南山の先生

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法学部・法律学科/法務研究科

北川 ひろみ

職名 教授

法科大学院について

私は、南山大学法務研究科において、実務家教員(弁護士)として、法曹倫理、ロイヤリング、法務エクスターンシップ、模擬裁判を担当しています。法務研究科とは、法科大学院、いわゆるロースクールです。法科大学院は、裁判官、検察官、弁護士という法曹を養成するためのプロフェッショナルスクールであり、学生は皆、司法試験を突破して、法曹の資格を得ることを目指して励んでいます。

法科大学院では、幅広い法律科目について、少人数制のもと、双方向・多方向の授業を行っており、実務研究や体験研修なども織り交ぜながら理論と実務を学ぶ場となっています。私の担当する法曹倫理やロイヤリングでは、実務で直面する課題に対し、ケーススタディやロールプレイングを導入し、積極的な議論を展開しています。模擬裁判では、模擬法廷を利用して、裁判官役、原告代理人役、被告代理人役に分かれ、裁判のシミュレーションを体験してもらうほか、法務エクスターンシップでは、短期間、提携している法律事務所に赴き実務を体感する機会を提供しています。法科大学院に入学するためには必ずしも法学部出身である必要はありませんが、法学部で学ぶことは、法科大学院における学習にとって有益であると考えています。

さて、裁判官や検察官、弁護士という職業は、一般的には身近とは言いがたい職業ですが、「人権擁護と社会正義の実現」という使命のもと、常に社会や人とのつながりを実感することのできる職業です。私の選択した弁護士という職業においては、関与する分野も働き方も、社会のニーズや時代の流れによって変化してきています。弁護士は、伝統的に、消費者被害や高齢者・障害者、子ども、公害環境問題など、人権擁護活動に取り組んできましたが、最近では、グローバル化した社会のニーズに応えるため、海外企業と日本企業の交渉や外国人の方の権利擁護など、国境を越えた活動が求められるようになってきましたし、IT・AI時代の生む新たな社会問題への取組みも脚光を浴びています。弁護士の働き方も多様となり、法律事務所だけでなく、企業や行政組織などに勤務するインハウスローヤーという形態も増えており、国際組織で活躍する弁護士もいます。また、弁護士は、裁判官や検察官と異なり、時に国家に闘いを挑むことがあります。この在野精神により、社会の変革を招き新しい社会のルールの創造に寄与することも、弁護士という職業の大きな魅力です。

司法改革導入後、法曹志願者の減少や法曹離れが指摘されています。しかし、南山大学法科大学院出身の若手弁護士は皆、活き活きと活動し、その能力を発揮しています。時代は、これからも、多様な社会的要請に応えることのできる、熱意に溢れた若き法曹の誕生を求めています。

司法試験に合格するためにはたゆまぬ努力が必要ですが、南山の法科大学院では、そうした法曹を目指す学生を全力でサポートしています。法曹を目指す志のある多くの方に、法科大学院の扉をたたいてほしいと願っています。