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南山大学を代表する伝統行事
課外活動団体「野外宗教劇」学生インタビュー

課外活動団体「野外宗教劇」
学生インタビュー

南山大学を代表する伝統行事・野外宗教劇「受難」。寒空のもと、野外で演じられるイエス・キリストの復活までを描くこの宗教劇は、多くの卒業生の思い出にも残っています。しかし、コロナ禍を経て、部員数が減少したことで、近年は従来のような野外での単独公演が難しく、2024年度は休演を余儀なくされました。

そんな状況下で、2025年度にロゴスセンターでの宗教劇上演を実現した現役の「野外宗教劇」の学生たちに、あれこれ聞いてみました。皆さん本当に楽しんで活動している様子がひしひしと伝わってきました。

取材日:2026年5月27日

(左から)平野 万佑香さん、岩佐 幸太郎さん

「野外宗教劇」は長く続く南山大学を代表する伝統行事だと思いますが、いつから続くどのようなものなのでしょうか?

岩佐

今年で59回目になります。公演できなかった年を含め、60年ほどの歴史があります。元々はドイツ発祥の宗教劇を、南山でもやってみようよ、ということで当時の学生の間から始まったものが「受難」だと聞いています。

平野

当初のパンフレットが残っているので、見てみると、最初の頃はギリシャ神話のようなものを上演していたみたいです。そこから徐々に宗教劇に変わって、イエスの受難物語を演じるようになっています。

第8回公演の練習風景(1970年5月)。十字架に架けられたイエスの場面
(写真:学校法人南山学園 南山アーカイブズ所蔵)

毎回演目が違う、と聞きますが、60年間、毎年違うものを上演しているのですか?

平野

おととしは公演ができなかったので、昨年はおととしの脚本を使って演じましたが、本来であれば、毎年脚本が違います。イエスの復活までが描かれる聖書の同じ場面ですが、前年のものを参考にしながら、毎年オリジナルな解釈を加えて脚本を書いています。

昔の脚本を見ると、天使と悪魔がでてきたり、登場人物もけっこう違ったりしているようです。

パッヘスクエアでの第11回公演(1977年10月22日)。ピラト官廷で裁判を受けるイエス
(写真:学校法人南山学園 南山アーカイブズ所蔵)

脚本を書く時は、昔のものもかなり読み込んでいるのですか?

平野

今ちょうど、今年の脚本を書いているところですが、私は一応昔の脚本も読んだりします。でもほかのみんなは手元にないので、聖書を読みながら書くことが多い気がします。

聖書を読みながら…!

岩佐

新約聖書を読みながらですね。私はノンクリスチャンで、南山大学に入学してから、聖書を読みだしたくらいの人間なのですが…。先輩方には、「聖書が好き!」という方が何人かいらして、脚本も苦しんで書く、というよりは、楽しんで書いているような印象をもっています。

平野

いや、私もけっこう苦しんでいるよ?!(笑)

苦しんで書く、とはどのようなイメージでしょうか?

岩佐

聖書と言っても、まず、聖書の4つの福音書の中からどのセリフを取るか…。あまり長く書きすぎると、劇としてダラダラして観客の方が飽きてしまいそうだし、かと言って、キリスト教のきちんとした解釈も気にしないといけないので、下手にセリフを削れないなとか…。そのあたりは顧問のヘラ先生や先輩方に意見を聞いたりしています。

平野

私は人物像を一貫させることを意識しています。福音書ごとにイエスの印象って違うんですよね。だから、「私はこういうイエスにしたいんだ!」と思いながら書いています。

脚本を書く人によって、劇のカラーが変わってくるのですね!

