南山の先生

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法学部・法律学科/法務研究科

深川 裕佳

職名 教授
専攻分野 法学,民事法学,民法(財産法)
主要著書・論文 相殺の担保的機能 [信山社]
多数当事者間相殺の研究 [信山社]
担当の授業科目 担保法

担保――債権回収を確実にする方法

貸したお金は,きっちりと返してほしい,というのは当然でしょう。しかし,ときには,借主がお金を返せないこともあります。そのような危険に備えて,「民法」という法律は,貸したお金を確実に回収する方法をいくつか定めています。

お金を貸したときに,貸したお金を返せという権利を「金銭債権」と呼びますが,この債権の実現を確実にしてお金を回収するための手段を「担保」といいます。たとえば,借主が建物とか土地とかいうような「不動産」を持っていたり,高価な着物やダイヤの指輪というような「動産」を持っていたりする場合には,そのような財産を活用することが考えられます。すなわち,もしも借りたお金を約束の期日までに返せなければ,不動産や動産を売ってお金で評価できる価値から,その貸したお金を回収するということをあらかじめ約束しておけば,お金の貸主としては,いざというときに,貸したお金を回収できないという危険を回避することができるようになります。

車を買うためにお金が必要な場合であるとか,家を建てるためにお金が必要な場合であるとかいうような生活にかかわる場面においてだけでなく,会社をつくろうとか,新しい事業を展開しようとかいうような事業にかかわる場面において,金融は大きな役割を果たしています。担保は,これを円滑にする手段として役立っています。

では,民法において,このような担保にかかわる制度は,どのように規定されているのでしょうか。また,科学技術・社会の進歩によって,民法にすでに定められている担保制度は,どのような変化を迫られているのでしょうか。私の研究対象は,担保手段として民法に規定されている制度だけでなく,それ以外にも,実際に担保手段として利用されている手段を含めて,「担保」というのはどのようなものかを研究しています。