学長からのメッセージメイルマガジン「EPISTOLA」
No.42「新たな時代における大学の国際化とは」
2023年9月20日
先日、私立大学連盟(私大連)主催の「学長会議」に参加しました。私大連は年に2回、学長会議を開催します。そこでは共通の関心事について議論され、学長はそのテーマに関する自分の大学の経験を共有することができます。パンデミック中にはほとんど中止となりましたが、去年は1回オンラインの学長会議に参加することができました。今回の会議は大阪で開かれ、対面とオンラインのハイブリッド型で実施されました。私は対面で参加しました。
今回のテーマは「新たな時代における大学の国際化とは」でした。会議の第一部では、3名の発表がありました。まず、独立行政法人日本学生支援機構の代表が、留学のインバウンド現状について、「東南アジアの学生が日本留学に求めるもの」というタイトルで発表しました。今日本に来る留学生は、以前主だった東アジア(中国、韓国、台湾)から、東南アジア(ベトナム、インドネシア、ミャンマー、タイ、など)の出身者へ、急速に変化している傾向が見られるとのことでした。この変化に対応する日本の大学の戦略が課題になっています。

第二の発表者は文部科学省高等教育局の参事官で、彼は「教育未来創造会議二次提言について」というタイトルで、最近の留学に関する高等教育政策を説明しました。おそらくもっとも重要なポイントは、2033年までに日本人学生の留学派遣を50万人に増やし(コロナ前は22.2万人)、外国人留学生の受入れを40万人(コロナ前は31.8万人)に増やす計画だということです。そのためには大学と留学生(派遣も受入れも)に対しての支援を増加する必要があるでしょう。
第三の発表者は佐賀女子短期大学の今村正治学長で、テーマは「地方大学における国際化を考える」でした。グローバル化が加速する中、特色ある大学に向けた活路としての国際化について、特に地方大学の視点からその取り組みや可能性が話されました。
第二部では、私たちは小グループに分かれて、大学の更なる国際化に向けての試みや対策、その問題点に関して分かち合いました。私が参加したグループでは、特に教育媒体としての英語について議論され、様々な経験と留学を促すための経済的な支援の増加が課題となりました。最後に、各グループから討議概要が共有されました。今求めている大学の国際化は量的なものよりも質的のものではないか、という主張が印象的だと思いました。コロナ後の大学像に関して多くの学長たちと話し合うのは非常に有意義なものだと感じました。
南山大学長 ロバート・キサラ
発行人:南山大学長
発行 :南山大学学長室 (nanzan-mm-admin@ic.nanzan-u.ac.jp)