に記述されているイエスの誕生の物語に基づいています。皇帝アウグストから全住民の登録が命じられたので、ヨセフと身ごもっていたマリアは、ナザレからベツレヘムへ旅立っていました。しかし、マリアはそこに泊まる宿を見つけられなかったので、止む無く馬小屋で凌いでいました。その場でマリアはイエスを産み、幼子を飼い葉桶に寝かせ、その周りに野宿していた羊飼いたちがイエスの誕生を祝いに来ました。

イエスの誕生の物語を描写する馬小屋を飾る習慣は、13世紀のイタリアから流行するようになったようです。アッシジの聖フランシスコは、中東を訪れた際に初めてその習慣を知り、母国のイタリアにそれを紹介したそうですが、今でもイタリアのクリスマスには欠かせない習慣です。各教会には手の込んだ馬小屋が飾ってあり、クリスマスの日には家族で昼食の祝いをしてから家族ごとに近くの教会を回り、飾ってある馬小屋を鑑賞する人が多いです。

アッシジの聖フランシスコによるイタリアでの最初の馬小屋は1223年、グレッチョ(Greccio)という町で実現したものだそうですが、今年はちょうど800年を迎えます。ヴァチカンのサンピエトロ広場にも毎年工夫を凝らした馬小屋が飾られていますが、今年の馬小屋は800年前のグレッチョのものを記念したもので、その敬意を表しています。

加えて、何年か前からヴァチカンは各国から馬小屋を募集し、「ヴァチカンにおける100馬小屋」をサンピエトロ広場で展示しています。このような各国の多種多様な馬小屋の展示は、イエスの誕生の意味を上手く反映していると思います。イエスの誕生により神が人間となって私たちの間に住むようになりました。どんな状況の中でも、私たちの最も必要な時に、人類の最も必要なところに、神は宿をとり私たちと一緒にいることにしています。今年も戦争、気候変更、人種をはじめとするあらゆる差別、危険な労働、不正な政治など、人間の尊厳を脅かす問題が絶えないですが、その中にこそ神が私たちと一緒にいるのです。それこそがクリスマスのメッセージです。

Merry Christmas!

南山大学長 ロバート・キサラ

発行人:南山大学長
発行 :南山大学学長室 (nanzan-mm-admin@ic.nanzan-u.ac.jp