学長からのメッセージ2022年度学長方針
Ⅰ.基本方針
昨年度、南山大学は創立75周年を迎えました。コロナ禍の影響により、計画していた記念イベントを変更したり、規模を縮小したりせざるを得なくなりましたが、皆さまの柔軟な対応のおかげで充実した1年になりました。ご協力ありがとうございました。引き続き創立100周年に向けた大学像について一緒に創造していきましょう。
過去2年間、全世界がコロナ禍に振り回され、計画を予定どおりに実行することが大変難しい状況でした。こうした時期に、私は次の聖書の箇所を思い出します。「見よ、私は万物を新しくする」(黙21:5)。今年度こそ、私たちはコロナ禍後の世界に入ることでしょう。そして、それはコロナ以前の状態に戻るのではなく、人類にとっての新しい出発点になるのではないでしょうか。今年の新年の挨拶として、私は1月の「エピストラ」でアメリカの若き詩人アマンダ・ゴーマンの新作を紹介しました。彼女はその一節で「だから、通常の状態に戻らず、かわりに、次のことに手を伸ばそう」と書きました。私たちの課題は、コロナ禍後、人間の尊厳にふさわしい、より良い世界への実現に努めることです。
大学の設立母体である神言修道会の創立者聖アーノルド・ヤンセン師(St. Arnold Janssen, 1837-1909)が、まさにこのような時代にふさわしい言葉を残したことも想起したいと思います。「我々が生きる時代は、多くのものが崩れ去るような時代である。我々にはその代わりとなるものを作り出す使命がある」。このヤンセン師の精神が、終戦直後の混乱した時代の中に生まれた大学の創立者たちに引き継がれて、今なお私たちを導いています。
大学の新しい事業として、二つの試みに注目したいと思います。一つ目は、ヤンセン師にちなみ命名された南山大学ヤンセン国際寮についてです。今年度スタートを切る新しい学生寮が、国際的な舞台で活躍できる人材を育成する重要な場となることを期待しています。二つ目は、大学創立75周年記念のフィナーレとなる南山大学「人間の尊厳賞」の創設です。5月末の大学創立記念式典にあわせて、人間の尊厳のために特別な貢献をしてこられた方を表彰することになります。南山大学の顕著な特色である国際性のさらなる発展と、「人間の尊厳のために」という教育モットーの深化を目指しています。
今年度は、コロナ禍の影響で大幅に遅れている様々な計画や課題を再確認し、それらの実現に向けて邁進することが求められる大変忙しい年になると予想できます。2020年度から掲げてきた「地球規模の関心、私たちの貢献」を念頭に置いて団結し、より良い大学、より良い世界のために、次のステージに手を伸ばしましょう。
Ⅱ.ウィズ・コロナ/ポスト・コロナに向けて
昨年度もコロナ禍の影響を受けた一年となりました。しかし、学生や教職員の健康および安全に細心の注意を払いながら、可能な限り対面による授業を実施しました。また、コロナ禍で実施できなかった2020年3月の卒業式および2020年4月の入学式については、これに代わる対面でのイベントを開催しました。秋以降には、大学間協定に基づく交換留学の派遣を再開し、積極的に海外へ学生を送り出しました。
会議や授業の運営についても、コロナ禍で様々な困難に直面しましたが、多くの経験ができました。とくに授業運営に関しては、大規模講義の実施形態、オンライン授業のあり方、オンラインツールの活用等について幅広い知見を獲得したことと思います。こうした知見を踏まえ、大学運営におけるオンラインの有効活用について前向きに議論を進めてください。また、国内外の状況を把握しながら、オンラインと留学を連動させたプログラムの開発等、国際交流のさらなる深化についても検討してください。
コロナ禍後の世界、さらには大学創立100周年を見据えて、今後も「人間の尊厳のために」にふさわしい、より良い世界の実現に向けて新たな一歩を踏み出すことが重要です。
Ⅲ.将来構想
1.創立100周年へ向けて
多くの方々の協力を得て『南山大学75年史』が昨年度、編纂されました。改めて南山大学の歴史を振り返ると、前身となる南山外国語専門学校の設立当初からその特色として国際性を掲げてきたことがわかります。また、「人間の尊厳のために」という教育モットーのもと、多様な社会の中で活躍できる人材の育成に努め、ひいては、すべての人のかけがえのない価値が守られている世界の構築に貢献してきました。そうした中で、特徴的な教育プログラムを有する南山大学ヤンセン国際寮の開寮や南山大学「人間の尊厳賞」の創設は、本学の使命を果たすための一歩に他なりません。この先、100周年に向けて、構成員の皆さんと共に大学のさらなる発展に向けて努めたいと思います。
