南山の先生

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理工学部・システム数理学科

鈴木 敦夫

職名 教授
専攻分野 オペレーションズ・リサーチ
主要著書・論文 The minimum equitable radius location problem with continuous demand
Atsuo Suzuki and Zvi Drezner, European Journal of Operational Research, Vol. 195, No.1, pp.17-30, 2009.
将来的研究分野 オペレーションズ・リサーチの手法を用いた問題解決方法の研究
担当の授業科目 オペレーションズ・リサーチ概論

手術室の最適スケジューリング問題について

オペレーションズ・リサーチ概論では、オペレーションズ・リサーチ(略してORと呼びます)という学問分野の入門科目として、その起源から、現在の社会での応用までを2年生の学生を対象に解説します。この講義で学生の皆さんにORに興味を持ってもらうようにしています。そのために、講義では理論的な話だけでなく、ORが企業などでどのように利用され、役立っているかについても、私が手がけているプロジェクトの成果を中心に、たくさんの例を紹介しています。また、簡単な問題について、理工学部で配布されているノートPCを利用して、解決方法を求める演習も行なっています。紹介しているプロジェクトは、例えば、小売店での従業員のシフト作成の自動化、大学の入試業務の改善、大学のスクールバスのコスト削減、中学校・高等学校の時間割の自動作成、航空会社のパイロットの乗務日程の自動作成、人間ドックの検診順序の最適化、小売店の在庫管理の改善、チラシ広告に掲載する商品の最適選定、商品の最適配送問題、商品棚の最適配置、小売店の新規出店時の売上予測、大学病院の手術室の当直医・看護師のシフト自動作成などです。いずれのプロジェクトも、この講義でORに興味を持ち、私の研究室に3年次から進学してきてくれた学生やさらにORの研究を希望して進学した大学院生の諸君と一緒に取り組んだプロジェクトです。受講している2年生の学生諸君にとっては、自分の先輩が取り組んだプロジェクトということで身近に感じているようです。

それらのプロジェクトの中で、最近、ある大学病院の麻酔科の先生と共同で開発している手術室の当直の麻酔医や看護師の勤務シフトの決定、また手術そのものをどの手術室に割当てるかという問題に取り組んでいる例を紹介しましょう。通常、病院では、当直医や看護師の勤務シフトは担当の麻酔医や看護師長が手作業で作成しています。この作業は、非常に時間がかかる作業で、例えば、当直医の1ヶ月のシフトを作成するのに丸1日以上かかることもあります。看護師の勤務シフトや手術室の割当も同様に手作業による長時間の作業によって作成しています。この現状を改善するために、私の研究室では、その病院で手術室を管理運営している麻酔科の主任教授と共同で、ORの手法を用いて、いずれの作業も数十分で完了できるようなシステムを試作しました。このシステムは現在、実用化に向けて、病院で試験的に利用してもらおうとしています。このシステムが実用になれば、麻酔医の先生方や看護師たちは、シフト作成という手間と時間のかかる作業から解放され、本来の業務である手術室での麻酔や患者の看護により多くの時間を割くことができるようになります。 現在、日本には8000を越える病院があります。これらのほとんどすべての病院の手術室で、ここで紹介した問題があるはずです。われわれが開発したシステムが普及すれば、医療の質向上に多少なりとも貢献出来ると私は考えています。

このようにORは実社会の問題を解決するのに威力を発揮します。ORの発祥の地であるイギリスやアメリカ合衆国では、ORは企業の経営改善など様々な場面で応用されています。また最近では中国でもORを用いて大きな成果をあげる企業が出てきました。これらの成果は国際学会で発表されたり、学術論文として発刊されたりしています。日本でももっと多くの企業や団体でORを利用するようになれば、企業の経営が効率的になり、働く人たちの生産性も上がるのではないかと思います。高校生の皆さん、ORを勉強して、一緒に興味深いプロジェクトに取り組みませんか。