学部別インデックス
人文学部・心理人間学科
ABRAHAM,Joy Plathottathil
職名 | 講師 |
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専攻分野 | 実践神学、心理学 |
主要著書・論文 | I.著 書 Why are You Weeping? The Power of Awareness in the Process of Bereavement(著 書)(2020)Studia Instituti Missiologici SVD, Franz Schmitt Verlag, Siegburg, Germany (322p). II. 論 文 1. “Alone to the Unknown: A Theological Reflection on Bereavement to Eternity”, 単著、 2020年3月1日、『南山神学 別冊』、第35号、南山大学、pp. 47 – 59. (12p.) 2 “Time in the Process of Bereavement”, 単著、 2019年Winter, The Japan Mission Journal, 第73巻4号、 オリエンス宗教研究所, pp.259–267. (8p.) 3. “The Awareness Dimension of Human Person: A Theological Assessment”, 単著、May – Aug./Sept. – Dec. 2019、 Ishvani Documentation and Mission Digest, 第37巻2/3号、 Ishwani Kendra, Pune, pp. 105 – 128. (18p.) 4. “A Person Tangled in Loss and Dignity: Bereavement and its Consequences- a Wake-up Call for a Life of Awareness”, 単著、 2019年、Verbum SVD, 第60巻3号、Steyler Missionswissenschaftliches Institut,Sankt Augustin,Germany, pp.191–203.(12p.) |
将来的研究分野 | Awareness and Human Destiny (自覚と人間の運命) |
担当の授業科目 | 宗教論、宗教に見る人間の尊厳、哲学・倫理学における人間の尊厳 |
On Knowing Oneself (自分自身を知ること)
自分自身を知ることは、あらゆる富よりも偉大である。聖書では、主イエスは「人がたとえ全世界を手に入れても、自分の命を損なうなら、何の得があろうか。人はどんな代価を払って、その命を買い戻すことができようか」(Mat16:26)と問うている。過ぎ行くこの世での生活は戦いであると捉え、自分の生きる場を戦場と考える人も少なくない。人間の人生は繋がりの実りであり、価値観に基づいた関係によって実を結ぶのである。「神に身代金を払うことはできない」(ps49:8)という確信を持つ人は人生の知恵持つのである。自分自身を知ることは、自分に与えられている命が唯一の生であると知ることであろう。若い内に日常生活に必要な知恵や自覚を育むことは、重要だと思う。人生の旅路の中では、楽しみと同じように痛みも感じる。誰にでも喜びと共に悲しみ訪れることは多い。しかし、それぞれの体験を通して学ぶ人生の知恵も大事だ。美しいバラの間に棘があるのが当然であるように、命に喜びや苦難があることは誰でも知っているはずだ。燃えている灯の下に暗やみがあっても、その光を消すことはない。同じように、人は誰でも自分の光を喜ぶことができる。すべてのことを体験し、生まれてから死ぬまで自分自身を「私」と意味する方がいる。その存在を完全に理解するまで、人生の旅路は終わらないと考えられる。
生きてきた人生をもう一度やり直したいと考える人は少なくないが、誰も人生で既に起きたエピソードをやり直すことも、消すこともできない。命は唯一であると自分の人生の旅路から学ぶことは、知恵の始まりだ。命には転換や逆転がないため、人生の歩みの一歩一歩を大切にする人間として生きることは、どんな時代においても重要である。なぜなら、世界は変わっていくけれど、「私」と呼ばれた方は変わることなく続いてきたからだ。自分自身を払い戻すためにどんな対価でも足らなければ、自分自身を見つけることこそがすべての教育や学びの目標であると考えられる。古代ギリシアの有名な学校の門には「人よ、自分自身を知れ」という文字が書かれていたようだ。大昔から人間は、自分自身を知ることに熱心だったそうだ。誰も他の人の命を借りることも、誰かの変わりに生きることもできない。自分の命の素晴らしさを見つけ、価値観に基づいた関係を築いていく中で、人間は誰でも自分や世の光となることができる。人生のすべての出来事やエピソードから、自分自身を見つける人は幸い。