南山の先生

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研究所・宗教文化研究所

守屋 友江

職名 教授
専攻分野 宗教思想史、近代仏教史
主要著書・論文 「アメリカ禅の成立」『国際禅研究』8、2022年(単著)
“D.T. Suzuki at the World Congress of Faiths,” Journal of Religion in Japan 10(2-3), 2021: 135-160.(単著)
Selected Works of D.T. Suzuki, Vol. 3 Comparative Religion. Oakland: University of California Press, 2016.(共著)
将来的研究分野 仏教経典翻訳の国際的な共同研究、宗教関連資料のデジタルアーカイブ構築
担当の授業科目 宗教学研究 、宗教史、研究指導、 宗教思想特殊研究(宗教学)

自分の「宗教」イメージを疑ってみる

 「宗教」と聞いて、あなたはどんなイメージを抱きますか?良いイメージ、悪いイメージなどあると思います。「宗教」に当てはまるのは、キリスト教や仏教、イスラーム、天理教などが考えられるかもしれません。これらは、教祖、教団組織、聖典をもち、聖職者と信者のメンバーシップをもっています。それぞれ独自の教義があって、あなたのおうちの宗教である場合もあるでしょう。あるいは、自分は「無宗教」だからよくわからない、という人もいるかもしれません。
 では、七五三やお盆、初詣やお墓参りは「宗教」に含まれると思いますか?夏の暑い時期に、渋滞が起こるにもかかわらず、なぜ一斉に田舎へ帰省したり、寒い冬の夜中に何十万もの人が各地の神社へ足を運ぶのでしょう?
 大学での学びにおいては、どれが正解なのかで終わるのではなく、「なぜ自分はそう思ったのだろう?」という疑問をもち、それを深く追求することを重視します。大学とは、私たちが「当たり前」と思っている事柄への疑問から出発して、自分がこれまでに抱いてきたイメージを客観的に、突きはなして捉える視点を学ぶ場だからです。それによって、自分の視野をより広げ、深い考察をすることができるようになります。ここで私があげた問いへの答えは、大学の授業で明らかにしてもらえればと思います。
 例えば、日本では約7割の人が自分を「無宗教」だと思っているという調査があります。しかし、海外ではそうではない国が多数あります。ですので、皆さんが海外旅行や留学に行くと、そのギャップを痛切に感じることがあるはずです。あるいは、国内にいても、名古屋は日本在住の外国人の多さでトップクラスの都市ですから、皆さんの身の回りで教会やモスク、寺院などに集い、熱心に祈りを捧げる人たちの姿を目にすることがあるでしょう。
 このように宗教的な多様性が自分の身の回りにたくさんあることは、自分が「当たり前」と思うイメージだけで満足していると、なかなか気づくことはありません。しかし、現実に私たちはさまざまな宗教的背景を持つ人たちとともに暮らしていますから、多文化共生を実践する上で、どんなことが必要なのかを考えることは、大事なことです。それを学ぶのも、大学の授業で皆さんが身につける重要な知識の一つです。グローバル化が進む現代社会にあって、自分の「宗教」イメージを今一度問い直しつつ、様々な宗教的背景を持つ人たちと対等に交流する――そういうことに関心のある方と、大学でお会いできるのを楽しみにしています。