2.ライネルス中央図書館
2023年2月に、創立75周年を記念した図書館リニューアル事業である「ライネルス中央図書館」が竣工します。本学図書館が「ライネルス中央図書館」として生まれ変わるには、南山学園創立者であるヨゼフ・ライネルス師(Joseph Reiners, 1874-1945)の高潔忠実にして善良であれとの思いを継承すべく、動的、積極的に人と人、人と書物や知識、そして社会とが全人的かつ個性的存在として「であう」「つながる」「かわる」ことによって、新たなイノベーションが実現するよう種々のサポートを提供する図書館となることが求められます。そうしてこそ「個」の力は「世界」の力たりうるのです。真のイノベーションという化学反応をもたらす触媒作用の重要性や機能を自覚しながら、本学図書館は、利用者が「であう」「つながる」「かわる」特別な場所、地の塩、世の光としてのプレゼンス(存在感)を発揮する「ライネルス中央図書館」へと生まれ変わります。真の知的イノベーションの拠点となるよう広報に努め、積極的に活用してください。
3.安定した財政運営
本学の魅力を維持・向上させるためには、安定的な財政基盤を構築することが不可欠です。教育・研究の充実を図るため、今後も補助金の獲得に努めてください。2021年度には、学生納付金の改定を実施しました。入学定員の充足率に留意しながら、学納金改定および支出削減計画策定小委員会で検討される支出削減等の方策を継続して実施してください。寄附金については、現在、南山大学創立75周年記念募金、新型コロナ対策学生応援募金、大学院博士後期課程奨学支援募金、南山大学教育研究支援募金を進めていますが、これらについて卒業生・企業等への周知を図ってください。さらに寄附金の多様化についても検討してください。
Ⅳ.グローバル化推進
1.大学の世界展開力強化事業(米国)終了後のNU-COILプログラムの発展的継続
2018年度から開始した大学の世界展開力強化事業(米国)のプログラムが2022年度に終了します。文部科学省への中間報告では、2023年度以降も継続可能な事業計画を策定し、さらなる発展に向けた事業展開につなげることを掲げています。そのために、短期留学プログラムの事前・事後授業も含めて各学部や研究科におけるCOIL型授業のさらなる拡充に努めてください。また、IFCU(世界カトリック大学連盟)と連携して本学が世界的COIL教育のハブへと発展することを目指すとともに、CJS Online Cafe「和(なごみ)」やModern Japan Discussion Tableのような海外学生と本学学生のオンライン交流の枠組みを継続的に推進してください。また、今後も「大学の世界展開力強化事業」等の新たな外部資金申請によって本学のグローバル化をいっそう進めてください。
2.コロナ禍における学内国際交流のさらなる活性化
国際交流の実施もコロナ禍によって大きな影響を受けました。こうした状況においては学内国際交流がよりいっそう重要になります。この点、2022年4月のヤンセン国際寮の開寮は大きな意味を持つと思います。ヤンセン国際寮は、「ダイバーシティ&インクルージョン実践力養成プログラム」と呼ばれる教育プログラムを実施し、日本人学生と留学生とが協働して国境を越えて活躍する力を育む場を提供します。今後、ヤンセン国際寮とその教育プログラムがより充実するために組織横断型の教職員連携をしてください。また、多文化交流ラウンジ(Stella)、ワールドプラザ、ジャパンプラザをさらに活用し、単なる国際交流にとどまらず、アントレプレナーシップ教育とも連動させたプログラムを実施する等、学内における国際交流と学びの推進に努めてください。
3.大学間連携による国際化の拡大と深化
昨今、グローバル化を推進するにあたって、国内大学と連携し、プログラムを共同運営する事業が注目されています。こうした事業に関し、2021年度、本学は二つのプログラムに採択されました。一つは、文部科学省「大学の国際化促進フォーラム」事業で、琉球大学を幹事校とした「COILを活用した持続的グローカル・イノベーション人材育成プロジェクト」です。もう一つは、「令和3年度大学発新産業創出プログラム(START)大学・エコシステム推進型 スタートアップ・エコシステム支援形成」に採択されたTongaliプロジェクトで、東海地方の大学とともに次世代の起業家育成やグローバルなイノベーションシステムの構築に取り組みます。これらのプロジェクトを通じてオンライン授業も含めた科目の相互提供を進めてください。
