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南山大学の「ここ」を学問する
『南山大学をはかる』

大学の「しあわせ」を測る(2)

総合政策学部 総合政策学科

鶴見 哲也 教授

TSURUMI Tetsuya

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南山大学の生産性をはかる
南山大生の生産性は高いのだろうか

鶴見先生授業風景(「経済政策論」アンケート内容フィードバック)

1. 仕事の幸福

『大学の「しあわせ」を測る(1):南山大生は幸福なのだろうか』で説明を行った「主観的ウェルビーイングの主たる決定要因」に関する議論は、World Happiness Reportの元データであるギャロップのアンケートデータを用いた研究でもなされている(Rath & Harter, 2010; Clifton & Harter, 2021)。ギャロップが2005年から世界150か国以上、各国1000サンプル程度で実施をし続けてきている、他に類を見ないデータ(Gallup World Poll)を用いた分析から、どのようなことが指摘されているのであろうか。分析の結論として現状示されているのは次のような結論である。すなわち「“最も多くの時間を費やすこと”がその人を作り上げる」こと、そして、「人生の幸福を考えたときに「仕事の幸福」が最も重要で根幹をなす」ということである。

この結論は『大学の「しあわせ」を測る(1):南山大生は幸福なのだろうか』で示したダニエル・カーネマンによる「注意を払い続けられ、かつ人生を豊かにする活動に時間を投資すべき」という主張と整合している。すなわち、ギャロップの研究で示されている「仕事」は収入を得られる仕事に限らず、自分が情熱を持って取り組める何か、たとえば学校に行くことやボランティア活動も「仕事」と定義されているのである。仕事を行っている時間に如何にその仕事に情熱を持つことができるかどうかが幸せの鍵となることが示唆される。

関連して、近年、「静かな退職(quiet quitting)」という言葉に注目が集まっている。静かな退職とは、就業規則に定められた業務は果たすが、追加の創意工夫や自発的貢献、感情的なコミットメントを控える行動とされている。「静かな退職」の状況、すなわち仕事に対して情熱を持つことができていない状況は、主観的ウェルビーイングを強く低下させると考えられる。

「静かな退職」という言葉が世界的に広まったのは 2022年であり、TikTok 上での米国の若年労働者による投稿で、「会社を辞めるわけではないが、職務記述書に書かれた以上のことはしない」「仕事を人生の中心に置かない」という態度を指す言葉として使われたとされる1。しかしながら、この概念自体は新しいものではなく、学術的にはワークエンゲージメントとして定義づけがなされてきたものと言える。先述のギャロップは「静かな退職」を「会社を辞めていないが、心理的にはすでに距離を置いている状態」と定義している。

仕事に対する前向きな気持ちの欠如は、先述の「情熱を持って取り組める時間の欠如」に他ならないのである。この仕事に対する情熱に関連する指標として「ワークエンゲージメント」と呼ばれる指標がある。

ワークエンゲージメントは従業員が仕事の役割に対して活力・熱意・没頭をもって関与するポジティブな心理状態として概念化されている(Schaufeli & Bakker, 2004)。ギャロップのアンケートデータによると、このワークエンゲージメントの状況は「高エンゲージメント従業員」である割合が世界平均で約20%(2025年版21%)であり、世界中で平均的にワークエンゲージメントが低いことが示されている(Gallup, 2025)。特筆できることは日本ではこの「高エンゲージメント従業員」の割合が約7%と世界の中で最低水準となっていることである。他国と比較して日本人は仕事に情熱を持てていない状況と言える。

関連して同アンケートでは「あなたは今の仕事が好きですか?」という問いに対して「はい」と即答できる人の割合が示されており、世界平均では20%であることが示されている(Clifton & Harter, 2021)。この20%は「高エンゲージメント従業員」の割合と整合する。以上より、「仕事に情熱を持てるかどうか」、「自分の仕事が好きかどうか」を考えることが主観的ウェルビーイング向上の鍵と言えるのではないだろうか。

1 https://www.weforum.org/stories/2022/09/quiet-quitting-explained/

2. 生産性の決定要因

2024年の日本の時間当たり労働生産性(就業1時間当たり付加価値)は、OECD加盟38カ国中28位であり、実質ベースでは、2023年から若干低下(-0.6%)している(日本生産性本部, 2025)。労働生産性は企業の成長のための原動力とされ、日本の労働生産性の低さは日本の経済成長率低迷の主要因と議論されることも多い状況と言える。

経済状況の先行き不透明感は将来不安に対して強く影響することが先行研究で議論されてきており(Knabe & Rätzel, 2011; Clark et al., 2001)、日本の主観的ウェルビーイングの低さの主要因とも考えられる。日本の生産性向上は主観的ウェルビーイング向上の鍵と考えられるのである。

