南山の先生

学部別インデックス

総合政策学部・総合政策学科

POTTER,David M.

職名 教授
専攻分野 政治学
主要著書・論文 Japan's Foreign Aid to Thailand and the Philippines, (1996)
NGOs in International Politics, (2006)
将来的研究分野 ODAの比較研究
担当の授業科目 「非営利組織論」、「経済援助論」、「政治開発論」

ローカル・ボランティアと国際問題を結び付けるNGO

私のゼミでは、国際協力、すなわちNGOやODAの政策を研究する。その一環として、近年伊勢市にある南山学園が経営する伊勢海浜センター周辺の砂浜でInternational Coastal Cleanup (国際海岸クリーンアップ:以下ICCと称す)の方法を用いて海ゴミのそうじ活動と調査を行っている。

ICCとは1986年アメリカのNGO Ocean Conservancy「オーシャン・コンサーバンシー」の呼びかけによって始まった市民参加型の国際的な海洋ゴミ清掃調査である。海洋ゴミ清掃で集められた人工ゴミは細かく分類・計測し、レポートとして報告される。世界各国から集められたレポートは集計・分析され、地球規模のゴミ問題解決へ向けた対応策が検討されることが本活動の特徴である。その調査方法とは、ICCによる世界共通のごみ調査データカードを使用して、収集したごみを品目別に数え記録する。その結果からどのようなゴミが何故そこにあるのか、そして海洋ゴミの現状を把握し対策を考え、各国の連絡係を通じてアメリカにある国際本部Ocean Conservancyに報告をする。1990年以降一般社団法人JEAN (Japan Environmental Action Network)は沖縄以外日本のICC活動の窓口として全国会場のデータをまとめ、Ocean Conservancyに報告すると同時に個別の日本版年次報告書を準備する。調査に参加することで海洋環境及びゴミの問題について関心を高めることも目的としている。さらに、こうしたネットワークによってボランティアの問題意識がその問題の具体策に取り組む国際NGOとの結びつくことが出来る。

調査は2009年9月12日、2010年10月2日、2012年9月29日、2013年10月11日、2014年9月27日、2015年9月26日、三重県伊勢市大湊町の大湊新浜で行った。まずはゴミを収集し、収集したゴミを一つの場所に集め、ゴミの分類を行った。分類終了後、品目毎のゴミの数量を数えた。次に、記録済みのゴミ袋を量り、全ての重さをもとめ、これもデータカードに記録した。最後に総責任者が全てのカードを収集し、品目別に集計してICCデータカード上に記入した。後日、JEANのHPにデータをアップロードして報告した。

収集したごみの数は、2009年が1063個、2010年が5549個、2012年が4353個、2013年が4118個、2014年が2639個、2015年が3589個である。四年間の数の多いごみの推移から見ると、破片・かけら類と陸上の活動で発生する品目が多く、相対的に海・河川の活動で発生する品目が少ないとわかる。 陸上の活動で発生する品目の中から飲料用プラボトル、ふた・キャップ、食品の包装・容器、建築資材、海・河川の活動で発生する品目の中からロープ・ひもが多かった。種類別というと、破片類、飲料類、食品類、建築類のごみの増加が目立つ。