ウィズ・コロナ/ポスト・コロナを見据えた海外大学間連携についても継続的に推進する必要があります。学生交流協定を締結した海外の大学・機関は、2021年度末の時点で33カ国・地域で116大学となっています。「南山大学国際化ビジョン」ではグランドデザイン完成年度である2027年度までに約130大学との協定を目指しています。引き続き協定校の開拓に努め、協定校に対する魅力的なプログラムを考案してください。一方で、「南山大学国際化ビジョン」が策定された2015年度から今日に至るまでの間、外的環境は大きく変化してきましたので、それに応じたビジョンの見直しを始めてください。
4.コロナ禍における学生のモビリティー促進の方策
コロナ禍でも安全を確保した上で海外派遣や留学生の受け入れを積極的に進めてください。海外派遣については、受け入れ国・地域の施策によっては迅速な対応を必要とされる場合もあるので、学生に丁寧に周知し、説明することが求められます。入学時ガイダンス等早い段階から、学部と国際センターが連携し、効率的な説明会を実施するようにしてください。留学経験のある学生と教職員が学生の海外留学を支援する南山のプロジェクト「NaSIP(※)」を活用することも有効な手段です。また、大学院生も交換留学制度を利用して海外で研究できるようにする柔軟な仕組みを検討してください。
留学生の受け入れについても多様な方策を講じてください。昨年度開始した学部・研究科への交換留学生の受け入れや外国人留学生別科の新プログラムModern Japan Program等を通じて、学部生・大学院生・外国人留学生の教育的・文化的交流をいっそう促進してください。さらに、外国人留学生にとって魅力ある学びの場となるように長期インターンシッププログラムの開発も検討してください。
※SIPS(Staff & student Initiative for Promoting Study abroad)とは、文部科学省「トビタテ!留学JAPAN」事務局が主催する事業で、留学経験者の学生と教職員が連携し、一つのチームとして多くの学生の海外留学を応援するプラットフォームです。南山大学での取り組みはNaSIPと呼んでいます。
Ⅴ.教育・研究
1.認証評価を踏まえた改善
本学は、2020年度に大学基準協会の認証評価を受審しました。周知のとおり、概ね肯定的な評価を得ましたが、学習成果の把握方法や大学院の定員の充足化等について改善が求められました。内部質保証委員会が中心となって改善計画を策定してください。また、各学部・大学院は、大学基準協会に中間報告にあたる改善報告書を提出することになる2024年に向けて改革に取り組んでください。
2.Nanzan International Certificateの発展・強化
国際科目群から24単位以上修得すると、本学で国際力を獲得した証としてNanzan International Certificate(以下NIC)が発行されます。しかしながら、社会的認知が低く、学生からの発行要求も少ない状況です。これを改善すべく、2022年度には英語以外の言語(スペイン語、フランス語、ドイツ語)で行われる科目も国際科目群に加えられました。さらに学生にとってNICがより魅力的になるために、在学生、卒業生、企業の人事担当者にもヒアリングを行い、広い視野からこの制度を検討しなければなりません。学内的には、各学部のカリキュラムにおける国際科目群の位置づけや各科目の内容・構成について、十分な議論がなされていません。全学的な観点から、これらの問題を整理、整備してください。
3.オープンアクセス化の推進
本学は2020年度に「南山大学オープンアクセス方針」を策定し、2021年度には「南山大学オープンアクセス実施要領」を定めました。この方針に従って、2020年9月25日以降に発表された刊行物は原則的にオープン化することになりました。研究成果に対する学内外からの自由な閲覧を保証することにより、学術研究のさらなる発展に寄与するとともに、情報公開の推進、社会に対する説明責任と研究成果の社会への有効かつ積極的な還元を果たすため、過去の学内の研究成果についても幅広くオープン化できるように取り組んでください。