それでは、個々人の労働生産性は何によって決定されるのだろうか。先行研究により明らかとなった「個人レベルの労働生産性」の主たる決定要因としては主として次の4点が挙げられる。すなわち、(1)ワークエンゲージメント、(2)職場の人間関係、(3)労働環境、(4)肯定的感情である。このうち、(1)~(3)は主観的ウェルビーイングの一指標である(4)に影響を及ぼすとされている(Clifton & Harter, 2021; Lyubomirsky et al., 2005; Walsh et al., 2018)。

(1)ワークエンゲージメントについてはギャロップの大規模アンケート(54業種、276組織、96か国の従業員を対象。計270万8538人、11万2312の事業・作業単位を調査)の分析が有名であり、エンゲージメントが高い事業所・作業単位の生産性が高いことが示されている(Clifton & Harter, 2021)。(1)ワークエンゲージメントは主観的ウェルビーイングの主たる決定要因である「情熱を持って取り組める時間」の確保に結び付き、(4)肯定的感情を高め、仕事に対する前向きな気持ちに結び付くことで生産性が高まると考えられる。

(2)職場の人間関係については主観的ウェルビーイングの主たる決定要因である「人とのつながり」と同様の概念と言える。すなわち、人とのつながりにより(4)肯定的感情が高まると考えられる。加えて、人とのつながりは学術的には社会関係資本と呼ばれ、従業員間でのスキルや情報の効果的な共有・拡散に結び付き (Coleman, 1990; Healy & Côté, 2001)、知識の蓄積や共有にプラスとなり(Nahapiet & Ghoshal, 1998; Tsai & Ghoshal, 1998)、生産性を向上させるという研究がある。また、チームメンバーへの信頼が、仕事を期限内に終わらせることにつながる、問題を迅速に解決させる、作業の質を継続的に向上させる、重大なミスを犯す可能性を低下させる、などの経路で生産性向上に寄与すること(Erdem and Ozen, 2003)を示す研究もある。また、上司が部下に高い信頼を置く組織は高い生産性を有し(Tzafrir, 2005)、雇用主や上司への信頼欠如は冷笑主義 、組織へのコミットメントの欠如、低いモチベーションといった非生産的な結果を招く(Dirks and Ferrin, 2002; Gould–Williams, 2003; Brown et al., 2015)という研究もある。以上のように、職場の人間関係は生産性向上に結び付く可能性が指摘されている。

(3)労働環境に関しては、建築の分野で職場内の居住環境についての研究蓄積が存在している。具体的には室温 (Federspiel et al., 2004; Lan et al, 2011)、騒音・照明(Lamb and Kwok, 2016)、職場の緑(Singh et al., 2010; Dunckley et al., 2008; Thatcher & Milner, 2014)について生産性との関係が検証されてきている。快適な職場環境で(4)肯定的感情が実現できることを示唆するものと言える。

関連して、主観的ウェルビーイングの決定要因として労働環境に注目する研究蓄積もなされてきている。主観的幸福度と労働環境の関係については、仕事の「量」だけでなく「質」が重要であることを示す実証研究が存在している。たとえば欧州9か国の調査データを用いたDrobnič et al.(2010)は、雇用・賃金についての安定性が人生満足度に直接影響すること、そして自律性やキャリア見通し、仕事の面白さといった職務特性が主として仕事満足度を介して人生満足度を高める可能性を示している。主観的ウェルビーイングの高まりは(4)肯定的感情の向上に結び付き、生産性向上につながっていくのである。

また、労働時間に関する研究蓄積もあり、たとえばHolman (2008) ではセクター別産業別の労働生産性(単位労働時間当たりの産出量)を生産性指標とし、米国労働統計局の労働時間のデータを用い、特に情報産業、製造業、小売業において、労働時間が減少することで労働生産性が向上することを示している。労働時間が減少することで、限られた時間の中で効率的に業務を行う可能性を示唆するものと言える。

なお、この他にも労働環境が生産性に及ぼす影響については有名な研究があるが、紙面の関係上、本稿の補論に掲載を行うので参照されたい。

(4)肯定的感情についても労働生産性との関係性を示す研究蓄積が多い状況である(詳細なサーベイはWalsh et al., 2018を参照)。(4)肯定的感情は主観的ウェルビーイング指標の一つであり、肯定的感情以外にも他の主観的ウェルビーイング指標も含めたものと言える。すなわち、カントリルラダーや生活満足度、主観的幸福度も含めた概念と考えられている。Zelenski et al.(2008)は管理職の自己評価での生産性と主観的ウェルビーイングの関係性を検証し、幸福度の高い管理職は(そうでない管理職と比較して)より生産性を発揮することを示している。また、DiMaria et al.(2020)も幸福度の高い従業員は(そうでない従業員と比較して)より生産性を発揮することを示している。また、Bellet et al.(2024)は肯定的感情と生産性(営業成績)の関係性を検証し、幸福度が高い労働者は幸福度の低い労働者よりも生産性が13%高いことを示している。仕事に対する前向きな気持ちが生産性向上の鍵ということになる。

