総合政策学部
複雑化する社会の課題を解決へ導くために、広い視野と実践力を身につけます。
地球温暖化や民族間紛争、国内では少子高齢化など、現代社会には解決が急がれている問題が山積しています。様々な要因が絡み合って発生したこれらの問題を分析し、解決策を立案・実践するには、当事者への尊厳をもち、状況や背景を理解することが不可欠です。そのため総合政策学部は、文明論を学びの基礎として、地域文明の構造や特長、関係性を学ぶことで問題発生要因を的確に把握する力を養成します。その上で、社会の仕組みや機能を理解するために国際政策、公共政策、環境政策に関する科目を学び、課題を分析する力と解決に向けた政策立案のための知識や手法を身につけます。
理念・目的
総合政策学部では、多様化し複雑化する社会に対応できる実学的素養を備えるとともに、確かな歴史観に立って多様な価値観を理解できる能力を身につけた人材を、問題発見・解決というアプローチにより教育することを目的としている。また、社会科学の学問領域の成果を積極的に取り入れつつも、世界の構造転換に伴う新たな問題の発見を試み、それを文明論的な視座のもとに、既存の社会科学の手法を総合して問題解決の方向を見出すことを目指す。
上記の人材を教育するための教育カリキュラムとして、英語、未修外国語、コンピュータに係る基礎的な能力を育成・開発することを重視し、英語、未修外国語については集中的に教育するカリキュラムを組み、またコンピュータを活用した授業を多く行っている。また、政策実践科目の一つとして語学研修と社会参加を兼ねた政策研修プログラムを設けている。
他学部の多くは既存学問領域に立脚して教育を行っている学部であるのに対して、本学部は問題への関心から出発し、そこで関連領域の学問を学んでいく学部である。さらに、マルチカルチュラルなキャンパスを目指し、欧米先進国だけではなく、アジア各国・地域にも焦点を合わせ、政策研修プログラムだけではなく、アジア諸国・地域を中心とする留学生の受け入れ(学年30人程度)にも積極的に取り組んでいる。留学生については、日本語教育も含めて4年間で卒業できるカリキュラムを設けている。
3つのポリシー
総合政策学部は、南山大学の教育モットー「人間の尊厳のために(Hominis Dignitati)」および総合政策学部の教育の目的を踏まえて、次の3つの基本方針(ポリシー)を定めます。
ディプロマ・ポリシー(卒業認定・学位授与の方針)
総合政策学部は、南山大学が定める修業年限以上在学して所定の単位を修得し、次の力を身につけたと認められる者に対して、卒業の認定を行い、学士(総合政策学)の学位を授与します。
Ⅰ 知識・理解
- 現代社会の問題に向き合うために必要となる学際的な基礎知識
- 公共政策、国際政策、環境政策に関する専門知識
- 複雑な現代社会を文明論の観点から理解する力
Ⅱ 技能
- 複合的な問題の諸要因を科学的に分析・整理する力
- 複合的な問題について、幅広い学問分野に基づき、様々な立場から考え、論理的に説明する力
- 知識や価値観を必ずしも共有していない他者と、日本語や外国語を用いて相互理解し、対話する力
Ⅲ 態度・志向性
- 相異なる価値観を尊重し、主体的にコミュニケーションを図る力
- 人間の尊厳という基本的価値に基づき、複数の異なる学問分野を総合し、政策を検討する姿勢
Ⅳ 総合力
- 総合的な問題の解決への糸口や手がかりを発見する力
- 問題解決のために多様な人々をつなぎ、協働する実践力
- 総合性と専門性を融合させ、諸問題の解決策を立案する力
- 現代社会の問題の解決をとおして、持続可能な社会の実現に貢献する力
共通教育科目
Ⅰ 知識・理解
人種、宗教、文化等、異なる背景を認識し、受容するための基礎となる教養
Ⅱ 技能
異なる背景を持つ人々との共生・協働を可能にするコミュニケーション能力
Ⅲ 態度・志向性
多様性を前提とした人間の尊厳を尊重する力
カリキュラム・ポリシー(教育課程編成・実施の方針)
