南山の先生

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法学部・法律学科/法務研究科

洪 恵子

職名 教授
専攻分野 国際法
主要著書・論文 (村瀬信也・洪 恵子共編)『国際刑事裁判所-最も重大な国際犯罪を裁く(第二版)』(東信堂・2014年)
「国連・人権条約体の役割とは ー 人種差別撤廃委員会(CERD)の活動」国際法学会エキスパート・コメントNo.2020-8 ≪https://jsil.jp/archives/expert/2020-8≫
担当の授業科目 国際法総論A,B、International Law(国際科目群)

南山大学で国際法を学ぶ

南山大学は国際的な大学として知られています。キャンパスには多くの外国人教員がいますし、さまざまな国からの留学生が学んでいます。将来、海外で活躍したいと思っているなら、こうした環境は魅力的ですね。さて南山大学に入学するとして、国際的な問題を学びたいと思ったら、どの学部や学科に進んだら良いでしょうか。答えは、実は一つではありません。南山大学では、特定の学科ではなくて、いろんな学科で(それぞれの専門を通じて)国際的な問題について学ぶことができます。法学部・法律学科は、一見したところ、国際性とはあまり関係がないように思われるかもしれませんが、法律学科では国際法に関する授業を複数開講していますので、国際社会における法の役割を学ぶことができます。

国際法とは具体的には(主として)条約と慣習国際法を示しますが、憲法や民法・刑法といった国内法とは異なる特徴を持っています。そもそも国際社会といっても、三権分立が整っている国内社会とは根本的に違っているのです。皆さんもときどき世界中の国が集う国連総会のニュースを目にしたことがあるかと思いますが、国連総会は確かに地球上のほぼすべての国が参加するフォーラムですが、日本の国会のように法律を作るところではありません。また国際社会では、いまもなお問題の解決のために武力が使われ、多くの人が犠牲になっています。そうだとすると、国際社会では結局は軍事力のある国が自分の主張を通しているのだから、国際法といっても政治に左右されるにすぎないのではないかと思う人もいるでしょう。でも、国際法は(国内法とは違う)国際法の仕方で、国際関係の平和と安定を支えています。

また現在の国際法は国家だけでなく、個人について、特に人権の保障にも大きな役割を負っています。第二世界大戦後、国連においては、平和と(個人の)基本的人権の尊重は深く結びついていると考えられ、国連の目標の一つとして人権の保障が掲げられ、さまざまな条約の締結を支援し、また人権保障のためのメカニズムを作ってきました。こうしたメカニズムの一つである国連・人種差別撤廃委員会の委員を私自身、4年間務める経験もしました。私の授業では、こうした私自身の経験なども交えながら、国際社会における国際法の役割を、学生の皆さんに理解してもらうことを目指しています。