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理工学部・データサイエンス学科
蛭川 潤一
職名 | 教授 |
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専攻分野 | 時系列解析,数理統計学,金融工学,ウェーブレット解析 |
主要著書・論文 | 1. Asymptotic properties of mildly explosive processes with locally stationary disturbance”(査読付き論文), 共著(Lee, S.), 2021年, Metrika, 84, No.4, pp. 511–534 DOI 10.1007/s00184-020-00782-2 2. Statistical Portfolio Estimation, 共著(Taniguchi, M., Shiraishi, H, 他2名), 2017年, Chapman & Hall, 3. Optimal Statistical Inference in Financial Engineering, 共著(Taniguchi, M, Tamaki, T.), 2008年, Chapman & Hall, |
将来的研究分野 | 金融工学,生体科学等を含む様々な分野における時系列解析の手法の応用 |
担当の授業科目 | 統計学概論1, 統計学概論2, 多変量解析, 数理統計学概論 |
非定常時系列の漸近推測理論と金融データへの応用
~ 緩やか、或いは、急激に、構造変化する時系列 ~
時と共に変動する偶然量の系列を時系列という.数学的にはこの系列を1つの確率過程(確率変数の族)の実現列とみなす.通常の数理統計学の手法は,主に独立標本に基づく理論を応用する.一方で,時系列解析は,標本が,過去,現在,未来と互いに従属しながら観測される,より複雑な状況での統計理論である.
時系列解析の理論と応用は,定常性の条件の下で広く発展してきた.しかしながら,比較的長期間に渡って観測されるデータが定常性を保ち続けるという仮定は現実的ではなく,何らかの非定常性を含んでいるとみなす方が自然である.当研究室では,時間と共に相関構造が滑らかに変化していく様な現象(局所定常性)や過去の観測の影響が長期に渡って残り続ける現象(単位根周辺過程による長期記憶性)等の非定常な振る舞いをモデル化し,統計的推測理論と実データへの応用を導くことを研究対象とする.具体例としては,以下のようなものが挙げられる.
・時変スペクトル密度関数の積分汎関数測度に基づく判別手法を用いた日本の株式市場の主要株式銘柄13社のクラスタリング(図1)
・局所定常イノベーションを持つ緩やかに爆発する過程についてのCUSUM検定統計量を用いた日本のビットコイン価格におけるバブル期の始まりと終焉の時期の識別(図2)
アピールポイント:
近年,時系列解析の手法は,金融工学,生体科学等を含む様々な分野において応用されてきている.その中でも,非定常時系列モデルを用いた方法は最先端の研究対象である.
実際に,長時間に渡って観測されるデータ,とりわけ,非定常な振る舞いを示すようなデータの分析を必要とするような分野,等との研究協力が想定される.

