南山の先生

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法学部・法律学科/法務研究科

生駒 俊英

職名 准教授
専攻分野 民法(家族法)
主要著書・論文 「ドイツにおける年金権調整制度の改正について-我が国への示唆-」『家族法と社会保障法の交錯 本澤巳代子先生還暦記念』291-312頁(2014年、信山社)。
「ドイツにおける扶養料立替制度」社会保障研究4巻1号119-127頁(2019年)。
将来的研究分野 離婚時の子どもの利益
担当の授業科目 家族法(親族)、家族法(相続)

法学部で学ぶこと

 私の専門は、民法の家族法という分野です。家族法は、親族法と相続法を対象にしております。

 親族法、相続法から、どのようなイメージが浮かびますか??

 親族という言葉からは、みなさんの周りの家族や親戚をイメージするのではないでしょうか。相続も、誰かがなくなった場合に、その人が持っていた財産などを受け継ぐものといったイメージが浮かぶのではないでしょうか。私が、担当する民法(家族法)は、数ある法律の中でも、身近で、比較的イメージがしやすい分野です。

 結婚することができる年齢って何歳でしょうか??

 正解は18歳です!!これは、多くの方が、知っている年齢ではないでしょうか。実は、この根拠となる規定も、民法の親族法の分野にあります。

 「婚姻は、18歳にならなければ、することができない。」(民法731条)

 なるほど、とうことは、民法(家族法)を学ぶということは、このような身近な決まり事を覚えることなのかな、と思われたかもしれませんが、そうではありません。この民法731条も、実は数年前までは、「男は、18歳に、女は、16歳にならなければ、婚姻をすることはできない。」という内容でした。男女で結婚できる年齢(=婚姻適齢)が違っていたのか、と驚かれた方もいるかもしれませんが、この規定は明治時代に作られものを(当初は、男性17歳、女性15歳でした)、戦後(昭和22年)に改正したものでした。立法当時は、婚姻適齢の男女差も相応しいものと考えられていたのです。しかし、時代の変遷とともに、その差に合理的な理由がないものと考えられるようになり、平成30年に今の規定になったのです。

 このように、今ある法律も、年月が経ち相応しくなくなるものも出てきますし、また立法当時想定されていなかった新しい問題も生じます。これらの問題に対応するためには、今ある法律を改めて見直し、現状の法律で対応できないかどうか、できない場合には、どのように変えるべきなのか等を試行錯誤することとなります。この試行錯誤の力を養うのが、法学部での学びのメインといえます。法学部で養うこの試行錯誤の力は、社会を生きていくうえで大きな武器となります。コスパという考えがもてはやされる時代ですが、大学ではコスパにとらわれず、回り道に見えるようなことでも、じっくりと取り組むことが大事です。そして、大学4年間はそれが許される特権があります。あせらず無駄と思えることも真剣に取り組んでみてください。

 最後に、私の研究は、離婚における子どもの利益を考えることです。離婚というと、夫婦の問題であると考えがちですが、子どもにも大きな影響があります。夫婦が別れるときには、お互いが大変な状況にあり、子どもの利益が見過ごされがちです。そこで、子どもの立場からその利益を図ることが重要だと考えております。ただし、家族のプライベートな事柄にどこまで法が介入するのか、難しい問題もあります。試行錯誤が続きます。