岩佐

そうですね、書き方もけっこう自由ですね。

平野

顧問のヘラ先生にも完成した脚本を見てもらうのですが、宗教的な指摘というより、「ここのセリフ、ない方がお洒落じゃないですか」と、お洒落かを問われることの方が多いです(笑)

お洒落…!(笑)
でも、分厚い聖書を1時間の劇にまとめるのって、すごく難しそうな感じがします…

岩佐

案外そうでもなくて!受難のシーンってそんなに長くないんです。

平野

聖書自体は分厚いのですが、イエスの死の場面に近い部分だけを受難劇として演じるので、実際に書かれていることはあまりないんです。

どちらかと言うと、物語を膨らましている、ということでしょうか?

岩佐

そうです。聖書には短く起こったことだけが書いてあるんですよ。誰が何を言った、そんなことばかり書いてあるので、どうしてユダはイエスを裏切ったのか?など、そこに解釈の余地があるんです。

年によってかなり解釈の自由度がありそうですね。そのなかで難しいな、と感じるところはありますか?

岩佐

去年は、聖書に出てくる人物像に対する解釈が、先輩方のなかで若干違っていて。台本を書いている時に、「ここはちょっと違うんじゃない?」といったやりとりがあったことを覚えています。長いセリフの時にどこで息をつくのか、抑揚をどのようにつけるか、そこは一番練習をしました。聖書に書かれてはいない、演劇だからこそ表現できるところ。そこが難しいけど、受難劇の醍醐味ではありますね。

平野

私が去年演じたユダは、メインのキャラクターだったこともあり、セリフが多いことに加えて、聖書にはユダがどう思ったか、などは1つも書かれていないのです。なので、ユダはどういう気持ちでこのセリフを言うのかな?といつも考えていました。

演出も担当していたので、全体を俯瞰しながら、ここのセリフは変えた方が良いのかな、とみんなと話しながら本番に臨みました。

2025年公演時

そんな苦労を乗り越えた本番の日はどうでしたか?

岩佐

本番はやっぱりみんなスイッチが入っていて、熱量がすごかったです。舞台裏にいても圧倒されるくらいの迫力を感じました。本番が一番良かったと思いますし、なにより、楽しかったですね!

平野

そうですね。人数が少ないこともあり、部員同士とっても仲が良く、みんなで苦労を乗り越えた、という感じでした。

お客さんの反応はどうでしたか?

岩佐

皆さん「良かった」「素晴らしい劇だった」と言ってくれました。公演中は、音響のトラブルがあったり、けっこうバタバタしていて、客席の反応までは分かりませんでした。カーテンコールの後に、お客さんの反応を聞いて、本当にやり切ったという達成感でいっぱいでした。

平野

OBOGの先輩方はじめ、学生課の方もたくさん来てくださって。

岩佐

本当に皆さんに満足いただける劇ができたのが良かったです。

では、初心に戻って、お2人が「野外宗教劇」に入った理由を教えてもらえますか?

平野

私は中高が南山で、学校の靴置き場に、毎年「受難」のポスターが貼ってあったのがきっかけです。観に行ったことはなかったのですが、ずっと気になっていました。

岩佐

私は高3の夏休みに、劇団四季の『ジーザス・クライスト=スーパースター』を観劇したのがきっかけです。大学入学後は演劇部に入ることも考えたのですが、南山大学にはこんなぴったりの部活があるんだと知り、聖書の知識も全くなく、「野外宗教劇」への入部を決めました。

“劇団四季ミュージカルの原点”と言われる、イエス・キリスト(ジーザス・クライスト)が十字架にかけられるまでの最後の7日間を描いたミュージカル。

実際入部してみてどうですか?「野外宗教劇」ってなんか難しい?「宗教」ってなに?なんて言われませんか?

