南山の先生

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理工学部・電子情報工学科

奥村 康行

職名 教授
専攻分野 通信工学
主要著書・論文 (1) 「Use of Volterra Filters in OCDMA-based PON to Estimate Beat Noise」 J. Image Information and Television Engineers, Vol. 65, No. 11, 2011.
(2) 「Traffic Control Algorithm Offering Multi-Class Fairness in PON Based Access Networks」 IEICE Trans Commun, Vol. E93-B, No. 3, March 2010.
将来的研究分野 マルチメディアの高速転送アルゴリズム、ネットワークの高信頼化
担当の授業科目 マルチメディア情報通信、通信理論

いま「通信」がダイナミックに動いている

通信技術の発明と発展
人類の歴史のなかで、遠く離れたところと情報のやりとりは古くから行われ、それが人類に利便性をもたらしてきました。たとえば、太鼓、鐘やラッパの音、狼煙や花火が原始的な通信手段として発明され、近年から現代では電信、電話、インターネット、携帯電話が開発され発展してきました。私たちの生活では、このような通信手段は欠かせないものとなり、通信無しに社会生活を考えることができない状況です。通信技術は21世紀の科学技術を推進するためのキーテクノロジーであり、今後の携帯電話、情報機器、インターネット、ゲーム、ホームオートメーション、ロボット、超高性能コンピュータ、およびそれらを使用する全産業分野の発展の基礎ともなっています。

インターネットの衝撃
現代の通信技術として、1837年に電信が、1876年に電話が発明され、電気工学や通信工学の発展に支えられて世界的な発展を遂げてきました。とくに電話は各家庭に普及するまでには数十年という長い時間を要しましたが、いまでは世界中どこでも使えるもっとも手軽な通信手段となり、そのネットワークは世界規模で巨大化しました。この、電話サービスが成熟しつつあった中で、米国の研究者によりインターネット技術が開発され、WWWや電子メールを起爆剤として、インターネットが一部の研究者だけでなく人類全体の共有する通信手段に発展したのはご存知のことと思います。私は、ちょうどこの頃に通信会社で技術開発に携わってきましたが、インターネットの発明によりいくつかの意味で衝撃を覚えました。そのひとつは、音声だけでなく文字、図面、写真さらに動画像といったマルチメディアを簡単にやりとりできるようになったことです。この技術によって、私たちの生活はさらに豊かで活力あるものになったと思います。

研究の取り組み
インターネットに代表されるマルチメディア通信はまだまだ発展の途中にあります。日本国内で電話ユーザーは6,000万加入に達していますが、ADSL やFTTHのようなブロードバンドは1,000万加入を少し越えた程度です。今後の発展に向けて、ユーザの拡大とともにネットワークの混雑や接続品質の低下が課題になり、この解決のために光ファイバを用いた高速ネットワークを想定し、そのうえで高速転送アルゴリズム、ネットワークの高信頼化などに取り組んでいます。

通信工学を学ぶみなさんへ
情報ネットワークには、(a)家庭内の小規模なホームネットワーク、(b)学校や会社の中のLAN、そして(c)地球規模で運営されているインターネットや電話網があります。とくに、(c)のようなネットワークでは、技術だけでなく、ひとりひとりのユーザーの要望、ネットワークを提供し運営管理する事業者の動向、さらに事業者の事業活動を監督する政府の政策方針などが複雑に絡み合って現実を形作っています。現代は、技術が技術だけの論理で発展する牧歌的な時代ではなくなっています。いいかえると、現実の情報ネットワークは、ネットワーク事業者や各国政府の思惑や利害がぶつかり合う場であり、情報ネットワークを発展させるためには、社会の中でのそれぞれのプレーヤーの動きを理解し、これから必要な技術を構想しなければなりません。これまで、ネットワーク事業に直結する情報ネットワークシステムの商用化開発を手がけてきましたが、その中で、他事業者との競争や政府からの監督を受けた経験に基づき、このようなネットワーク事業者の動き、政府の通信ならびに放送に関する政策の動向を講義や卒業研究の中でお伝えし、通信工学を学ぶみなさんにはグローバルな視野を持ち、世界を舞台として活躍できる人材として社会で活躍してほしいと願っています。