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学長からのメッセージメイルマガジン「EPISTOLA」

No.14「大学創立75周年キックオフ・イベント」

2021年5月19日

先月、昨年実施予定だった大学創立75周年キックオフ・イベントがようやく開催できました。残念ながら、当日は雨天で、会場は計画したリアン前の広場からフラッテンホールに移動されましたが、75周年に相応しいイベントになったと思います。男子チアリーディングチーム「名古屋SPIDERS(スパイダーズ)」と応援団チアリーダー部「KOALAS(コアラーズ)」、それぞれのグループによる華々しいパフォーマンスからイベントが始まりました。まずはリアン前広場に設置された75周年記念モニュメントと記念樹が映像で紹介され、次いで大学のWebページで見られる75周年記念動画が披露されるという流れで、この先一年にわたる祝いが開幕しました。以下に、会場で読み上げた私のメッセージを掲載します。

1946年、戦争直後の混乱の中で、世界舞台で活躍する人物を育てるべく日本の国づくりに貢献するため、アロイジオ・パッヘ師が南山外国語専門学校を設立し、校長となりました。翌年の学校教育法の施行に基づいて、1949年に専門学校が大学に発展し、南山大学が生まれました。大学の誕生を記念する「大学開学式典」で、後に南山学園全体の教育モットーとなる「人間の尊厳のために」が発表され、南山での教育の目的がここに明確となりました。

第二次世界大戦後、「人間の尊厳」という概念が広く注目されるようになりました。たとえば、1945年、サンフランシスコで調印された国連憲章前文に「人間の尊厳」が「戦争の惨害から将来の世代を救う」ものとして認識されています。すべての人は平等にかけがえのない価値を持ち、その価値が守られている社会の構築こそ戦争を人間の歴史から消すカギである、という認識で、戦後に生まれた南山大学の存在理由が表現されています。南山学園の「寄付行為」の目的も「人間の尊厳を尊重かつ推進する人材の育成」であることが明記されています。

本学の前身である南山外国語専門学校の設立から75年経た現在においても、その存在理由に変化はありません。現在の世界の状況を見渡すと、むしろ「人間の尊厳を尊重かつ推進する」ことがますます必要になってきていると確信しています。そして、専門学校の時代からの使命を引き継いだかたちで、多様な社会の中で活躍できる人材の育成を通して、私たちは今でも南山の目的に沿ってよりよい世界へ、つまり、すべての人のかけがえのない価値が守られている世界構築への貢献をしようとしています。いつの時代も変わることのない、南山の伝統―多様性を受け入れ、他者も自身も大切にする心―を、75周年の先に続く未来へしっかりと繋げていきましょう。

コロナ禍の影響下、大学の創立75周年記念に関する一連の行事が延期されましたが、ようやく今日、そのキックオフ・イベントを実施する運びとなりました。この記念すべき一年を通して南山の歴史を思い起こし、75年間の成長に感謝しながら、私たちの目的と理念への献身を新たにしたいと思います。

南山大学長 ロバート・キサラ

発行人:南山大学長
発行 :南山大学学長室 (nanzan-mm-admin@ic.nanzan-u.ac.jp