4.教育手法に関する点検・評価
オンライン授業を可能とする様々なツールの多様化はコロナ禍がもたらした変化の一つと言えます。感染症の流行が収束したとき、こうしたツールをどのように活用していくのか、具体的に検討を始めてください。
また、主体的な学びを深めるため、2019年度より、学生セミナー室の利用が開始されましたが、コロナ禍により十分に活用されていません。ここで改めてセミナー室の利用方法について議論し、その目的をより明確にしてください。
昨年度からの最も大きな変化である100分授業についても、各組織において点検・評価を試みてください。
5.外部研究資金の獲得に向けた継続的な取り組み
科研費をはじめとする外部研究資金は、充実した研究を遂行するために必要不可欠な基盤です。今年度も引き続き各種外部研究資金に積極的に応募し、研究費の獲得を目指してください。そして、意識的に研究成果を社会に還元するよう努めてください。
6.三つの研究所と大学院各研究科のコラボレーション
本学には、学部や大学院組織とは別に、独立した三つの研究所(宗教文化研究所・人類学研究所・社会倫理研究所)があります。各研究所は、それぞれのミッションに従って研究活動を行い、今日まで多くの成果を上げています。
しかしながら、こうした独自性ゆえに、学部や大学院各研究科とそれほど強い連携をとっているわけではありません。本学の資源をより有効に活用するために、これら3研究所と研究科の協力体制が幅広く模索されても良いでしょう。大学院にとっても、研究所の諸成果を自らの教育・研究活動の中に取り組むことで、各研究科のさらなる発展につながると思われます。3研究所と各研究科の研究活動の連携を実現させる枠組み作りについて検討してください。
7.ハラスメント問題対策委員会の新体制への移行
2020年6月より、職場におけるハラスメント防止対策の強化が法令上定められることになりました。また、相談内容も年々複雑化する傾向にあります。こうした状況に対応するため、2022年度より南山学園全体のハラスメント相談体制を構築することになりました。新体制にスムーズに移行し、着実に業務が遂行できるように取り組んでください。
Ⅵ.入試・広報
1.入学試験・入試広報
コロナ禍の中、感染防止策を講じ、2022年度入試の全日程を無事に終了できました。2022年度の一般入試、全学統一入試(個別学力試験型・共通テスト併用型)における志願者数は昨年度の17,362名に比べて1,153名増の18,515名でした。また、共通テスト利用入試(前期3教科型・5教科型・後期)をあわせた主要3入試の合計では、昨年度の21,891名に比べて1,553名増の23,444名でした。
昨年度は、対面とオンラインのハイブリッド方式でオープンキャンパスを開催し、各学部の紹介動画の作成やweb広告の活用、大学展・進学相談会への参加等、感染拡大の影響を受けながらも広報活動を実施してきました。こうした取り組みもあって、2022年度入試の志願者数もコロナ禍以前(2020年度入試)の水準近くにまで回復しました。
とはいえ、今後もより多くの受験生に本学を志望してもらうためには、継続的な努力が必要となってきます。これまでと同様、各学部・学科が魅力的なプログラムを提供すると同時に、入試制度の見直しも検討してください。昨年度末には「入試制度検討ワーキンググループ」の最終報告書において、長期留学経験者や高大連携協定校を対象とした推薦入試の多様化が提案されました。くわえて、海外指定校の拡大等、海外からの志願者の受け入れを推進することも重要です。
入試に関する広報については、どのような媒体で何を伝えることが効果的なのかを受験生の目線で検討してください。
南山大学がより魅力的な大学に発展を遂げていくためには、学部のみならず、大学院における研究・教育の充実化が欠かせません。法学部や総合政策学部にならって、学部の早期卒業生を研究科に受け入れる制度を検討してください。また、2022年度より大学院博士後期課程奨学支援制度が開始されます。この制度は、より多くの優秀な大学院生に修学の機会を提供すべく設置されたものです。幅広い周知に努め、積極的な活用を促してください。
2.大学戦略広報
