南山の先生

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理工学部・データサイエンス学科

三浦 英俊

職名 教授
専攻分野 都市のオペレーションズ・リサーチ
主要著書・論文 「ロジットモデルを用いたリニア中央新幹線の需要予測」,オペレーションズ・リサーチ,54(7),419-428,2009(単著)
将来的研究分野 持続可能な社会システムの研究
担当の授業科目 シミュレーション,線形代数学I,知識・言語と情報社会(文化と情報) 他.

シミュレーション

データサイエンスと呼ばれる学問分野にはさまざまなものが含まれていますが,学科では「オペレーションズ・リサーチ」,「統計学」,「機械学習」を中心に勉強します.シミュレーションは「オペレーションズ・リサーチ」の技術の一つと位置付けられています.シミュレーションとは「不確実な状況を模擬的に多数回再現し,その結果を記録することにより問題解決策を見つけること」であり,コンピュータを用いて乱数を発生させて,不確実な事象を表現します.私は「シミュレーション」というまさにその名前の授業を担当しています.社会的あるいは物理的現象をコンピュータ上で再現する方法を扱うわけですが,シミュレーションの基礎は数学から成り立っています.

数学は,哲学のひとつとしてその美しさを学ぶもよし,あるいは計算問題を解く技術を習得する面白さを楽しむもよし,さまざまな勉強の仕方があるわけですが,この授業では,数学はコンピュータのために現象を表現する手段でもあることを学びます.

数学を使って,「数理モデル」と呼ばれる仮想的なシステムを表現します.数理モデルは,数式で書くこともできますし,図を使っても表せます.例えば店舗のレジは,待ち行列モデル,と呼ばれる数理モデルで表現します.レジへ来る人,行列に並ぶ人,レジで会計をしてもらっている人,終わって店を出ていく人などを表し,全体の人数や人々の待ち時間を計算します.さらに,待ち行列モデルをシミュレーションします.レジの台数を増やすと待ち時間はどのくらい減るのか,レジを担当する従業員の作業スピードの向上はどのくらい全体に貢献するのかを見積もって改善案を見つけます.シミュレーションとはこのように数学とコンピュータを融合して使いながらシステムを最適化する技術です.

もちろん簡単な問題であればコンピュータに任せることなく紙と鉛筆で数式を操って答えを求めればよろしい.しかし答えを見つけるのに何万年もかかることがはじめから分かっている問題や,計算ができないことが分かっている式もあります.シミュレーションは,これら紙と鉛筆では手に余る問題をコンピュータに代わりにやってもらう技術です.数学という言語を通じてコンピュータと対話しつつ問題の答えを得る.授業では基礎的なことを扱うにすぎませんが,学生諸君には,さらに大規模で難しい問題に挑戦してほしいと願っています.