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学長からのメッセージメイルマガジン「EPISTOLA」

No.2「自分を驚かす」

2020年5月20日

2006年の秋、私は南山大学を後にしてイタリアのローマに赴任しました。この年の夏、6年ごとに開催される神言修道会の総会議で私は修道会の総顧問の一人に選出され、新しい任務を担うためにせっかく慣れてきた仕事や生活を手放さなければならなくなったのです。今度は神言会の総本部で国際的なチームと共に修道会全体の運営に携わることになりました。

おそらく神言会の最も顕著な特徴はその国際性です。神言会は実に世界75カ国から会員を集め、80カ国で活動しています。私が任された総顧問としての主たる仕事は、各地から送られてきた報告などを読んで顧問会議で必要な決定を協議することでした。総顧問の一人の重要な仕事として、会員が活動するすべてのところを訪問し、実際の現場を見ながら、修道会の活動を皆で検討するという任務もあります。いずれにせよ、各総顧問は、年に2回は世界中のどこかに行き、大体2カ月の間に、会員100人ぐらいと一対一で話します。そして、会員が関わっている現地の人々にも会って、視察を行うわけです。ローマに行ったとき、私にとって最大の不安はこの視察という任務でした。人見知りな私に、毎日ちがうところに行き、初めて会う人たちと会話をして、頻繁に人の前で話すことができるのだろうか、と。実際、視察を終えてローマに帰ってきたときはいつも疲れ果てて、しばらくは一人になりたいという気持ちが強かったことを覚えています。しかし、意外にもこの視察が総顧問の仕事として最も貴重な経験となりました。

フィリピン南部の少数民族マノボの子どもたちと

私たちは今オンライン授業に取り組んでいます。数カ月前、こうした状況になるとはおそらく誰も予想できなかったのではないでしょうか。オンライン授業を余儀なくされた時点では、私はとても不安で、自分にとっても、大学にとっても、この新しい試みに十分応えることができるのかを懸念しました。しかし、実施に向けて自分でいろいろな可能性を考え、他の先生たちはどのような取り組みを考えているかを聞くなかで、少しワクワクする気持ちさえ湧いてきました。そして、大学のICT環境で対応が追いつき、結果的に、柔軟にオンライン授業への移行ができました。もちろん、情報センターの方々をはじめ多くの人の努力がなければ実現しなかったことでしょう。深く感謝しています。

私たちはどのような経験からも学ぶことができ、それが自分の成長につながるのです。人生にはつねに新しい挑戦が出てくることでしょうが、それを恐れずに迎えましょう。自分の新しい可能性を見つけ、自分を驚かしましょう。

南山大学長 ロバート・キサラ

発行人:南山大学長
発行 :南山大学学長室 (nanzan-mm-admin@ic.nanzan-u.ac.jp