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学部長が語る南山大学

Faculty of Business Administration

「経験を通じて、記憶に残る学びを」

経営学部長

石垣 智徳

ISHIGAKI Tomonori

恩師に導かれ、母校へ

石垣先生の南山大学への着任のきっかけを教えてください。

石垣氏

私は学生時代を南山大学で過ごし、卒業後は関西の大学で経済学部の教員をしていました。2010年、南山ビジネススクール開設後しばらくして学生時代の恩師より声をかけていただき、マーケティング担当教員として着任。以降は経営学部の授業やゼミも受け持ちつつ、今年で南山での教員生活も15年目となりました。

石垣ゼミは企業連携もされているそうですね。

石垣氏

名古屋銀行さんとは私がゼミを受け持った頃に3年ほど、そして、今年度も連携をさせていただいていますし、他にも地元メーカーやテレビ局とのタイアップ、SDGsの視点での課題解決に学生のアイデアを持ち寄る取り組みなど、ゼミ研究の一環として複数社と連携をした経験があります。メーカーの端材を活用し、学生のアイデアでカタチになった製品をモリコロパークでゼミ生がバザー販売するなど、企画から販売まで体験する活動もしました。

実践的な取り組みですね。今日お持ちくださったこれらの製品も、メーカーの端材を生かすアイデアから生まれたものだとか?

石垣氏

製造現場でこれまで廃棄されてきた端材も、視点を変えたりひと工夫すれば新たな付加価値を創造できる。この製品の活用アイデアがひらめいたのは、プライベートで夜にバーで飲んでいた時ですけど(笑)。端材がオシャレな器に生まれ変わりました。

素敵な取り組みですね。マーケティングという分野は、生活に関わるすべての場面が「現場」になりますから、飲み会でも気が抜けませんね(笑)。

石垣氏

美味しい食べ物や希少なお酒などを求めて食べ歩いたりするのも、「市場リサーチの一環」と言えば聞こえがいいかもしれませんね(笑)。

企業とのコラボレーション商品
端材を生かした器(お皿)

思い出と共にあるキャンパス

「Beautiful Campus」にちなんで、皆さんにキャンパスでのお気に入りの場所を伺っているのですが、石垣先生はいかがですか?

石垣氏

私の研究室がJ棟の8階にあって、普段はJ棟と授業の往復ばかりですが…桜の時期の南山正門からの風景が好きですね。両サイドから桜が出迎えてくれるようで華やかな気分になります。また毎年12月が近づいてくるとキャンパスのメインストリートに登場する「馬小屋(イエスの誕生の物語)」のモニュメントを見ると、冬が来たな、と感じたりします。南山らしい風物詩です。ほかにも、私が着任した当時担当していたビジネススクールは夜に授業が行われていましたので、J棟から栄や名古屋駅方面を望む夜景がとても綺麗だったのが印象に残っています。

四季折々の風景が楽しめるのは自然豊かな南山キャンパスならでは、ですね。薄暮の時間帯に丘の上の学び舎から名古屋駅方面を見渡す景色は「絶景」で、私の思い出の1ページにもなっています。石垣先生の学生時代には、グリーンエリアで寝転がったりはしませんでしたか?

石垣氏

グリーンエリアは私にとっても学生時代からの懐かしい場所です。教員となってからは、毎年大学祭でゼミの模擬店を出店しているので、学生たちとタイミングが合ってグリーンエリアの後夜祭に行った際の思い出は今もたまに思い出します。

正門の桜とメインストリート(春)
夜のメインストリート(秋)
メインストリートの馬小屋(12月)

広がる南山ファミリーの輪

石垣先生が感じる「Nanzan Mind」についてはいかがですか。

石垣氏

ゼミ研究での企業連携先は名古屋市を中心に愛知県内の企業が多いのですが、「初めまして」と名刺を出して挨拶をすると必ずといっていいほど「娘が南山に通っています」「私も卒業生です」「家族が…」という話が出てきます。この嬉しい現象を、私は「南山ファミリー」と呼んでいるんですけど。

