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学長からのメッセージメイルマガジン「EPISTOLA」

No.33「恵みの上に、さらに恵み」

2022年12月21日

12月16日(金)、神言神学院大聖堂で、例年通り南山大学降誕祭を執り行いました。新型コロナウイルス感染症拡大が続く中、参加人数の制限など感染防止措置を設けながら、対面でイエスの誕生を祝うことができ、嬉しく思いました。その場でお話ししたことを記します。

(聖書朗読:『ヨハネによる福音書』1:1-5,9-18)

先ほど朗読された聖書の箇所は、ヨハネによる福音書の冒頭のところですが、神言修道会を創立したアーノルド・ヤンセンはこの箇所に関して特別な思いを持ち、修道会の名前、神言会、はこの聖書箇所に基づいています。したがって、神言会の集会などで、この箇所がしばしば朗読され、親しみのある聖書箇所となっています。「言は肉となって、私たちの間に宿られた。」神ご自身が、イエスを通して人間となって、そこに人間の本当のすがた、人間の尊厳が表され、保証されています。このイエスに、「父の独り子としての栄光」がこの世にあらわれ、み言葉のとおり「私たちは皆、この方の満ちあふれる豊かさの中から、恵みの上に、さらに恵みを受けた」のです。

この3年間、私たちは新型コロナウイルスに振り回されて、自分のいのちをはじめ、愛する人々のいのち、強いて言えばすべてのいのちを守るために、必死に最良の方法を模索してきました。そのため、私たちは活動を制限し、欲望を抑え、多くの犠牲を払わなければなりませんでした。しかし、その中にも私たちは、「この方の満ちあふれる豊かさの中から、恵みの上に、さらに恵みを受けた」ことも事実だと思います。平常の大学生活ができなくなりましたが、新しい技術のおかげで授業や課外活動を続ける道が開かれ、そしてこの経験を通して慣れてきた新しい技術は、やがて私たちの生活に役立つものとなるでしょう。このウイルスのために愛する人とのお別れの悲しみを経験した人もたくさんいますが、私たちは皆、いのちの大切さ、日頃の交流と触れ合いの重要さを再確認したでしょう。「人間の尊厳のために」という南山の教育モットー、この使命がすべてのいのちの大切さを表し、私たちを導いてくださったのです。

何よりも、新型コロナウイルスによって全人類の運命が深くつながっていることが証明されたのは大きな恵みだと思います。コロナ禍を乗り越えるために、私たちは一つとなって協力して、小さなことを通しても多くの人々のいのちを守るために自分のできることを考え、実行してきました。まさに、「地球規模の関心、私たちの貢献」が注目されています。また、反対に、新型コロナウイルスは私たちの間の様々な格差とこの世の矛盾をも明確にしました。私たちはこのクリスマスに、より良い世界を想像し、その達成に向けて努力するよう招かれていると思います。すべての人のかけがえのない価値を示してくださったイエス、すべての人に対して神の愛を説いてくださったイエスを、私たちの光とし、すべての人の尊厳が守られた世界の実現を目指しましょう。

南山大学長 ロバート・キサラ

発行人:南山大学長
発行 :南山大学学長室 (nanzan-mm-admin@ic.nanzan-u.ac.jp