yamazato60 ~YAMAZATO Campus 60+

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Talk Session vol.4

トークセッション 編集後記
Y60 Producer×Editor Talk Session

Talk Session

Beautiful Campus,Nanzan Mind
知が行き交う 学び舎の丘

YAMAZATO60 Producer

奥田 太郎

OKUDA Taro

南山大学同窓生

村田 真美さん

MURATA Mami

人の営みが息づくキャンパス、
引き継がれる南山マインド

今回は番外編として、「YAMAZATO60」プロジェクトを牽引してきた奥田副学長が、インタビュー企画を担当したエディターであり同窓生の村田真美さんと対話をしながら総括していく。蒔いた種から発芽したものは?

Profile
Y60プロデューサー 奥田 太郎(南山大学副学長)
コピーライター 村田 真美(株式会社mana)

60年の連なりを、
皆の「YAMAZATO」に

奥田

「YAMAZATO60」プロジェクトが立ち上がって半年、すべての企画がひと段落したところで、インタビュー企画を担当したエディターの村田さんに登場いただきました。南山大学の同窓生でもあります。

村田

本プロジェクトにご縁をいただき、私自身も人生を振り返ったりしながら過去と現在をいったりきたりする不思議な感覚を味わう半年間となりました。奥田先生とこうしてお話させていただくのは、初回のキックオフ対談以来ですね。今日は奥田先生の「Y60プロデューサー」としての側面に迫っていきたいと思います。
南山大学のキャンパスがここ山里の地に移転したのが1964年。60周年の節目である2024年に立ち上がった「YAMAZATO60」プロジェクトですが、発起人のおひとりとして、今の心境をお聞かせいただけますか。

奥田

2024年に南山大学が『日本建築学会賞(業績)』を受賞したことが着想の起点になっているのですが、建築家アントニン・レーモンド氏による設計思想が息づくこの「山里キャンパス」で過ごした学生たちの、60年にわたる歴史が積み重なった現在の姿を記録に残したい、表現したい、卒業生の皆さんをはじめ南山に関わるすべての方々と共有したい、という想いで立案して半年間、皆さんと共に走ってきました。今感じているのは、当初思っていたよりもかなり広がりが出てきたことです。

村田

手応えがあったということですね。

奥田

学部長インタビューのトップバッターを飾っていただいた川浦先生の記事を見たときに確信に変わりました。「8学部すべての学部長が登場するインタビュー記事」というコンテンツを立ち上げたものの、どんな仕上がりになるのかと若干心配していたんです。学部長の皆さんとは普段から話をしますし、会議等で定期的に顔を合わせる間柄ですから、それぞれの人となりや、何を考えているかをなんとなくわかっているつもりだったのですが、改めてインタビュー形式で話を深堀りしていくと何が生まれるのか、というところまではやってみないとわからなかった。ところが、回を重ねていくうちに、南山大学の先生として「共通項」みたいなものが、示し合わせることなくインタビューによって立ち上がってくる感覚がありました。概念的にイメージしていたものが「本当にあるんだ」と手触りを持って確認できた半年間だったな、と思います。

村田

写真もそれぞれの個性が際立っていて、とても素敵ですよね。撮影ブースに来るまでは遠慮がちだった先生方が、いざカメラの前に立つと堂々とポーズをとってくださったりして。私にとっても、インタビューのみならず撮影の時間を含めて楽しいひとときでした。

学部によってアプローチはさまざまなのですが、確かに奥田先生がおっしゃったように、根っこの部分、土台にはっきりとした共通項というか、「信念がある」と私も感じました。その答え合わせになったのが、南山学園の市瀬理事長とキサラ学長との対談です。柔らかい雰囲気なんですけど、お二人の眼差しや発せられる言葉はまっすぐに心に届くものでした。すべての価値の判断基準は「Hominis Dignitati(人間の尊厳のために)」である、と。

キャンパス生活で得られるのは、
有形無形の財産

奥田

村田さんは、学生時代は所属学部以外との接点はあまりなかったと思いますが、今回すべての学部長たちにインタビューする、という経験はいかがでしたか?

村田

学生時代は授業が終わったらバイトにサークルに、と忙しかったので、あまりキャンパス自体で長く過ごしていないと思うのですが、不思議なことに本プロジェクトのキーワードでもある「Nanzan Mind」は心に沁み込んでいたんだな、と思いました。学問領域が違っても、8名の学部長から届けられるメッセージの根幹は同じだと気がつきました。

奥田

ご自身の中にある「Nanzan Mind」の再発見があったんですね。 キャンパスの見え方についてはどうですか?

