文字サイズ
  • SNS公式アカウント
  • YouTube
  • Facebook
  • X
  • Instagram

学長からのメッセージメイルマガジン「EPISTOLA」

No.35「南スーダン」

2023年2月15日

今月の初めに、教皇フランシスコが南スーダンを訪問しました。3日間という短い滞在でしたが、教皇にとっても南スーダンの市民にとっても極めて重要な訪問だったでしょう。2016年に、教皇は南スーダンを訪れたい旨を表しましたが、その当時は内戦のために実行できませんでした。その後、パンデミックと教皇自身の健康不良のために訪問が何回か延期されたので、今月は待ちに待った訪問でした。

南スーダンは「世界で一番若い国」と言われ、20年以上の内戦を経て2011年にスーダン共和国から分離独立を果たしました。しかし、わずか2年後、独立のために一緒に戦った大統領と副大統領の争いの結果、南スーダン内の戦争が勃発しました。

私が神言会の総本部に勤めていた頃、南スーダンを訪れたことがあります。現地の司教の要請に応えて、神言会は2012年から南スーダンのイェー(Yei)教区で活動していますが、その翌年、そこで働くメンバーを訪問する機会がありました。1週間という短い間でしたが、苦しい生活の中でも、多くの人々が、自分たちの新しい独立した国家に対しての誇りと希望を持っていることを感じました。訪問中、教会に来る何人かの信者と話す機会があり、彼らは内戦ですべてを失った悲しさを話しつつも、南スーダンの肥沃な土地を耕す技術を再び学び、自分たちの手でこの新しい国を支える希望を語りました。その半年後、南スーダン内戦勃発のニュースを聞いた時、私は、むなしさとともに、権力的な野心のために争っている政治家の見勝手な行動に対して怒りさえ覚えました。

南スーダンの政治家に向けた教皇のことばを聞きますと、彼も怒りを感じているように聞こえます。国際報道によりますと、大統領などのリーダーとの面会で、彼は何回もイタリア語で“Basta!”(十分!)という言葉を使って、このように言いました。『十分な流血。十分な競合。誰が責任を負うかについての十分な暴力と相互の非難。人々が平和を切望するのはもう十分です。戦争の時代を後にして、平和の時代を迎えよう。』

正教会の指導者、カンタベリー大司教ジャスティン・ウェルビーとスコットランド教会のリーダーイアン・グリーンシールズは教皇に同行し、今回の訪問を「平和の旅」と呼びました。彼らの訪問が実を結びますように。

南山大学長 ロバート・キサラ

発行人:南山大学長
発行 :南山大学学長室 (nanzan-mm-admin@ic.nanzan-u.ac.jp