総合政策学部は、ディプロマ・ポリシーに掲げる力の修得のために、以下の構成、教育内容、学修方法および評価方法に基づいて教育課程を編成、実施します。
Ⅰ 教育課程の構成
本学部の教育課程は、社会問題を解決に導くための政策立案およびその関連領域における専門的な知識と力を身につけるために必要な科目を配置した学科科目と、それらの基盤となる幅広い知識と教養を身につけるために必要な共通教育科目から構成されます。
Ⅱ 教育内容
1.学科科目
《4年間を通じて》
- 本学部では、文明の成り立ちや構造をひもとく「文明論」を学びの基礎として、現代社会が抱える複雑多様化した諸問題に対し、要因を的確に把握する多面的な視点と実践力を身につけ、解決に寄与する政策を提言する力を修得します。
- 政策立案に繋がる専門性を高めるために、アジアを中心とする地域が抱える問題や、国際関係に焦点を合わせた「国際政策コース」、国や地方自治体、企業、地域のコミュニティなどの組織とその活動が直面する問題に焦点を合わせた「公共政策コース」、エネルギー政策や地球温暖化からごみ問題まで、現代社会が直面する問題に焦点を合わせた「環境政策コース」の3つのコースに対応する形で開講される多様なコース科目を中心に、各課題の解決に必要な知識を学びます。
- コース科目に加えて、政策立案をするために必要な基礎知識や考え方を学ぶための政策論基礎科目、国内外でのフィールドワークや研修をとおして社会課題の解決に必要な調査・分析方法や多様な人々と協働する力を身につけるための方法論科目、自律的に課題を探究し、政策を提言する力を身につける演習科目を体系的に学ぶことにより、社会で幅広く活躍する力を身につけます。
- 主にアジアの国と地域からの留学生は、日常的な国際交流と異文化理解が可能となる環境のもとに学び、学科科目を理解できる日本語力を習得しつつ、上述の4年間を通じた学びを経て各々の知識や力を身につけます。
《1年次》
- 文明論科目において、文明の成り立ちや構造を学びます。
- 政策論基礎科目において、政策立案の基礎として学ぶべき学問領域の知識を修得するとともに、複眼的視点を養います。
- 演習科目において、大学での学修に必要となる基礎的技法と素養を身につけます。
- 方法論科目において、政策立案に必要となる国内外の現場の経験について学びます。
- 留学生は入学前までの日本語習得レベルに応じ特別な日本語プログラムを履修し、学科科目を理解できるレベルの日本語力を養います。
《2年次》
- 方法論科目において、政策立案に必要となる調査・分析方法を身につけます。
- 国際政策、公共政策、環境政策の各コース科目を幅広く学びながら、複数の領域にまたがる分野に対する知識・理解を深めます。
- 留学生は日本語科目を履修しつつ、上述の学科科目も学びます。
《3年次》
- 国際政策、公共政策、環境政策の3コースから1コースを選択し、各コースに指定されたコース科目を中心に、政策に繋がる専門性に特化した知識を身につけます。
- 方法論科目において、更なる高度な政策立案に必要なスキルを修得します。
- 演習科目において、自身が具体的な政策課題を選び、課題への理解を深めながら、課題解決のために必要な知識・理論・手法を学びます。
- 留学生も日本語科目を履修しない学生と同様、学科科目を中心とした学びを進めます。
《4年次》
- 演習科目において、自身が立てた具体的な政策課題について卒業論文を執筆します。
2.共通教育科目
《4年間を通じて》
- キリスト教世界観に基づく教育という建学の理念の基軸となる本学の教育モットー「人間の尊厳のために(Hominis Dignitati)」の意味を様々な視点から考えることを目的とした科目(宗教科目、「人間の尊厳」科目等)において、人間と学問の在り方を考える力を養います。
- 文理融合を目的とした科目(基盤・学際科目、体育科目等)において、学際的な視野と総合的な判断能力を養います。