村田

私の中での「Beautiful Campus」は、今も昔もグリーンエリアなんですよね。授業の合間にピクニック気分でランチをしたり、キリスト教概論の授業で「Meditation」をしたり。瞑想って何をするのかと思えば、グリーンエリアに寝転がって目を閉じて、神父様の「あなたは鳥になって空を飛んでいます」という言葉に耳を傾けての時間旅行。マインドフルネスですよね。今となっては人生においてとても大切なことを学んでいたんだ、とわかりますが、当時はそんなことも知らずにただ目を閉じていました(笑)。私のなかでグリーンエリアは、「思い出」と共にあるから美しく、かけがえのない宝物なんだと思います。あと入学したばかりの頃、留学生がグリーンエリアで授業している風景がカッコ良くて、その憧れの気持ちが3年次の留学につながったりと、「挑戦するきっかけに満ちたキャンパス」だったんだな、と改めて思いました。

YAMAZATO60フォトコンテスト キサラ学長賞 受賞作品:加藤那奈さん(個人戦受賞作品は他8作品)

皆が主役に。
山里の丘はパワースポット?

村田

本プロジェクトは、インタビュー記事のほかイベントや動画コンテストなどさまざまな企画が立ち上がりました。全体の総括をY60プロデューサーにしていただこうと思います。全学的な取り組みでしたが、奥田先生のリーダーシップのもと、関わった皆さんが楽しんでいらっしゃるのが印象的でした。

奥田

やはりアントニン・レーモンド氏という、日本の近代建築の歴史に種を蒔いた人が、最晩年に彼の集大成として大学キャンパス全体を設計したところに根っこがある、と感じています。「山里キャンパス」は、そこでの営みを将来まで見通すような設計思想に基づいていて、そのうえで、そこに暮らす人たちが60年の月日をかけて可能性を広げてきたし、これからも進化を遂げていくんだろうな、というイメージです。

こういう感覚は、実は「YAMAZATO60」が始まるまでは私も持っていなかったのですが、プロジェクトを進めていくうえで言語化されていきました。そういう意味では、南山大学自体のポテンシャルを言葉にして、引き出していく作業にもなった気がします。「もともと皆がそう思っているんだから、わざわざやらなくてもいいのでは」と思う人もいるかもしれないけれど、そうじゃない、という確信を持ちました。こうやって皆が改めて考えてみて、振り返って言葉にして発信し、いろいろな人たちが共有する場を作ってみて初めてわかることがある。

村田

そうですね、輪郭が見えてくる。それは奥田プロデューサーのリーダーシップがあってこそ、だったと思います。

奥田

そんなに仕切ってなかったと思いますが。

村田

周りから間髪いれずに「すごい仕切りだった」というツッコミが聞こえてきました(笑)。今回思ったのが、奥田プロデューサーは、例えるなら日本神話の天岩戸伝説に出てくる「踊る女神」のような存在だったのではないかと。山岸先生と奥田先生、楽しそうに踊っている副学長たちを見て、周りの皆さんが岩戸から出てきたり集まって来るイメージ。

奥田

ポジティブにそう思ってもらえるならありがたい限りです。立ち上げには推進力が必要ですけど、動き出したらそれぞれの人の走り方でいいと思っていました。そして、その先は皆さんご自身が主役になっていく。法学部長の豊島先生が、「ポスターの写真をみた学生たちから、『先生、アベンジャーズみたいですね』と言われた」なんて話をしていたら、総合政策学部長の久村先生が「私たちはアベンジャーズじゃなくてサバイバーズよ」なんていう会話に発展したと伺っていますし(笑)。こうやって話題のネタになるのもいいですよね。

村田

「フォトコンテスト」のページで入賞した作品を見ていたら、「Beautiful Campus」な写真だと思ってクリックすると、図らずも「Nanzan Mind」なコメントが書かれていて、ちょっと驚きました。今回の企画で、学生も一般の方も、先生方も普段思っていることが可視化されたのかな、なんて思いました。

奥田

そうですね。(フォトコンテストの学長賞で最初に載っている写真を見ながら)この作品はベンチの写真なんですけど、広報用によく見かけるグリーンエリアとは違う角度で撮られているのも新鮮だし、人は写っていないのに、まるで歴代の学生さんたちの姿が見えるようで。余白というか、想像力をかき立てるいい写真だと思いました。

村田

「PR動画制作コンテスト」応募作品も、学生視点での南山らしさが表現されていて、見ていて楽しかったです。

奥田

このPR動画をアニメ加工したものが、海外からの短期留学プログラムである「アニメスタディツアー」で使われているんですよ。アニメ化しても南山らしさがしっかりと出ているのは、特徴的なキャンパスだからだと思います。

村田

南山大学は、日本における日本語教育のメッカですからね。その素材となりうるコンテンツが、本プロジェクトから生まれたのは嬉しいですね。

YAMAZATOキャンパスが
南山生の縦・横をつなぐターミナルに

奥田

もうひとつ、村田さんに聞きたいと思っていたことを思い出しました。村田さんが過ごされた学生時代と今を比べて、思うことなど何かありますか?