確かに。「南山」という言葉はパワーワードかもしれませんね。このキーワードを聞くと急に親近感が湧いて距離が縮まる、まさに「ファミリー」という言葉がぴったりだと私も思いました。

石垣氏

ゼミ研究から生まれた商品をモリコロパークのバザーで販売するときも、商品名よりも「南山大学のゼミ生です」と呼びかけた方が、お客さんが「南山なの?」と足を止めて集まってくれるように感じます。そこに気づいてからは、学生にも「南山」を前面に出そう!と声をかけたりして(笑)。

さすがマーケティングの専門家!戦略的ですね(笑)。

石垣氏

この地域では特に、歴代の卒業生とその家族を含めた「南山ファミリー」の輪が広がっているのを肌で感じています。ありがたいことですね。

J棟8階からの夕景
J棟(外観)
J棟(エントランス)

体験を通じた立体的な学びを

石垣先生が授業で心がけていることはありますか?

石垣氏

「自身で体験することの大切さ」でしょうか。学生時代に一生懸命勉強して覚えたはずなのに、社会に出たら忘れてしまった、という経験はありませんか? 一方で、苦労した、叱られた、失敗もあったけど続けたらうまくいった、などという「体験」を伴う記憶は鮮明に残っていたりします。勉強がインプットだとすると、そのアウトプットとしてテストやレポートだけで完了する場合と、自分で調べて五感をフル稼働させて感じたり、人と出会って相手のために考えて行動したことで喜んでもらえたり、という現場での立体的な「体験」を伴うアウトプットの場合は、自身の経験として記憶に刻まれます。今の世の中は、知識は調べれば瞬時に情報として得られますが、体感を伴う記憶はその人自身のものとして身につき、糧となります。学生時代からそういった経験をして欲しい、という想いで授業を組み立てたりゼミ研究を行ったりしています。

石垣ゼミも現在13期目、何か感じることなどはありますか?

石垣氏

1期生の頃は学生との年齢差をそれほど感じなかったのですが、今の13期生の学生に私はどう映っているのか…学生は常に20歳前後ですが私は毎年1歳ずつ年齢を重ねています。世代の違いもあるのだろうな、と想像し、私としては学生を一人ひとり見て、できるだけ柔軟な姿勢を心がけています。

社会の変化のスピードも早いなか、教育も変えていかなくてはいけないのか、それとも本質は変わらないのか、そのあたりはいかがお考えでしょうか。

石垣氏

変化への対応と本質の理解、どちらも大切だと私は思っています。確かにツール自体は、技術的な進化によって圧倒的に便利で処理スピードも速くなっています。私が学生に伝えているのは、基となる理論や構造を知ったうえで、ツールを使いこなす姿勢を持っていこうよ、ということ。土台がしっかりしていないと、ツールの変化に右往左往してしまいますから。

石垣ゼミ模擬店
秋のグリーンエリア

マーケティング?数理?データ解析?と、私のなかで若干緊張気味に始まったインタビューでしたが、お話が始まると具体例を交えながらわかりやすく軽妙な語り口でポンポンっと話が弾み、あっという間のひとときでした。石垣先生の笑顔がチャーミングでした。

Profile

経営学部長

石垣 智徳 教授

専攻分野

マーケティング

主要著書・論文

  • 『戦略的ブランド管理の展開』(中央経済社、1996年 共著)
  • 『ブランド優位の戦略』(ダイヤモンド社 1997年 共訳)
  • 『マーケティング理論の深化』(千倉書房 2004年 共著)
  • 『Excelによる経営科学』(コロナ社 2005年 共著)
  • 『マーケティングの革新的展開』(同文舘出版 2007 共著)

将来的研究分野

マーケティング・データ分析システムの開発とその応用

担当の授業科目

消費者行動論、ブランド・マネジメント、マーケティング・リサーチ