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学長からのメッセージメイルマガジン「EPISTOLA」

No.21「南山大学降誕祭」

2021年12月15日

先日、神言神学院大聖堂で、例年通り南山大学降誕祭を執り行いました。去年は、パンデミックの影響で、ごく小人数で大聖堂にて動画を撮り、オンラインでの降誕祭となりましたが、今年は、参加人数に制限を設けたものの、対面で祝うことができ、嬉しく思いました。その場でお話ししたことを記します。

今年も、先月からキャンパスのメインストリートにイエスの誕生を描写する馬小屋が飾られていますが、今読まれた「マタイによる福音書」の箇所(マタイ2:1-12)に、ベツレヘムでお生まれになった幼子イエスを探している占星術の学者たちが登場します。彼らは遠くから星の光を見、その光の導きによってエルサレムまで来ましたが、光が消えたので、ヘロデ王を通して、祭司長や律法学者たちに助けを頼みました。そして、彼らの助言に従って再出発した占星術の学者たちは再び星の光を見、その星が彼らに先立って進み、イエスが生まれた場所まで導いてくれました。

去年の3月から、ほぼ2年間にわたり、私たちは新型コロナウイルスに振り回されて、自分のいのちをはじめ、愛する人々のいのち、強いて言えばすべてのいのちを守るため、活動を制限し、欲望を抑え、多くの犠牲を払わなければなりませんでした。占星術の学者たちが導かれたように、パンデミックの中の最良の道を模索する私たちを導く光となったのは、すべての人のいのちに掛け替えのない価値があるという確信なのだと思います。つまり、「人間の尊厳のために」という南山の教育モットー、この使命が私たちを導いてくれたのです。

最近はまた新しい変異株が拡散しており、新型コロナウイルスの感染が収束に至ったと判断するのは時期尚早ですが、私たちは既にパンデミック後の生活、パンデミック後の世界について考えるように促されています。パンデミックにおいて、全人類の運命が深くつながっていることを実感したのは事実ですが、同時にパンデミックは人々の間の様々な格差を明確にしてきました。ワクチンと医療の利用可能性の格差、様々な制限に苦しむ人々とそこから利益を得る人々との格差、新しい技術を利用して教育を続けることができる人々とその可能性さえない多くの人々との格差、最新の治療のおかげで感染症から回復した人々と孤独のなかで亡くなった人々との格差、この世の様々な矛盾がはっきりと見えてきました。

私たちはこのクリスマスに、より良い世界を想像し、その達成に向けて努力するよう招かれていると思います。すべての人の掛け替えのない価値を示してくださったイエス、すべての人に対して神の愛を説いてくださったイエスを、私たちの光とし、すべての人の尊厳が守られた世界の実現を目指しましょう。

Merry Christmas !

南山大学長 ロバート・キサラ

発行人:南山大学長
発行 :南山大学学長室 (nanzan-mm-admin@ic.nanzan-u.ac.jp