南山の先生

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経営学部・経営学科

石垣 智徳

職名 教授
専攻分野 マーケティング
主要著書・論文 『戦略的ブランド管理の展開』(中央経済社、1996年 共著)
『ブランド優位の戦略』(ダイヤモンド社 1997年 共訳)
『マーケティング理論の深化』(千倉書房 2004年 共著)
『Excelによる経営科学』(コロナ社 2005年 共著)
『マーケティングの革新的展開』(同文舘出版 2007 共著)
将来的研究分野 マーケティング・データ分析システムの開発とその応用
担当の授業科目 消費者行動論、ブランド・マネジメント、マーケティング基礎、マーケティング・リサーチ

マーケティングの応用

マーケティングという単語は、今日の日本では良く耳にすることばの1つであるといってもよいでしょう。しかし、そのことばの意味は、エコロジー、マニュフェストなどと同様に、カタカナ表記の英単語であることも影響して、多くの方がきちんと理解しているとはいえないのではないでしょうか。このことばの定義に関しての多少の差異にはとらわれず、実体を示す日本語を挙げると、市場創造とであるといえます。市場は「いちば」ではなく、「しじょう」と読みます。したがって、取引場所をつくる意味ではなく、顧客をつくることを意味します。

顧客とは、誰の顧客でしょうか。もちろん、市場創造をしたいと考える企業にとっての顧客になります。このようにマーケティングが経営学部の科目として取り上げられる場合、意思決定者は暗黙の了解で企業になります。企業は、利益を確保するために自分たちが、生産する製品や提供するサービスを買ってくれそうな顧客を創造したいと考えていて、そのために様々な努力を行うのです。その努力を一般にマーケティング(戦略)といいます。

それでは具体的なマーケティング戦略を考えてみましょう。皆さんはどんなときにお店の商品を買いたいと思いますか。最初に思いつくことは、「安いから」ではないでしょうか。このように顧客に思わせるのも企業のマーケティング戦略の1つです。結論を申し上げますと、価格、製品、流通、販売促進がマーケティング戦略の柱になります。いい製品であったなら買いたいと思うし、いつでもどこでも買いたいときに買いやすい場所に並んでいれば買おうと思いませんか。そう、買ってしまうのです。企業はこのような努力を日夜行い、実行しているのです。

「よくこの科目はどのように役立つのですか?」という質問を受けます。確かに自分は社長ではないし、マーケティングに関係した仕事を目指そうとも思わない場合、この科目を履修しても何もいいことがないように思います。しかし、ちょっと待ってください。先ほどの「企業」を「自分」に置き換えるとどうなるでしょう。自分にとっての市場創造は、自分を評価してくれる人や評価してくれたらうれしいと(自分が)思う人に対して努力を行うことになります。

それではこのような状況でマーケティング戦略をどのように理解すればいいのでしょうか。例えば、就職の際に特定の企業から内定(企業が正式ではないが採用の意志を本人に伝えること)をもらいたいあなたは、まさに企業の立場と同じです。自分のいいところを売りこみたい企業に気づかせないといけないわけです。「あなたのような人を我が社は欲しかった」といわせれば、こちらのものです。すなわち、自分の戦略がうまくいっていることになります。ここであなたに対する企業の評価が製品に対応し、そして、あなたに将来投資するもの(給料など)が価格に対応します。このように、マーケティングは企業を自分に置き換えることによって自分自身のマーケティング活動に応用できるのです。

まだ、流通と販売促進の解説を聞いてないので気になっていますよね。でもそこのところはご勘弁ください。どうしてかというと、私はマーケティングの担当だからです。私と一緒にあなたのためにもなる授業で考えましょう。あなたと一緒に考える日を楽しみにしています。