岩佐

私は入りたい一心で入部してしまったので、あまり深く考えていなかったのですが…

最初は、クリスチャンがいるのかな?と思っていました。でも当時はクリスチャンの部員は誰もいなくて、顧問のヘラ先生だけが神父様でした。本当にアットホームで喋りやすい、仲の良い先輩方がいる部活でした。ヘラ先生もすごく親切で、思った以上に溶け込みやすい環境でした。

平野

「野外宗教劇」という名前に、とっつきにくさを感じてしまうのかもしれないよね。

でも、「野外宗教劇」はカトリック大学である南山らしい部活動ですよね。

岩佐

そうなんです!宗教劇をやる部活は、日本で南山にしかないはずです。南山に入らないと味わえないような経験です。

平野

60年の歴史があって、別に宗教色がそんなに強いわけでもないし、堅苦しいものでもないんです。なかなか伝わらないんですけどね…

聖書に詳しくなくても、未経験でも、他の部活との兼部でも、大丈夫ですか?

平野

大丈夫です!みんな未経験ですね。

岩佐

演劇が好き、という子はいますが、みんな宗教劇には触れたことはないのかな。

私はアルバイトもしているし、南山大学聖書研究会という有志団体にも所属しています。先輩方はけっこう融通を利かせてくれるし、他の部活をバリバリやっている方もいます。

平野

みんなの予定を聞いて、空いている時間で活動時間を決めたり、少ない人数だからこそ、ゆるくやっています。

とは言え、もう少し人数が増えると嬉しいですよね?

平野

そうです!ステージ上で忙しいんですよ(笑)去年は、私がユダ役で、岩佐くんがイエス役だったのですが、この2人以外はみんな、兼役で。

岩佐

役を兼ねてる上に、さらに音響や、照明、さらに他の部員の衣装替えの手伝いもあって…幕の中に入ったら、すぐに着替えて、またすぐステージに出て…!と。

平野

去年は、全部員7人で、1人だけが裏方に徹し、残り6人はみんなステージに立ちました。

皆さんも、もう少しいろんな役ができると嬉しいですよね。

岩佐

特にイエスはそうですね。男子部員が今2人しかいないので、もうちょっと入ってくれるといいな。

特に、背の高い、イエス向きの部員を募集中ですね(笑)

岩佐

イエスってやっぱり難しいんですよね。セリフも多いし、神であり、人であり、本当に難しい設定です。喋り方もすごく苦労しました。僕の場合は、劇団四季で観たものを元に、自分なりに落とし込んでいきました。入部希望者がいれば自分と同じ役をやる方には惜しみなく教えていくつもりです。

公演ができなかった年の話も教えてもらえますか?当時はどのような経緯があったのでしょうか。

平野

公演ができなかったおととしは、練習時間が圧倒的に足りなくて、自分たちの満足できるレベルまでいけませんでした。このままでは間に合わないということで、11月の公演はやめさせてもらい、12月の降誕祭へ後ろ倒ししました。台本はできていたので、来年は絶対にこの台本を舞台にするぞ、と決めました。

岩佐

そんな経緯があったなんて、今、初めて聞きました(笑)

でも練習時のオーラからその熱意は伝わってきていました。自分が演じるイエス役が、ユダ役に迫力で負けてはいけないと、私も思いっきり感情を出していこうと思っていました。

では改めて、「野外宗教劇」の魅力を教えてください!

岩佐

やはり最も南山らしさを味わえる部活だということだと思います。カトリック大学ならではの伝統が一番の魅力です。それでいてアットホームです!

平野

部員同士仲がよくて、毎日誰かしらが部室でお昼ご飯を一緒に食べたり、テスト前には一緒に勉強したり。そんな仲の良いみんなと協力して一つのものを作り上げるのは、すごく大きな達成感を味わえます。

今でも部員募集中とのことですが、最後に、一言アピールをお願いします!

平野

今年も楽しく、ゆるく、でもしっかり目標に向かって頑張っていくので、興味をもってくれた方はぜひ一緒に活動しましょう!

岩佐

南山でしかできない活動がここにはあります。本当に温かく迎え入れますので、少しでも興味がある方は、ぜひここの扉を叩いてみてください!

2026年度公演予定(仮)

公演日 10/31(土)
公演場所 ロゴスホール

最新情報はこちらからInstagram:@nanzan_passionplayclub