以上のように、個人レベルの労働生産性の決定要因について(1)ワークエンゲージメント、(2)職場の人間関係、(3)労働環境、(4)肯定的感情について主として研究がおこなわれてきているのである。(1)から(3)については主観的ウェルビーイングの決定要因としても重要視されており、(4)に影響を及ぼすことが示唆されている。総じて(1)~(3)を通して働く人の主観的ウェルビーイングを高めることが主として個人の労働生産性向上に結び付く可能性が示唆されるということが言える。

本研究は上記の個人レベルの労働生産性の学術研究を教育分野に適用するものである。厳密には当然ながら労働における生産性の決定要因は教育における生産性(成績等)の決定要因とされてきているものとは学術的に異なるものと言える。さらに、教育分野での研究としては試験の点数を教育のアウトプット指標として注目し、その決定要因を検証する研究の他にも、学校における学生のエンゲージメントの決定要因に関して研究を行った研究蓄積も別途存在している。しかしながら、労働生産性の決定要因の知見を南山大生の生産性に適用することで見えてくるものがあるかもしれない。そこで、本研究は労働分野での学術的な研究蓄積を教育分野での研究に適用することを特色および独自性とする。

以上より、本研究では以下、南山大生の生産性の決定要因として個人レベルの労働生産性の決定要因の要素が適用できるのかどうかについて検証を行う。

3. データおよび分析の概要

以上の先行研究を踏まえ、南山大学の学生を対象にアンケート調査を実施した。アンケートは『大学の「しあわせ」を測る(1):南山大生は幸福なのだろうか』と同じものであり、2025年度の著者の授業の受講生を対象に行ったものである。具体的には2025年度第2クォーター「経済政策論」(対象学年2年次以上)の受講生(受講者数501名)および第3クォーター「社会システムと環境2」(対象学年1年次以上)の受講生(受講者数453名)を対象に実施した。「経済政策論」の授業では444名の有効サンプルを得ることができ、「社会システムと環境2」の授業では経済政策論ですでに回答済みの学生を除いた329名の有効サンプルを得ることができ、合計773の有効サンプルを得た。

本研究では南山大生の生産性として成績(GPA)を用いる。大学生の生産性の指標としては成績以外の要素も当然ながら重要と言える。しかしながら、「学生の生産性」の定義は多岐にわたり、学生の生産性を一意に指標化することは難しい状況と言える2。そこで、本研究では、客観的に把握可能である指標として「学業成績」を生産性の指標とする。学業成績としては、授業の平均的な成績であるGPA(南山大学の成績はC, B, A, A+の4つで評価され、Cが1、Bが2、Aが3、A+が4とされ、取得単位の成績数値の平均がGPAとして算出される)に注目し、このGPAを本研究では個人の労働生産性の指標と見なすことにする(当然ながら学生に求められる能力はこれ以外にも存在していることに注意が必要と言える)。限定的な意味での生産性であるという制約のもと、研究を行うことに注意をされたい3

2 たとえば、経済産業省が2006年に提唱した「社会人基礎力」は、社会的に大学生が求められている能力を示しており、産業界や教育界において注目がなされている(https://www.meti.go.jp/policy/kisoryoku/)。
3 計測できるもののみで人間の評価をすることの危険性は補論に示したLazear (2003)の研究に言及されている。また、指標に信頼が置きやすいという安易な理由だけで客観的指標だけに頼って人間を評価することは、客観指標で把握しきれないものを含めることができないという問題を発生させる。主観的ウェルビーイング等の主観指標の存在意義はそこにあるのではないだろうか。他方で、主観指標の計測方法など偏りのない信頼のできる指標としての信頼性担保が学術的に極めて重要であることも併せて言及できる。

質問では「あなたの直近での大学でのGPAはどの程度ですか?記憶の範囲で構いません。」と尋ね、2未満、2以上2.5未満、2.5以上3未満、3以上3.5未満、3.5以上の5段階の選択肢を設けて回答をしてもらっている。この5段階について2未満を1、2以上2.5未満を2、2.5以上3未満を3、3以上3.5未満を4、3.5以上評価を5とし、これらの数値を生産性の指標としている。数値が大きいほど生産性が高いという指標である。本研究では重回帰分析を用いて生産性の決定要因に関する分析を行う。被説明変数は上述の成績の選択肢の数値を用いる。

