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学長からのメッセージメイルマガジン「EPISTOLA」

No.27「第1回南山大学「人間の尊厳賞」表彰式にあたって」

2022年6月15日

今年5月26日、大学の創立記念日にあわせて、第1回南山大学「人間の尊厳賞」の表彰式・記念講演会が本学フラッテンホールで執り行われました。新型コロナウイルス感染症拡大防止のため対面会場で参加する人数を制限し、代わりに大学のYouTubeチャンネルで同時公開しました。

初代の受賞者は本学の卒業生である青木陽子さんで、記念講演のタイトルは「教育こそが未来を拓く~人間の尊厳を守るために~」でした。全盲の青木さんは、本学の文学部教育学科を卒業された後、アメリカでの留学および修士号の修得を経て、中国への留学を決心します。その当時の中国は、障害ある人にとって、教育を受ける機会さえ限られており、そのことを危惧した青木さんは、視覚障害者のために無償の日本語学校を開校しました。青木さんは自分の経験から教育の重要性を確信し、教育こそ人生に無限の可能性を与えるものだと考えました。彼女の教え子のお一人は、のちに日本で音楽を学び、音楽のプロフェッショナルとなりました。彼は、今回の講演会の最後に、イタリアのオペラと中国の伝統音楽を披露してくれました。

私は青木さんの講演会の内容に感動しました。動画はまだ大学のYouTubeチャンネルで視聴可能ですので、ぜひご覧になることをお勧めします。お話の内容と青木さん自身の行いについて、私が受けた印象を伝えたいと思います。青木さんの日本語学校の入学要件は、よく喋る、よく歌う、よく食べる、よく飲む、という四つの要件です。この要件を聞き、私は、前向きに生き、生きること自体の喜びを味わう人のことを意味するものだと受け取りました。講演中、青木さんは時間を確かめるために何回か自分の腕時計を「見て」いました。つまり、彼女は腕時計の蓋を開けて、手で針の位置を確認しました。それを見て私は青木さんのたゆまぬ努力に感動しました。小さなことでも、目的を達するために彼女は絶えず様々な可能性を探ったことでしょう。

南山大学「人間の尊厳賞」の創設の意義について、私は、これから毎年、受賞者の講演会を聴くことによって、「人間の尊厳」を意味するものがより具体化され、その実現のために一人ひとりができる自分の固有の貢献を考える機会を得ることだと考えていました。今回の表彰式・記念講演会に臨席して、話の内容とともに、受賞者の人柄に触れることも大事だな、と改めて思いました。青木さん、本当におめでとうございます。

南山大学長 ロバート・キサラ

発行人:南山大学長
発行 :南山大学学長室 (nanzan-mm-admin@ic.nanzan-u.ac.jp