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学長からのメッセージメイルマガジン「EPISTOLA」

No.28「三年ぶりの上南戦」

2022年7月20日

今月の初めに、三年ぶりの上南戦を本学で開催することができました。猛暑と雨の中での選手の戦いぶりに、何度も感動しました。結局、南山大学は総合優勝を逃したものの、接戦がずっと続けられ、最後まで優勝の希望があったことを評価したいと思います。そして、久しぶりに上智大学の皆さんとの交流ができたことも、この三日間の大きな収穫だと思います。

例年通り、大会に先立って、上南戦祈念ミサを神言神学院で祝いました。その場での説教を掲載します。

第63回上南戦祈念ミサ(2022年7月1日)

(第一朗読:「フィリピの信徒への手紙」3章12~16節、福音書:「マタイによる福音書」7章13~14、24~28節)

先ほど朗読された「フィリピの信徒への手紙」で聖パウロは「なすべきことはただ一つ、目標を目指してひたすら走ることです」と書いています。これはまさに上南戦というスポーツ大会を祈念するこのミサに相応しい言葉だと思いますが、三年ぶりの上南戦を前にして、ここにもっと広い、もっと深い意味も含まれているのではないでしょうか。この二年間のパンデミックの経験で、私たちはいったい何をなすべきか、どんな目標を目指して走るべきか、考える機会が与えられたに違いありません。生活や活動が大きく制限されている状況の中でこそ、自分にとって何が本当に重要なのか、結局、自分にとって最も価値のあるものは何なのか、ということが、もっと明確になったのではないでしょうか。

また、「マタイによる福音書」で、イエスは弟子たちに「いのちに通じる門はなんと狭く、その道も細いことか」と目標の達成や、価値のあるものを手に入れることの難しさを示しています。この二年間私たちが経験したことは、この事実をも証明しているでしょう。この狭い門を通るために、この細い道を走るためには、自分の中に何か確かな土台がなければ到達できません。福音書でイエスが言っているように、砂の上ではなく、岩を土台とする自分の「家」を建てなければなりません。

今年度の大会のスローガンは「Revival」、「Revive to Thrive」、ということです。それは三年ぶりの上南戦のRevivalだけではなく、人々との交流、仲間たちとの日頃の生活、強いて言えば全人類のRevivalの年になるように、という希望がこのスローガンに含まれていると思います。

しかし、Revivalは単純に元に戻るということではありません。Revivalには、「新しい始まり、新しい出発」という意味合いが含まれています。フランシスコ教皇が繰り返し述べられているように、パンデミックにより、社会の様々な不公平および格差が明確になったことで、ポスト・コロナでは新しい、より良い世界を造る機会が与えられています。キリスト教ヒューマニズム、「人間の尊厳のために」という理念を持っている上智大学および南山大学の関係者として、私たちは特にこの高貴な取り組みに参加するように求められているのです。

この非常に広いコンテクストの中で私たちはこれからの三日間の上南戦に臨みます。優勝するためにお互いに戦い、力を尽くし、精神を尽くしながら、両校の親睦を深め、カトリック大学同士としての使命を確認し、ポスト・コロナのRevival、つまりより良い世界造り、という目標を目指してひたすら走りましょう。

南山大学長 ロバート・キサラ

発行人:南山大学長
発行 :南山大学学長室 (nanzan-mm-admin@ic.nanzan-u.ac.jp