南山の先生

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理工学部・ソフトウェア工学科

杉原 桂太

職名 講師
専攻分野 科学技術社会論
主要著書・論文 杉原桂太 2004:「技術者倫理を捉えなおす―公衆の安全・健康・福利のために何をすべきか―」 『社会と倫理』 17(南山大学社会倫理研究所)、153-170。
杉原桂太 2016:「アクターネットワーク理論による構築的テクノロジー・アセスメントの自動走行車への適用に向けて」 『技術倫理研究』 13、37-57。
将来的研究分野 科学論
担当の授業科目 情報倫理、科学の諸相5

技術者の社会的な役割について考えて欲しいこと

私が担当する共通教育科目「科学の諸相5」では、科学技術と社会の関係を考える科学技術社会論を解説します。科学技術社会論とはどのような分野でしょうか。現在の社会では科学と技術の発展が進み、私たちは科学にも技術にも依存して生活しています。科学と技術は私たちの健康にもリスクにも関わっています。ここでは、科学技術と社会の間で問題も起きており、その解決が必要です。例えば、これらの問題には公害や環境問題、薬害の問題があります。科学技術社会論はこうした領域を扱います。科学技術社会論は科学と技術、社会の間で起こる問題について考えています。

科学技術社会論は、1970年代に技術災害や環境問題を通して、科学・技術は社会に対して正の影響だけではなく負の影響を持つことが社会で認識された時期に始まりました。この時期に、米国では、技術者による技術者倫理が始まっています。技術者倫理とは技術者の専門職倫理です。専門職とは、次のような特徴を備えた職業を指します。

1.高度な専門知識を持つ
2.特権・権威を持つ
3.倫理綱領を持つ

これらの特徴の内で3.の倫理綱領は、専門職であろうとする職業の専門職業団体が定めて社会に対して公表しているもので、各専門職が仕事を進める上で遵守すべき事項が書かれています。技術者倫理の特徴は技術者が仕事を進める上で責任を持っている対象として、自らが所属する企業や顧客への責任に加え、公衆への責任を含めている点です。公衆とは、技術者が生み出す製品の使用者やユーザーを指します。技術者の倫理綱領では、技術者は公衆の安全と健康、福利を最優先することが謳われています。既に述べた1970年代の技術災害や環境問題を通して、米国の技術者は公衆優先原則を倫理綱領に取り入れました。日本では、1990年代に、国内での技術災害と技術者教育の国際化を通じて技術者倫理が注目されています。

こうした背景において、現代の技術者には、環境や公衆を守るという役割が期待されていることを学んで欲しいと思います。