南山の先生

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理工学部・機械システム工学科

坂本 登

職名 教授
専攻分野 制御工学
主要著書・論文 1. N. Sakamoto, A. J. van der Schaft; Analytical approximation methods for the stabilizing solution of the Hamilton-Jacobi equation, IEEE Transaction on Automatic Control, Vol. 53, No. 10, pp. 2335-2350 (2008)
2. T. Horibe and N. Sakamoto; Nonlinear Optimal Control for Swing Up and Stabilization of the Acrobot via Stable Manifold Approach: Theory and Experiment, IEEE Control Systems Technology, (2019) in press.
3. 新インターユニバーシティ システムと制御,オーム社,2008年(共著)
将来的研究分野 1.航空宇宙機の制御
2.ハイブリッド自動車や電気自動車の駆動系制御
3.動的システム理論と数値計算理論に基づく制御系設計理論
担当の授業科目 線形代数学,物理学概論

制御理論による基礎工学への貢献―航空宇宙から自動車まで

制御工学は応用数学の一分野としても,また,工学全般に有用な基盤的技術としても位置付けることが可能な,スペクトルの広い学問です.私は数学として制御理論を研究しますが,「使えること」を強く意識しながら,工学への意味ある応用を同時に行うことを目標としています.工学的応用分野としては,航空宇宙機(航空機やロケット,人工衛星)の制御に始まりメカトロニクスや自動車のパワートレーン周辺の制御への応用まで,幅広い産業と関わりをもっています.この中には,企業との共同研究という形で行っているものもあります. 以下では,各研究テーマについて詳しく解説します.

  1. 動的システム理論に基づく制御系設計理論:
    常微分方程式に始まり,微分幾何学や数値解析理論などの基礎・応用数学理論を用いて,これまで設計不可能であった非線形性を強く持つシステムに対する制御系の設計手法を開発します.将来的には,非線形偏微分法手式で表される物理システム(流体や梁の振動など)に対してもこれらの設計理論を拡張していくことを目標としています.
  2. 航空宇宙分野への応用:
    現代制御工学の歴史は,航空宇宙分野における必要性から始まったと言っても過言ではありません.アポロ計画ではカルマンフィルとよばれるアルゴリズムが成功の大きな要因の一つであったと言われていますし,最新の戦闘機は制御がなければ全く飛ぶことができないくらい不安定性の強い機体となっています.民間旅客機でも不安定に近くすれば燃費が上がるため自動制御の役割が高まっています.上述1の設計理論は,航空機や人工衛星の姿勢制御や宇宙探査の軌道設計などの応用があます.
    • 再使用型ロケットの制御

    • 乱気流の中を飛行する航空機の制御

  3. メカトロニクス制御
    製造現場で用いられるロボットやロボットマニュピレータ,さらに宇宙空間で用いられる宇宙ロボットなど,たくさんのメカニカルシステムが数学上は難解な非線形性をもっています.上述1の非線形制御設計理論はこれらのたくさんの実システムに応用可能であることがわかってきました.学術上,工学上面白いシステムのメカニカルシステムに対してこれまで不可能だった広さと精度をもった制御実験を行っています.
    • アクロボット(体操ロボット)

    • コントロールモーメントジャイロ

    • 柔軟倒立振子

  4. 自動車関連の制御
    自動車業界では,この20年間急速に自動制御の応用が進んでいます.私は,愛知県内企業との共同研究として自動車のパワートレーン制御やハイブリッド自動車のエネルギーマネジメント制御に取り組んでいます.

    自動変速機(アイシン・エイ・ダブリュ提供)