説明変数は以下のものを用いる。まず、先行研究で生産性の主たる決定要因とされている「ワークエンゲージメント」については、ワークエンゲージメントの指標として最も多くの研究で用いられてきている活力・熱意・没頭の3次元から構成されるUWES(Utrecht Work Engagement Scale)を参考にして測定する(Schaufeli et al., 2002; 2006)。すなわち、UWESを参考に、学生の学業に対するエンゲージメントを測る目的で「次の3つの項目は,学業に関してどう感じているかを記述したものです.各文をよく読んで,あなたが学業に関してそのように感じているかどうかを判断してください.」という質問に対して、以下の3つの項目を提示している。一つ目は「学業をしていると、活力がみなぎるように感じる」、二つ目は「学業に熱心である」、そして三つめは「私は学業にのめり込んでいる」である。これらはそれぞれ活力・熱意、没頭に該当するものである。これら3つの項目について以下の7つの選択肢を設けて当てはまるものを回答してもらっている。1.全く感じない、2.ほとんど感じない、3.めったに感じない、4.時々感じる、5.いつも感じる、6.とてもよく感じる、7.いつも感じるの7つの選択肢である。7段階評価の数値の3項目(活力・熱意・没頭)の平均値を学生のエンゲージメント指標としている。数値が大きいほどエンゲージメントが高いという指標である

二つ目の説明変数として、先行研究で生産性の主たる決定要因とされている「職場の人間関係」の代理指標を用いる。代理指標としては友人知人との関係性満足度(1から5の5段階評価)を用いる。数値が大きいほど関係性に満足していることを示すものである。

また、三つ目の説明変数として、先行研究で生産性の主たる決定要因とされている「労働環境」の代理指標を用いる。代理指標として、先行研究で職場の緑が生産性にプラスに影響を及ぼすことが確認されていることから、キャンパス内の自然満足度(1から5の5段階評価)を用いる。数値が大きいほど満足していることを示すものである。

なお、著者のフィンランドにおける現地調査ではフィンランドの生産性の高さの背景には仕事から離れる時間(余暇)の重要性があることが分かってきている。すなわち、余暇にしっかりと休息をとることが、仕事の活力や生産性につながっている可能性があると推察されるのである。この仮説を検証するために、本研究では4つ目の説明変数として、余暇時間満足度(1から5の5段階評価)を説明変数に含めている。数値が大きいほど満足していることを示すものである。

以上4つの主たる説明変数に加えて、コントロール変数として女性ダミー(女性=1、その他=0)、健康状態満足度(1から5の5段階評価)も含めている。健康状態満足度は数値が大きいほど満足していることを示す。健康状態が悪い場合には生産性が低下すること、逆に健康状態が良い時には生産性が増大することを考慮に入れるために含めている(Strauss, 1986; Currie & Madrian, 1999)。

以上のデータの基本統計量を表1に示す。

表1 基本統計量(N=773)

平均 標準偏差 最小値 最大値
生産性(成績) 2.89 1.05 1 5
エンゲージメント 3.27 1.16 1 7
友人知人との関係性満足度 4.03 0.98 1 5
キャンパス内の自然満足度 3.83 0.93 1 5
余暇時間満足度 3.15 1.15 1 5
女性ダミー 0.60 0.49 0 1
健康状態満足度 3.60 1.11 1 5

4. 生産性(成績)の決定要因の推計結果

南山大生の生産性(成績)の決定要因を検証する重回帰分析の推計結果を表2に示す。

表2 南山大生の生産性(成績)の決定要因(N=773)

標準化係数
エンゲージメント 0.24 ***
友人知人との関係性満足度 0.02
キャンパス内の自然満足度 -0.01
余暇時間満足度 -0.09 *
女性ダミー 0.32 ***
健康状態満足度 0.03

注:** , ***はそれぞれ5%, 1%水準で統計的に有意であることを意味している。

分析の結果、先行研究で生産性の主たる決定要因とされてきているエンゲージメントが統計的に有意にプラスの係数となった。このことは、統計的に有意にエンゲージメントが生産性とプラスの相関を有することを意味する。しかしながら、他の先行研究で主たる決定要因とされてきている友人知人との関係性満足度、キャンパス内の自然については統計的有意性が得られていない。友人知人との関係性満足度について生産性にプラスの影響が見出せなかったことは、人とのつながりの先行研究で示したような友人知人が互いにプラスの影響を及ぼすことができていない南山大生の現状を示唆するものと言え、今後の改善が期待される点と言える。学生同士が互いに高めあえる環境を作るための方策は次節(エンゲージメントの決定要因)で触れる。また、キャンパス内の自然についても次節の追加分析でその存在価値を考える。

さらに、余暇時間満足度については生産性にプラスの影響を想定していたが、推計結果ではその逆の結果であるマイナスの係数が統計的に有意に得られた。このことが意味することは、余暇時間に満足しているほど、生産性が低下してしまうという状況である。なお、コントロール変数については女性ダミーのみ統計的に有意にプラスの係数が得られている。女性のほうが男性よりも生産性が高いことを意味している。健康状態について統計的有意性が得られなかったことは、今回のサンプルが授業に出席していた学生に限っていることから、勉強が難しくなるほどの健康状態が極めて悪い学生がサンプルから外れてしまっているというサンプルバイアスの問題が指摘できる。