広報活動は、より多くの方々に本学を知ってもらう機会を提供します。とりわけ、教職員の研究成果や教育活動の発信、在学生や卒業生の活躍は、大学の社会的評価の獲得に大きく影響します。本学構成員のそれぞれが、大学広報の一端を担っていることをいま一度自覚するとともに、関係課室はより一層連携して、戦略的な大学広報活動に取り組んでください。とりわけ、南山大学創立100周年に向けて、本学の魅力をさらに高めていく必要があります。昨年度、第1回目を迎えた南山大学「人間の尊厳賞」授賞は、本学の理念を世界に向けて発信するにあたって重要な意義を持つでしょう。南山大学の特色である国際性と「人間の尊厳のために」という教育モットーに基づいて、大学のブランディング強化に努めてください。
3.国際戦略広報
大学のブランディング強化は国内にとどまりません。世界の優秀な留学生にも選ばれる大学になるために、本学の国際性を活かした国際戦略広報の展開に努めてください。そのために関係課室が協力する体制を強化するとともに、学部・大学院は相互に連携して留学生向けの広報活動を強化してください。留学生同窓会や海外事務所等を活用した現地高校訪問やSNS等を積極的に活用して、本学の国際性を発信するよう努めてください。
Ⅶ.キャリア支援
コロナ禍は就職活動にも変化をもたらしました。その最たる例がオンライン面接の導入です。今年度は対面式の面接に戻す企業も出てきていますが、学生はまだオンラインと対面のどちらにも対応しないといけない状況にあります。学生の内定率は回復傾向にあるとはいえ、コロナ禍により採用を停止した企業も増えており、予断を許しません。キャリア支援課においては、より一層の学生指導やサポートに努めてください。また、より多くの留学生に本学を希望してもらうためにも、充実したキャリア支援が不可欠です。
近年、就職活動と結びついたインターンシップとは区別するエクスターンシップが注目を集めています。エクスターンシップは、インターンシップと比べて職業体験により重きを置いた大学生の学びのための活動のことです。ちなみに、本学では法務研究科がエクスターンシップを取り入れており、そこでは単位付与が行われています。学生の選択肢の幅を広げるために、様々な形のエクスターンシップを行えるよう、受け入れ先企業と議論を始めてください。
Ⅷ.社会貢献と各種連携の強化
地域や社会の発展に貢献することは、基本方針でも掲げた「地球規模の関心、私たちの貢献」に資する重要なステップです。昨年度は創立75周年を記念するにあたって南山大学「人間の尊厳賞」を創設し、「人間の尊厳のために」という理念の実現に多大な貢献をされてきた方を表彰しました。本賞の授賞を通じて、大学の理念に立ち返りながら、社会において大学としての使命を果たしていきましょう。
また、南山大学は2022年4月からの4カ年、「ジブリパーク」のオフィシャルパートナーとなります。地球規模の課題の解決の方向性と人類の生き方の発信を目的として開催された愛・地球博の精神が受け継がれたこの場所は、本学の教育モットーである「人間の尊厳のために」を体現する「自然のキャンパス」となるでしょう。この空間を通して、本学の学生・教職員のみならず、社会、さらに広くは世界中の人々に学びの機会を提供するための仕組みを構築するために構成員が協力し、具体的にプログラムを展開してください。
本学は、南山チャレンジプロジェクトにおける産学連携企画として、同窓生が社長を務める家田製菓株式会社と2020年度から「ポン菓子」の開発・販売に取り組んできました。昨年度も直接現地に行くことはできませんでしたが、企業とともに工夫を凝らして、最終的に売上の一部を、エチオピアへ寄贈するポン菓子の機械の購入費用や輸送費用に充当することにしました。
大学間連携では、昨年度、本学は愛知教育大学と教員養成の高度化に関する連携協定を締結しました。愛知教育大学大学院において教育実践力を備えた高度専門職業人としての教員養成課程への連携協定特別選抜が設けられ、教員を志す学生たちへの朗報となりました。くわえて、アジア・キリスト教大学協会(ACUCA)、東南・東アジアカトリック大学連盟(ASEACCU)、国際カトリック大学連盟(IFCU)等を通じて、引き続き世界のキリスト教系大学との連携を深めてください。
最後に、環境問題についても共に考えていきましょう。南山学園は2008年度に「南山学園環境宣言」を発表し、早くから環境問題に関心を寄せてきました。その一環として南山大学は、昨年度創設された「カーボン・ニュートラル達成に貢献する大学等コアリション」に参加すると同時に、具体的な計画を策定しているところです。本学の研究・教育活動を通じて、環境問題の改善に関するアイデアを出し合い、議論を重ね、より良い未来を創造できるよう努めてください。