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法学部・法律学科/法務研究科
宮尾 亮甫
職名 | 講師 |
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専攻分野 | 行政法 |
主要著書・論文 | 「行政執行における実効性と権利保護」(早稲田法学会誌67巻2号2017年477-523頁) 「グローバルな気候変動問題における地方自治体の活動の可能性と限界に関する法的検討」(自治総研49巻2023年64-93頁)など |
将来的研究分野 | 都市と気候変動法、都市と外国人政策 |
担当の授業科目 | ミドル演習、アドバンスト演習、行政法各論(Q2から)、環境法(Q4から) |
行政法を通じて社会を見る目・知性を鍛える
私は行政法という分野を専攻しています。その中でも、特に環境法や地方自治法といった法分野を専門としています。行政法とは、ごく簡単に説明すると、国・地方公共団体といった公共的活動を行うことだけを目的として作られている組織の行う活動のうち、行政と呼ばれる活動を成り立たせ、同時にその活動を規律する法分野です。環境(公)法とは、行政の活動のうち環境を保護・維持する行政活動に着目した法分野です。また、地方自治法とは、市区町村や都道府県といった地方公共団体と呼ばれる公的団体が担う地方自治の基本と骨格を定め、地方自治の制度及び運営の根幹となる法分野です。
行政法という分野は、私達の日常に密接に関係しているとしばしば言われます。朝起きて顔を洗い(水道法)、朝食を食べ(食品衛生法や景品表示法)、バス・電車で通勤(学)する(道路交通法や鉄道事業法)というごく普通の日常の隅々までが行政法に関わっています。これら以外にも行政法が日常の現象に関わる例は沢山あります。例えば、感染症対策では感染症法が、路上喫煙防止対策には自治体の路上喫煙防止条例が関係します。このように日常に密接に関わる行政法を学ぶことは、我々が住む社会をより深く理解するということに繋がります。ここに行政法の面白さがあると思っています。
他方で、日常に密接に関係しているからといって行政法を積極的に学習したいという人はごく少数かもしれません。物理学が日常に関係するからといって好んでそれを学ぶ人がいないのと同様です(もちろん、行政法を好んで学ぼうという人がいれば大歓迎です)。そこで、行政法の授業では行政法を学ぶことは直接の目的とはせず、条文、裁判所の判決、学者の書いた論文の読解や、教員や学友との議論などを通じて、知性(論理的思考力や自分の意見を相手に伝える力など)を鍛えることを目的としています。こうした鍛錬は、これから社会という大海原に船出するみなさんにとって、決して無駄になるものではないはずです。
行政法を通じて、具体的な問題に即して社会問題を考えたい人や知性の貯金をしたい人は、ぜひ行政法という分野の扉を叩いてみることをお勧めします。