余暇時間満足度の係数がマイナスとなったこと(すなわち余暇時間に満足しているほど生産性が低下すること)は、実はフィンランドの現地調査でも見られたことであった。フィンランドの現地調査で見出されていたことは「エンゲージメントが高い場合に限って余暇が充実するほど生産性が増大する」ということであった。エンゲージメントと余暇は車の両輪であり、余暇が生産性にプラスになるためにはエンゲージメントが高い状況が必要である可能性が示唆されるのである。逆にエンゲージメントが低い場合には余暇のみが充実しても生産性にはプラスに働かず、むしろ余暇にばかり力を入れてしまう可能性が示唆されていたと言える。そこで、本研究ではエンゲージメントの値が平均よりも大きいサンプルとエンゲージメントの値が平均よりも小さいサンプルにサンプルを絞った推計も追加の分析として行っている。その推計結果を表3と表4に示す。

表3 南山大生の生産性(成績)の決定要因(N=268、エンゲージメント高群)

標準化係数
エンゲージメント 0.23 ***
友人知人との関係性満足度 0.04
キャンパス内の自然満足度 0.05
余暇時間満足度 0.17 ***
女性ダミー 0.34 ***
健康状態満足度 0.04

注:***はそれぞれ1%水準で統計的に有意であることを意味している。

注:エンゲージメント高群=エンゲージメントが平均以上のサンプル

表4 南山大生の生産性(成績)の決定要因(N=353、エンゲージメント低群)

標準化係数
エンゲージメント 0.25 ***
友人知人との関係性満足度 0.09
キャンパス内の自然満足度 0.08
余暇時間満足度 -0.06 ***
女性ダミー 0.35 ***
健康状態満足度 0.05

注:***はそれぞれ1%水準で統計的に有意であることを意味している。

注:エンゲージメント低群=エンゲージメントが平均未満のサンプル

表3と表4に示すように、エンゲージメントが平均以上のサンプルに限った分析でも平均未満に絞ったサンプルでも、エンゲージメントは生産性と統計的に有意にプラスの相関を有することが確かめられた。特筆できることは、エンゲージメントが平均以上のサンプルに限った分析では余暇時間満足度の係数が統計的に有意にプラスとなることが示され、平均未満のサンプルに限った分析では余暇時間満足度の係数が統計的に有意にマイナスとなることが示されたことである。このことが意味していることは、エンゲージメントが高い場合には余暇時間満足度が生産性にプラスに働くということである。余暇の充実はエンゲージメントが高い場合にのみ生産性にプラスに働くということが示唆されたことになる。言い換えると、エンゲージメントが高い場合に生産性をさらに高めていくためには仕事と余暇のバランス(ワークライフバランス)が重要ということが言えるのではないだろうか。

本研究が示唆することは、エンゲージメントが低い場合には、余暇の充実は生産性をむしろ低下させる可能性があるという注意喚起に他ならない。そのような場合には学生は「余暇にばかり力を入れる」ことにつながる。大学の一教員として厳しい示唆を得たと考えている。学生が学業に活力を持ち、情熱を持てるような授業を実施していくことが大学教員の役割ということを改めて感じる結果と言える。

加えて、人とのつながりである友人知人との関係性満足度と生産性との関係に統計的有意性が得られなかったことも注目すべきことであると考えられる。生産性においては職場内の人間関係は先述の通りの理由で生産性向上に結び付くことが指摘されてきている。学業において学内の人間関係の充実が生産性に結び付いていないということは、学業における良い影響を友人同士で互いに与えることができていない状況を示唆するものと言える。この状況を改善していくためにも学生一人一人の学業に対するエンゲージメントを高めていく必要があるように感じられてならない。補論に示す通り、生産性の高い仲間の存在は、周りの生産性を高める可能性が指摘されてきているのである。エンゲージメントを高めていくためには教員一人一人の努力が重要であるはずである。その重要性を再確認する貴重な機会となった。

なお、本節の推計結果を図示すると以下の通りになる。図1が全サンプル、図2がエンゲージメント高群、図3がエンゲージメント低群の生産性の決定要因である。数字は標準化係数であり、統計的に有意なものを示している。標準化係数の絶対値の大きさは相対的にどの要因のインパクトが大きいかを意味しており、符号は影響の向きを意味している。正の値はプラスの相関、負の値はマイナスの相関である。

図1 全サンプルの生産性の決定要因

注:数値は標準化係数(数字の絶対値の大きさは相対的な影響の大きさを意味する。正の値はプラスの相関、負の値はマイナスの相関である。)

図2 エンゲージメント高群の生産性の決定要因

注:数値は標準化係数(数字の絶対値の大きさは相対的な影響の大きさを意味する。正の値はプラスの相関、負の値はマイナスの相関である。)

図3 エンゲージメント低群の生産性の決定要因

注:数値は標準化係数(数字の絶対値の大きさは相対的な影響の大きさを意味する。正の値はプラスの相関、負の値はマイナスの相関である。)

5. エンゲージメントの決定要因

前節で南山大生の生産性(成績)向上のためには「学業に対するエンゲージメント」を高めることが有効という結果が得られた。それでは、この学業に対するエンゲージメントはどのようにしたら高まるのだろうか。

