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学長からのメッセージメイルマガジン「EPISTOLA」

No.25「南山大学「人間の尊厳賞」」

2022年4月20日

先般、南山大学「人間の尊厳賞」の創設が正式に発表されました。賞の意義および創設理由として、私は「私たちは、大学創立75周年という記念の年を迎えるに際して、これまでの大学の発展に感謝するとともに、この建学の理念に立ち返り、南山大学が果たすべき使命を再認識しなければなりません。そこで私は、この記念すべき年に『人間の尊厳賞』を創設することとしました。」と伝えています。

私は最近、賞を創設しようと思ったきっかけについて聞かれました。最初のアイデアは、私が尊敬する第四代学長、ロバート・リーマー元学長が私に提案してくださったものです。

リーマー先生は、2年前に私が学長に就任した際、大学の教育モットーである「人間の尊厳のために」を記念して、その貴重な価値を広く社会にアピールするために、アメリカのある有名な大学に倣って、大学特有の賞を創設したらどうだ、と提案してくださいました。私はすぐにそのご提案に賛成したのですが、ちょうどその時に大学創立75周年記念に係わる計画が最終の段階に入っており、今こそまさに賞を創設すべき時期ではないか、と考えるに至りました。コロナ禍の対策に追われていてすぐに提案できませんでしたが、コロナ禍の第一波が少し落ち着いた段階で、まず大学執行部内で相談し、それから創設するためのさまざまな準備が始まりました。大学内に「創設準備委員会」が設置され、賞の意義・対象などについて意見交換やブレーンストーミングが行われるにつれて、賞の具体的な姿がだんだんと見えてきました。やがて、創設準備委員会が受賞者となる何件かの候補者を挙げ、候補者の情報を収集・精査して、最終的に3件の候補者に絞り込みました。その後、学外の有識者も含めた「選考委員会」による審議の結果、初代の受賞者が決まりました。初代受賞者は青木陽子さんです。

先月の終わりに記者会見を開き、初代受賞者を発表しました。受賞者は南山学園の関係者に限らず、「人間の尊厳のために」という理念の実現のために多大な貢献をしている個人・組織となりますが、初めての受賞者が偶然にも本学の卒業生であることを誇りに思っています。青木さんご自身は全盲で、本学文学部教育学科を卒業後、アメリカでの留学を経て、視覚障害者に留学の機会を与えるために、中国で視覚障害者を対象とした日本語学校を設立しました。近年、日本国内でも視覚障害者の自立援助活動、および人権や多様性、国際理解などに関する教育活動を行っています。

第1回表彰式は本学の創立記念日に合わせて本年5月26日に実施することとなりました。その際、青木さんの記念講演会も予定しています。これから毎年、大学創立記念日に合わせて、「人間の尊厳のために」という理念の実現のために特別な貢献をしている個人・組織を表彰し、大学キャンパスでの表彰式とともに、受賞者による記念講演会を行うことにします。在学生、大学関係者をはじめ、多くの方が講演会を通して人間の尊厳を促進するために自分ができる具体的な貢献を考える機会になればと思っています。

南山大学長 ロバート・キサラ

発行人:南山大学長
発行 :南山大学学長室 (nanzan-mm-admin@ic.nanzan-u.ac.jp