- 「聞く・話す・読む・書く」の4つの力を総合的に発展させることを目的とした科目(外国語科目)、および、コンピュータに関する基礎知識とそれを活用する技術を身につけることを目的とした科目(情報倫理科目)において、国際化・情報化時代を生きるための基本的なコミュニケーション能力を養います。
Ⅲ 学修方法
- カリキュラム全体を通じて、グループディスカッションやプレゼンテーションを積極的に活用したアクティブ・ラーニングを実践することで、「聞く・話す・読む・書く」の4つの力を磨きます。
- 演習形態の授業では、少人数制を前提とし、コミュニケーション能力を高めながら、より専門性の高い学修を進めます。
- 国内外のフィールドワークなどの体験型のプログラムをとおして、現地の社会に触れて学び、また、政策現場で活躍している人を講師として迎えて、実践からの知識やスキルを学びます。
- 学修の集大成である卒業論文の執筆にあたっては、自身が選んだテーマで指導教員の個別的指導を受けながら、ゼミナールのメンバーと協働することで、主体的に研究プロジェクトを推進します。
Ⅳ 評価方法
- ディプロマ・ポリシーに掲げる力の修得は、本学科における卒業要件達成状況、単位修得状況、GPA、外部客観テスト等の結果によって測定し、評価します。
- 各科目の学修成果は、講義概要に示された到達目標の達成度に応じて評価します。
- 4年間の総括的な学修成果としての卒業論文の評価は、指導教員が学部・学科のディプロマ・ポリシーに基づくルーブリックを用いて行います。
アドミッション・ポリシー(入学者受入れの方針)
総合政策学部は、教育の目的、ディプロマ・ポリシーおよびカリキュラム・ポリシーに基づき、次のような人を受け入れます。
Ⅰ 知識・技能
総合政策学部で学ぶために十分な、高等学校卒業レベル以上の基礎学力(読解力、語学力など)を身につけている。
Ⅱ 思考力・判断力・表現力
自身の考えを口頭または文章で的確に表現できる。
Ⅲ 主体的に学習に取り組む態度
- 地域固有の歴史や文化、さらには、国際関係、政治や経済、環境問題などの現代社会の諸問題に興味や関心があり、多様な価値観を理解する意欲を持っている。
- 机上の学習のみならず、フィールドに出て自らの目で見て学んだり、いろいろな国や地域の人々と積極的にコミュニケーションを取ったりすることで世界に関わる意欲を持っている。
学部長
総合政策学部長 久村恵子 教授(専攻分野:組織行動論、人的資源管理論)
久村恵子 教授
長期研究「経営組織における発達的人間関係の制度的活用の可能性について」
経営組織において人々がキャリア面でも、心理・社会的側面でも発達するために重要な役割を担う発達的人間関係の中で、様々な目的での制度的活用が期待されているメンタリング概念に着目し、研究を進めている。
特に、経営組織おける新規参入者のための適応ツール、人的資源開発ツール(後継者育成、技術者育成など)、ストレス・マネジメントツール、アファマーティブ・アクションツールとして活用されうるメンタリング・プログラムの開発およびその効果について検証を進めている。
短期研究「感情労働化する社会と感情労働・感情作業への適応プロセスに関する研究」
近年、「おもてなしの心」を付加価値として活用する動向や過剰な「顧客至上主義」により、業界や職種に関係なく、働く人々は自己の感情を犠牲にし、顧客の心に寄り添う「感情労働」が要請されると共に、職場内の人間関係においてさえも、周りの人々に気を配り、自己の感情を制御する「感情作業」が要請されつつある。
そのため、組織心理学、臨床心理学、社会心理学の研究領域による横断的視点から定性的および定量的調査を実施しつつ、汎用性の高い感情労働および感情作業の開発、社会における感情労働化の動向、そして人々が入職時点から現時点に至るまでの感情労働および感情作業への適応プロセスの検討を進めている。
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