ワークエンゲージメントの決定要因に関する実証研究は、主としてKahn(1990)による学術的な理論的枠組みに基づいて行われてきている。Kahn(1990)は役割遂行への「自己投入」を可能にする心理的条件として、心理的有意味感(meaningfulness)、心理的安全(safety)、心理的利用可能性(availability)の3条件を提示し、以後の実証研究における基礎的枠組みを与えている。ここで心理的有意味感とは仕事のやりがいに該当し、心理的安全は職場の同僚や上司部下同士で信頼関係に基づいて自分の意見を言いやすい関係にある状況(言い換えると罰せられにくい状況)に該当する。心理的利用可能性は個人が仕事役割に自分のエネルギー(身体的・感情的・認知的資源)を投入できる余力がある状態を指す。すなわち、疲労・ストレス・不安・役割過多などにより、心理的・感情的な余裕が枯渇していない状態とされる。具体的には十分に休息が取れている、感情的に安定している、同時に抱える役割や心配事が過度でない、「今日は集中して仕事に向き合える」と感じているような状況が心理的利用可能性が高い状況である。

このKahn(1990)の枠組みを量的に検証した代表的実証研究として、May et al.(2004)が挙げられる。そこでは保険会社従業員を対象とするフィールド調査により、仕事有意味感・心理的安全性・心理的利用可能性のいずれもエンゲージメントと正に関連し、とりわけ心理的有意味感の関連が強いことが示されている。さらに、職務充実や職務役割適合が仕事有意味感を高めること、同僚関係や上司の支援的関係が心理的安全性と関連すること、仕事外の活動(育児・介護、家庭内の役割過多など)が「心理的・感情的な消耗」をもたらす場合に限り心理的利用可能性を低下させること等、心理的条件を規定する要因も具体化している。

なお、上記の環境要因(職務特性)だけでなく、「個人資源(例:自己効力感、組織ベース自尊感情、楽観性等)」の役割も、エンゲージメント研究の中心的決定要因として位置づけられている(Xanthopoulou et al., 2009)。

以上の先行研究を踏まえて、本研究では重回帰分析を用いて南山大生のエンゲージメントの決定要因を検証する。被説明変数はエンゲージメント、主たる説明変数に友人知人との関係性満足度、キャンパス内の自然満足度、健康状態満足度、自己効力感、余暇時間満足度、そして授業の楽しさを用いる。コントロール変数として女性ダミーを用いる。

これらの重回帰分析で用いる変数の基本統計量を表4に示す。ここで、エンゲージメント、女性ダミー、友人知人との関係性満足度、健康状態満足度、余暇時間満足度については生産性の決定要因の分析で用いた変数と同じものである。

キャンパス内の自然満足度については、「あなたは以下の項目について全体としてどの程度満足していますか。」という質問に対して「キャンパス内の自然」という項目を示し、1から5の5段階で満足度を評価してもらった指標である(数値が大きいほど満足している)。自己効力感については、「以下の項目それぞれについて、あてはまるものを回答してください。」という質問に対して10項目を示し、それぞれの項目に対して1.全くそうではない、2.あまりそうではない、3.かなりそうである、4.とてもそうであるの4つの選択肢から回答をしてもらっている。この選択肢の数値の10項目平均を自己効力感指標としている。この自己効力感指標は学術的に最も広く用いられているものであり、General Self-Efficacy Scale(GSE;Schwarzer & Jerusalem, 1995)と呼ばれている。世界各国で翻訳・妥当性検証が蓄積しており、「一般的自己効力感」を短い項目数で測れることが普及理由とされる。また、授業の楽しさについては、ワークエンゲージメントが仕事の役割に対して活力・熱意・没頭をもって関与するポジティブな心理状態として概念化されていることから、授業が楽しいという前向きな気持ちを持っているかどうかがエンゲージメントに影響することが考えられるため把握している。質問では「全体としてあなたはどの程度大学での授業が好きですか」という質問に対して1.全く好きではない、2.あまり好きではない、3.まあまあ好きである、4.大変好きであるという4択で把握している。この選択肢の数値を授業の楽しさの指標としている。

表4 基本統計量(N=773)

平均値 標準偏差 最小値 最大値
エンゲージメント 3.27 1.16 1 7
女性ダミー 0.60 0.49 0 1
友人知人との関係性満足度 4.03 0.98 1 5
キャンパス内の自然満足度 3.83 0.93 1 5
健康状態満足度 3.60 1.11 1 5
自己効力感 27.15 5.47 10 40
余暇時間満足度 3.15 1.15 1 5
授業の楽しさ 2.58 0.62 1 4