村田

見た目に一番大きいのは、キャンパスに建物が増えて、学食も綺麗に変貌したところですね。でも理系学部ができたり瀬戸キャンパスができたり、また「山里キャンパス」に統合されて現在のカタチになったりと変遷はありますが、「南山らしい」雰囲気は変わらない。先日、私の学生時代の所属学科の「国際経営プログラム」の先輩にお会いしたのですが、会った瞬間から時が戻ったかのように長年のブランクを全く感じなかったんです。これはまるで「南山」という共通項で繋がっている安心感とか信頼とか、そういう感じがしました。名古屋で仕事をしていると、取引先でも南山同窓生に会う確率はかなり高いですが、同窓生、というだけで距離が縮まる経験を数多くしてきました。

奥田

ぜひホームカミングデーに皆さんで来校いただき、旧交を温めて欲しいですね。今年度のホームカミングデーでは、「南山大学を遊ぶ」というゲームフォトのイベントを開催したんたんですよ。一部に穴が空いた写真を手に、その穴がぴったりと当てはまる場所を探すというキャンパス探訪ゲームで、違う角度から「時代を超えてキャンパスに出会い直してもらう」という試みでしたが、「在学当時の思い出がよみがえってきた」などと同窓生の方々の反応は上々でした。

村田

今回のプロジェクトの振り返りを踏まえて、来年度へと続く「YAMAZATO60+(プラス)」に向けての話もしていきましょう。

奥田

今回、「学食にフィーチャーした企画がなかったね」という声をいただきましたので、続編では学食もキーワードのひとつにしたいと思っています。

村田

学食といえば、キャンパスライフとは切り離せないキーワードですからね。私たちの学生時代は、1食(第1食堂)が部活やサークルの溜まり場になっていて、そこへ行けば誰かがいる、みたいな場所でした。

奥田

スマホなき時代の掲示板代わりですね(笑)。

村田

ホントですね。あと、少しお財布に余裕があるときは、2食(第2食堂)へささみフライ定食を食べに行きました。他の学食より平均単価が少し高いのですが、揚げたてを味わえると人気だったんですよね。3食(第3食堂)は体育会系の人たちの溜まり場だったイメージです。

奥田

その後、学食の構成もいろいろと変わってきましたが、やはり学生たちの思い出とともにある、それが学食ですよね。そこを起点に繋がっていければ、と。

村田

同窓生の方々にとっては、一人ひとりかけがえのない思い出がキャンパスにあるでしょうから、さまざまな年代の同窓生たちと有機的に繋がっていけるといいですね。

奥田

現役生とも繋がっていきたいので、次の「+」では新たな企画を構想中です。

村田

キャンパスを起点に、現役生や保護者の方にも‘生’の情報が伝わる場になるといいですね。この先「YAMAZATO60+(プラス)」での進化も楽しみです。

奥田

南山情報を共有するハブとして、皆さんが定期的にチェックしたくなるようなサイトをめざしたいと思っています。10万人を超える同窓生の皆さんと、現役南山生や教職員とをつなぎ、縦と横の連携が広がることを願って立ち上げた「YAMAZATO60」プロジェクト。「YAMAZATO」とローマ字で冠したのは、そこに南山短期大学や瀬戸キャンパスも含めて、この60年の連なりをすべて内包したかったからなんです。その繋がりが現役生に対して魅力的な学びの場を提供する、そういった循環を可視化していきたいです。

最後に、2025年4月から募集を開始する「ほまれはここに我が南山」学生応援募金についてお知らせをして、この対談を締めたいと思います。本学で学ぶ学生が充実した大学生活を送るための資金として活用することを目的とした「返礼品(寄附特典)付き寄附」です。返礼品のご提供に協力いただける同窓生の方も探していますので、ぜひ温かいご支援をよろしくお願いします。

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Y60プロデューサー

奥田 太郎 (南山大学副学長)

奥田 太郎

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コピーライター

村田 真美 (株式会社mana)

村田 真美

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南山大学に入学した最初の学生から、現在の学生、そして、これから入学する未来の学生に至るまで、また、歴代の教職員から、現役の教職員、そして、未来の教職員に至るまで、その想いと知の交わり、折り重なりは、YAMAZATOの地に暮らす人々とともに、確かにここに息づいています。

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今年度50周年を迎える外国人留学生別科は、外国人留学生が日本語を集中的に学び、日本の社会と文化の理解を深めることを目的としたプログラムです。これまでに世界各地から集まった10,000人を超える別科生がこのYAMAZATOの地で学び、「Nanzan Mind」を持って国際社会で活躍しています。