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学長からのメッセージメイルマガジン「EPISTOLA」

No.37「ワールド・ベースボール・クラシック」

2023年4月19日

先月はワールド・ベースボール・クラシックでの侍ジャパンの活躍を楽しみました。コロナ禍の影響もあって6年ぶりの大会で、日本代表チームの優勝は三回目、イチロー選手が活躍した2009年の二連覇から14年ぶりでした。決勝戦の前に私は何回か、「アメリカ代表か日本代表のどちらを応援していますか?」と聞かれましたが、私は迷わずに「日本」と答えました。理由は簡単です。アメリカ代表の選手の中で、私は元シカゴ・カブスのシューワバー選手しかわかりませんので、侍ジャパンの方に親しみを感じています。ベースボールの場合には、国籍よりもそれが大事ではないでしょうか。

決勝戦の劇的なフィニッシュを見ても、今大会は本当の意味でのクラシック(傑作)となると思いますが、一試合一試合が、ベースボールの単純な楽しさを味わうことができる試合でした。何よりもまるで球児のような大谷選手の笑顔からあふれる素直な喜びが、今大会の象徴になったでしょう。稀有な野球の才能を発揮しながら、チームメイトの活躍を応援し、その成果を素直に喜んでいる大谷選手は印象的でした。

去年、日本のプロ野球で、村上選手がホームラン王の新記録を目指し、対ドラゴンズの試合でそれができなかったときに私はほっとしましたが、今大会の長く続いた不振で苦しんでいた村上選手に同情しました。その苦しみから実った決勝戦でのホームランを見て、私は彼と共に心より喜びました。

侍ジャパンを率いた栗山監督にも注目したいと思います。選手一人ひとりへの配慮、一人ひとりへの信頼が侍ジャパンの優勝を導いた重要な要因だと思います。不振の村上選手を使い続け、大事な場面をチーム最年少の高橋宏斗投手に任せ、帰国後の記者会見で試合での出番があまりなかった牧原選手と周東選手に特別な気配りを見せたこと、このすべてが栗山監督のリーダシップ・スタイルを示していると思います。

入学、入社など、人生の新しい舞台に立っている皆さんに、大谷選手の素直な喜び、村上選手の根気良さ、栗山監督の気配りをお勧めしたいと思います。人生がクラシックになるように、という祈りを込めて、新年度に向かいましょう。

南山大学長 ロバート・キサラ

発行人:南山大学長
発行 :南山大学学長室 (nanzan-mm-admin@ic.nanzan-u.ac.jp