6. エンゲージメントの決定要因の推計結果

南山大生の学業に対するエンゲージメントの決定要因の推計結果を表5に示す。推計の結果、労働環境の代理変数であるキャンパス内の自然満足度は先行研究と同様に統計的に有意にエンゲージメントとプラスの関係性にあることが分かった。このことは南山大学のキャンパス内の自然が学業に対するエンゲージメントを高めている可能性を示唆するものと言える。また、南山大生の自己効力感についても先行研究と同様に統計的に有意にエンゲージメントとプラスの関係性を有することが分かった。

余暇時間満足度については統計的に有意にプラスの関係性が見出されている。他方で、生産性の決定要因においては余暇時間満足度は統計的に有意に生産性とマイナスの相関を有することが示されている。このことが意味することは、南山大生の余暇時間満足度はエンゲージメントを通して生産性にプラスの影響を及ぼす可能性が見出されたものの、生産性の決定要因のところで議論したようにエンゲージメントを介さない経路(直接の影響)では余暇時間満足度は生産性にマイナスの影響を及ぼすということであろう。

他方で、友人知人との関係性満足度についてはエンゲージメントと統計的に有意にマイナスの相関があることが見出されている。友人知人との関係性に満足しているほどエンゲージメントが低いという状況が示唆される。このことは南山大生の友人知人との関係性が学業のエンゲージメントにむしろマイナスに働いてしまっていることを示唆するものと言える。この状況を改善していくためにも学生一人一人の学業に対するエンゲージメントを高めていく必要があるように感じられてならない。

加えて、授業の楽しさについては統計的に有意にプラスの相関を有することが見出されている。このことは、エンゲージメントに授業の楽しさがプラスに影響する可能性を示唆している。このことは教員が意識すべきことであると言えるであろう。

なお、標準化係数の絶対値の大きさを比較すると、授業の楽しさが最も大きく、次に自己効力感という順番になっている。したがって、授業の楽しさと自己効力感が学業におけるエンゲージメントに相対的に強く影響する可能性が示されたと言える。

表5 エンゲージメントの決定要因の推計結果

標準化係数
女性ダミー -0.013
友人知人との関係性満足度 -0.070 *
キャンパス内の自然満足度 0.063 *
健康状態満足度 0.0025
自己効力感 0.25 ***
余暇時間満足度 0.061 *
授業の楽しさ 0.37 ***

注:* , ***はそれぞれ10%, 1%水準で統計的に有意であることを意味している。

なお、ここでも表5の推計結果を図示すると図4のようになる。

図4 エンゲージメントの決定要因

注:数値は標準化係数(数字の絶対値の大きさは相対的な影響の大きさを意味する。正の値はプラスの相関、負の値はマイナスの相関である。)

補論. 労働環境が個人レベルの生産性に及ぼす影響

ここでは、本文中で触れることができなかった生産性の決定要因として有力とされている労働環境のその他の要素について、先行研究の説明を行いたい。

労働環境としては「所得」に関する研究蓄積が豊富である。所得に関しては年功序列の賃金の場合、年功で賃金は上がる一方で、パフォーマンス評価は経験とともに改善しないことがあり、経験が常に測定可能な生産性向上に結びつくとは限らないことが指摘されている(Medoff & Abraham,1980)。「静かな退職」のところで述べた通り、年功序列の場合に仕事に情熱が持てないまま経験年数のみ経過することがこの背景にはあると指摘できる。

他方で、成果主義への変更の影響を検証した研究としてLazear (2000)がある。この研究では自動車ガラス取り付け工の報酬体系を、固定給である「時給制」から、「出来高払い制」へと変更したことによる影響を検証し、この変更により生産性が44%上昇したことが示されている。また、この44%の上昇の半分は労働者が休憩時間を短縮し、作業速度を上げ、無駄を省くよう行動を変容させたことで説明でき、残りの22%は労働者の入れ替わりによって説明ができることを示している。労働者の入れ替わりは、能力の高い労働者にとっては出来高払い制が魅力的な制度である一方で、能力の低い労働者にとっては出来高払い制は従来の固定給よりも魅力的ではないことを指摘している。その結果、生産性の低い労働者が退職し、代わりに高い生産性の労働者が新たに入社することで「人材の質の向上」が起こり、全体の生産性を押し上げる要因となったことを示している。

ただし、Lazearは、ガラスの取り付け工のようにアウトプットが明確に定義・測定できる単純作業においては、金銭的インセンティブが極めて有効であることを示す一方で、より複雑な業務においてはこの限りではないことも示している。具体的には教育現場を対象としたLazear (2003) において、教員に対する成果主義(生徒のテストの得点に基づくボーナス)の導入について検討をしている。教育のアウトプットは多面的であり、テストの得点だけでなく、生徒の好奇心の育成や社会性の涵養なども重要とされる。しかしながら報酬がテストの得点のみに紐付けられると、教員はテスト対策に過剰に注力し、測定困難だが重要な他の教育活動を疎かにする可能性があることを示している。これはホルムストロームとミルグロムが指摘した「マルチタスク問題」と呼ばれる問題の実例であり、測定困難な業務においては、あえて強力な金銭的インセンティブを避ける(固定給にする)ことが合理的である場合も示唆されていることに注意が必要と言える。

