南山の先生

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法学部・法律学科/法務研究科

平嶋 竜太

職名 教授
専攻分野 知的財産法
主要著書・論文 システムLSIの保護法制(信山社・1998年・単著)
入門 知的財産法(有斐閣・2016年・共著)
「「いわゆるAI」関連技術の特許法による保護と課題」『法律時報』、第91巻8号41-49頁(日本評論社・2019年・単著)
将来的研究分野 情報財の利用と保護を最適化する法システムの設計
テクノロジーと社会の調和を指向した法のあり方、等
担当の授業科目 知的財産法 アドバンスト演習

知的財産法の世界へのイザナイ

 チテキザイサン(知的財産)や知的財産法という言葉は、きいたことがあるでしょうか?あるいは特許や著作権、商標やブランドという言葉はどうでしょうか?あまりなじみがないという人でも、パクリとかニセモノという言葉を耳にしたことは少なくないと思います。知的財産法という分野は、極めて大雑把にとらえると、特許や著作権、ブランドの保護といった話のキホンとなる学問分野で、現実には、パクリやニセモノといった現象を、社会の仕組みとしての法律によって、どのようにして取り扱っていくべきなのか、を考えていく学問ともいえます。

 ところで、毎日の生活をちょっと振り返ってみてください、食事をして、眠って、運動をして・・・・・といった、おそらく誰もが行うであろう活動以外に、音楽を聴いたり、本を読んだり、映画をみたり、ゲームをしたり、スマホでSNSをつかって友達と交流したり、買い物をしたり・・・・・多くの人はたぶんそういった行動は何かしらしていると思います。こういった活動のすべてに知的財産法は接点をもっているといえるのです。このような多種多様な活動にも共通した点があります。何でしょう?-一つ挙げられることは、情報のやり取り・利用がなされているという点です。(それぞれの場面で、どのような情報がやり取り・利用がなされているのかについては、ちょっと考えてみてください。)このような多種多様な情報のやり取り・利用という行動は、個々の人間が人間らしい生き方をしてゆく上で極めて重要なものであると同時に、他の動物にはみられない文明というものを人間が築きあげてくる上でも欠かせないものといえます。

 さきほど触れましたように、知的財産法とは、パクリやニセモノを取り扱う学問と書きましたが、少し見方を変えると、社会でやり取り・利用されている様々な情報について、社会の仕組みである法律でどのようにして取り扱っていくべきなのか、ということを探求する学問といえます。そうすると、世の中にある実にいろいろなモノや現象が知的財産法の対象となってきます。音楽や小説、映画、ブランド品、デザイン、ソフトウエア、遺伝子、医薬品、料理のレシピ等々、数え上げたらきりがありません。知的財産法も、社会の仕組みを形作っている法律を研究する法律学という学問の一部ではあるのですが、法律のことだけでなく、先ほど、例で挙げたように、世の中にある身近なことからはじまって実に多種多様なモノゴトをよく知ったうえで社会の仕組みとしての法律のあり方を考えていく、そして、次から次へと出現してくる世の中の新しいモノゴトを常に追いかけていきながら考える、そういった幅の広い、開けた、さらにとてもアクティブな世界という特徴をもっています。

 文系の学問に興味があるが、それ以外の世界にもとても興味がある人、あるいは逆に理系の学問に興味があるものの実は文系の勉強の方が得意である人、法律にも興味はあるが社会やビジネスの動きや将来に関心の高い人、まだ何を学んでみたいのか迷っている人、とにかくいろんな分野を学んでみたい人、といった好奇心旺盛な方は、ぜひ一度、知的財産法の世界を訪ねてみることをおススメします。