南山の先生

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理工学部・システム数理学科

福嶋 雅夫

職名 教授
専攻分野 オペレーションズ・リサーチ
主要著書・論文 「新版・数理計画入門」朝倉書店,2011年(単著),
「数理計画法」コロナ社,2008年(共著),
「非線形最適化の基礎」朝倉書店,2001年(単著),
「最適化の手法」共立出版,1993年(共著)ほか
将来的研究分野 最適化の理論と方法
担当の授業科目 「非線形・整数計画法」「最適化モデル研究(大学院)」ほか

最適化は問題解決のキーワード

『最適化は問題解決のキーワード』―これは私がいつも唱えているスローガンです.世の中には解決しなければならない問題がたくさんあります.高校生のみなさんにとって「問題」といえば,期末試験や入学試験に出題される数学や英語の問題がいちばん身近な「問題」だと思いますが,みなさんが将来,社会に出て遭遇する問題は,誰かから「この問題を解きなさい」といって出題されるようなものではなく,自分たちで見つけて,解決していかなければならないものなのです.「そんな難しいことができるだろうか」と思うかも知れませんが,そのための方法を考えるのが『オペレーションズ・リサーチ』と呼ばれる学問であり,そのなかで重要な役割を果たすのが「最適化」という概念です.オペレーションズ・リサーチ(以下,略してORと呼びます)では,まず解決すべき問題をみつけ,数式を使ってそれを表現します.そのような作業を「モデリング」と呼びます.モデリングによって問題の「モデル」が作れたら,つぎはそれを解かなければなりませんが,多くの場合コンピュータを使います.コンピュータで問題を解くときに使われるソフトウェアの基になるのが「アルゴリズム」です.アルゴリズムは計算の方法というような意味をもつ言葉ですが,問題の数学的な性質をうまく利用した,さまざまな方法が考案されています.「モデリング」と「アルゴリズム」の両輪を使って最適化をおこなうことにより問題の解決策を見つけるのが,ORの主な目的のひとつであり,そのための方法は「数理計画」と呼ばれています.数理計画はさらに取り扱う問題の性質に応じて,「線形計画」,「非線形計画」,「整数計画」などに分類され,新しい方法がつぎつぎに開発されています.

OR,とくに数理計画の大きな特徴は,それらの方法が用いられる場面が実に多種多様なことです.実際,「最適化」すべき問題は,通信,交通,建築,化学,土木,機械,電気など工学のさまざまな分野から経営,経済,金融など社会科学の分野にいたるまで,ありとあらゆるところにころがっています.ですから,ORを勉強して,その考え方や方法論をしっかりと身につければ,いろんな分野に進んで活躍できるはずです.南山大学の理工学部にはORを専門とする先生がたくさんいて,カリキュラムも非常に充実しています.ORについては,教育・研究の総合力で日本の大学のなかでもトップクラスだと思います.みなさんも南山大学でORを勉強して,社会で活躍するための問題解決能力を身に付けませんか.

最後にもうひとつ高校生のみなさんにお話ししておきたいことがあります.それは数学のことです.高校生の多くの人たちにとって,数学を勉強するのは大学受験に必要だからということではないかと思います.なかには,このようなことを勉強して何の役に立つのだろうと疑問に思いながら,受験のためと割り切っている人もいるのではないでしょうか.たしかに,社会に出てから三角関数や微分積分を仕事で使う人は限られていると思います.しかし,だからといって数学の勉強が何の役にも立たないということでは決してありません.ORのような数学を使う分野はいうまでもなく,そうでない分野でも筋道を立てて物事を論理的に考えることはたいへん重要です.そのような論理的思考力を養うには数学を勉強するのがいちばんです.数学を勉強すれば知らず知らずに論理的思考力が身に付き,ひいてはそれが社会に求められる問題解決能力につながっていきます.いろんなスポーツでランニングが基礎体力を身に付けるために欠かせないこととよく似ています.数学は役に立たないどころか,将来いろんな場面で自分を助けてくれる強い味方です.そう信じて日々の勉強に励んでください.