また、Mas & Moretti (2009)は「視線」の経済効果を示している。当該研究では大手スーパーマーケットチェーンのレジ係を対象に研究を行い、生産性の高い労働者がシフトに入ると、その同僚の生産性も有意に向上することを示している。具体的には、同僚の平均的な能力が10%上昇すると、対象となる労働者の「努力水準」(生産性)が1.5%〜1.7%上昇することを示している。ただし、「自分の姿を見ている」位置に優秀な同僚がいる場合にのみ、労働者の生産性は向上し、優秀な同僚が自分の背後(視界に入らない位置)にいる場合、生産性への影響はほとんどないことも示している。生産性の高い同僚の存在が周囲に波及する可能性を示していると言える。

また、個人の生産性は、「誰に管理されるか」によっても大きく変動することが示されている。Lazear et al. (2015)は上司の質(部下の生産性を高める能力)には大きな個人差があることを示している。すなわち、最底辺10%の質の上司を、トップ10%の質の上司に入れ替えることは、9人のチームに新たな労働者を1人追加するのと同等の生産性向上効果をもたらすことを示している。また、平均的な上司は、平均的な一般労働者の約1.75倍の価値を生み出すことも示している。さらに、同研究では上司が部下の生産性を上げているメカニズムについて二つ示している。一つ目は動機付け(叱咤激励や監視によって、一時的に部下のやる気を引き出す)、二つ目は教育(新しいスキルや効率的な作業方法を教え、部下の人的資本を恒久的に高める)である。分析の結果、良い上司の下で働いた部下は、その上司が異動していなくなった後も、向上した生産性を長期間維持し続けたことを示し、上司の主な価値は教育にあると結論付けている(もし効果が単なる動機付けや監視であれば、上司がいなくなった瞬間に生産性は元に戻るはずであるためである)。さらに、この研究は「誰をどの上司につけるべきか」という最適な割り当ての問題にも言及しており、「最良の上司は最強の部下と組ませるべき」ということを示している。これは、優秀な上司の指導力は、それを吸収し活用できる能力の高い部下に対して発揮されたとき、限界生産力が最大になることを意味し、逆に言えば、優秀な上司を「ダメな部下の更生」に使うことは、組織全体の生産性最大化の観点からは非効率である可能性を示していると言える。

さらに、労働者の教育(トレーニング)についてはDearden et al. (2006)が有名である。当該研究はイギリスでの企業主導のトレーニングが生産性と賃金に与える影響を分析したものである。分析の結果、トレーニングは生産性と賃金の双方を有意に上昇させることが確認されている。加えてその上昇幅には顕著な乖離があることも示し、トレーニング受講率が1パーセントポイント上昇すると、労働生産性が約0.6%上昇する一方で、同条件での賃金上昇率は約0.3%にとどまること(しかしながら企業としては生産性の上昇のほうが賃金上昇よりも大きいため利益が増大すること)を示している。Konings & Vanormelingen (2015) によるベルギー企業データを用いた分析においても、トレーニングは生産性を約20%程度押し上げる一方で、賃金上昇効果は10%前後にとどまることが示されており、生産性効果が賃金効果を大きく上回るという同様の傾向が確認されている。

なお、労働環境として生成AIの導入についての研究蓄積も始まっている。Brynjolfsson et al.(2025)は5,000人以上のカスタマーサポート部門の従業員を対象に、生成AIツールの導入効果を検証している。その結果、生成AIの導入により、全体平均で生産性が14%増加したことを示している。さらに、その恩恵が一様ではなかったことも示しており、生成AIツールの恩恵を最も受けたのは経験の浅い労働者やスキルの低い労働者であり、彼らの生産性が34%向上したことを示している。生成AIにより初心者は急速に学習し、経験不足を補うことができたとしている。他方で、トップクラスの熟練労働者への影響は限定的、あるいはゼロであったことも示されている。この結果は、AIが「スキル偏向的(Skill-Biased)」ではなく、むしろ格差を縮小させる「平等化(Leveling)」の性質を持つ技術である可能性を示唆していると言える。

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Profile

総合政策学部 総合政策学科

鶴見 哲也 教授

専攻分野

環境経済学

主要著書・論文

  • "Does Trade Openness Improve Environmental Quality?" Journal of Environmental Economics and Management (共著)
  • "Does Energy Substitution Affect Carbon Dioxide Emissions-Income Relationship?" Journal of The Japanese and International Economies (共著)
  • "Decomposition of the Environmental Kuznets Curve: Scale, Technique, and Composition Effects” Environmental Economics and Policy Studies(共著)

将来的研究分野・経済発展と環境

  • 貿易と環境
  • 望ましい環境政策
  • 生物多様性
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  • 主観的幸福度

担当の授業科目

「環境経済学」、「生命と環境(経済と環境問題)」、「経済政策論」他