南山の先生

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総合政策学部・総合政策学科

茂木 康俊

職名 教授
専攻分野 行政学
主要著書・論文 "Customer Satisfaction with Branch Office Services in Higashihiroshima, Hiroshima Prefecture"(単著) Public Organization Review (2022年)、
"Research trends in healthcare and hospital administration in Japan: Content analyses of article titles in the journal of the Japan society for healthcare administration"(単著) Frontiers in Public Health vol. 10 (2022年)
将来的研究分野 公立美術館の行政学的研究
担当の授業科目 行政学、地方自治論、現代国家論、公共政策論、社会科学研究(総合政策学研究概論)、行政機構研究、プロジェクト研究

私たちの暮らしと行政・行政学

 高校生の皆さんが卒業後大学に入学した際に、親元を離れて、アパートを借りて一人暮らしをする場合もあると思います。一人暮らしで自由になる面もありますが、家族と暮らしていた際には意識していなかった戸締まりや家事など、生活者として基本的なタスクを一つ一つ自分でこなしていく必要に気がつき気持ちが引き締まり、これまでの家族の援助の意味やありがたさを再認識することになると思います。

 さて、一人暮らしをすることになり、別の都道府県(の市町村)に移った場合、住民票を移す必要があります(住民基本台帳法第22条)。運転免許を持っている場合は、警察署で運転免許の住所変更をする必要があります(道路交通法第94条第1項)。日本の新年度は4月に始まるので、4月初旬は地方自治体の役所(南山大学のある名古屋市は政令指定都市なので区役所)は、大変混雑します。転入時に役所を訪れると、さまざまな部署があることに気がつきます。福祉関係の部署、ゴミ収集を含む環境衛生関係の部署、道路などのインフラ整備に関する部署、さまざまな部署が役所にあって、公共サービスの提供を担っています。現代は、個人・家計でも民間企業でもない公共部門(政府・行政)が社会において大きな役割を果たしていて、その機能は主に税金を原資とする公金によって担われています。社会において行政の役割が大きい、現在の状況について行政国家と表現する場合があります。この大きくなってきている行政の役割について分析し、その姿を明らかにするのが行政学の一つの役割です。

 私は南山大学で、行政学、地方自治論、現代国家論などの科目を担当しています。大学の教員は教師として科目を教えるだけでなく、専門分野について研究を行う研究者としての側面を持っています。私は20234月に南山大学に移ってきたばかりで、前任の広島県内の大学で勤務していた際には、その大学の所在する市の行政の窓口サービスについて、ゼミの学生さんにも参加してもらって、地方自治体の協力の下、庁舎内で質問紙調査を二度行い、それについて英語論文を発表しました。南山大学ではこれからゼミ生の募集が始まるところでまだ開講していませんが、ゼミが開講したら、ゼミ生の学生さん達と一緒に名古屋市近郊の自治体をフィールドに同様の実証的研究を行っていきたいと考えています。