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学長からのメッセージメイルマガジン「EPISTOLA」

No.16「メンターおよび友人」

2021年7月21日

先月、カトリックの神学者ロバート・シュライター(Robert Schreiter)師がシカゴで亡くなられました。73歳でした。私がシカゴで神学を勉強した時、シュライター先生は私の修士論文を指導してくれた恩師です。論文のテーマ(宗教社会学)が神学の本流から少し離れていましたので、シュライター師は私のためにテーラーメードのプログラムを用意してくれて、多くの授業が1対1で実施されました。卒業後、私が日本に来てからも文通などを通じて連絡を取り合い、お互いの近況を報告していました。シュライター師は世界を舞台に活躍していて、よく講演などを依頼されていたため、あちこちで会うことができました。私が東京で勉強した当初、その後はドイツ、それから神言会のローマ本部に勤めてからは割と頻繁に会うことができました。また、私が、シカゴに行く際にも彼とコンタクトを取って一緒に食事することにしました。その時の会話はいつも楽しく、2、3時間はあっという間に過ぎてしまいました。15年前に弟が闘病の末亡くなった時、シュライター師からいただいた言葉が大きな支えとなったこともありました。

シュライター師はオランダで有名な神学者エドワード・スヒレベークスの下で博士号を取得しました。師が60歳を迎える時に弟子が記念論文集を出版するのはヨーロッパの学問世界の習慣ですが、シュライター師自身の提案で、「還暦」に合わせて各時代の彼の学生の発表会が開かれました。私もそれに参加することができました。それ以来私たちSchreiter Schülerkreis(シュライター師の門下生グループ)は連絡し合っていろいろな情報を共有しています。それが彼が提案した発表会の狙いでした。

シュライター師は近年かなり重い病気を煩って以前のように活発な国際活躍ができなくなりました。去年の末、進行性の癌も発見されたことを彼から聞きました。今年3月に私の誕生日に合わせて送ってくれたメールで、放射線治療のおかげで腫瘍がなくなった、と彼は報告してくれました。最高の誕生日プレゼントだと思いました。それもあって突然の訃報は相当なショックでした。

彼の下で勉強を始めた時以来ずっと、毎回、私に会うたびに、彼は私に自信を与えてくれたと同時に、自分自身で最大限の努力ができると期待することも教えてくれた、という気がします。彼から学んだ様々なことを生かしていきたいと思うばかりです。

南山大学長 ロバート・キサラ

発行人:南山大学長
発行 :南山大学学長室 (nanzan-mm-admin@ic.nanzan-u.ac.jp